通常の治療法ではなかなか改善しない、治りにくい症状や病気は食事の改善で、好転することがあります。
食事は遺伝子の働き方を決めるスイッチとしての役割があることがわかってきています。
「牛乳は体にいい」と思っている人が多いはずです。
またパンにしても、「菓子パンや揚げバンならともかく、食パンは悪くないのでは?」と思っている人がほとんどです。
ですが、パンと牛乳が深くかかわって発症、あるいは悪化する症状・病気は多岐にわたります。
日常的な症状では、便秘、下痢、おなかの張り、肩こり、頭痛、日中の眠気、なかなかやせない、疲れやすい、鼻水・鼻詰まり、節々の痛み、生理痛、排尿トラブル、尿もれ、乾燥肌、原因不明の湿疹やかゆみ、じんましん、イライラ、落ち込みなどがあります。
病気でいうと、花粉症、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、慢性関節リウマチ、慢性疲労症候群、線維筋痛症、アルツハイマー病、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、甲状腺疾患、子宮筋腫、卵巣嚢腫、不妊症、うつ、乳ガン、前立腺ガンなどのほか、自閉症、多動症、アトピー性皮膚炎などにまで関係しています。
婦人科系では、生理痛や生理不順、月経前症候群などがよくなるほか、子宮筋腫や卵巣嚢腫などに大きな効果が見られます。
例えば、3〜4センチの子宮筋腫が10個くらいあつた人が、バンと牛乳をやめると、2ヵ月後にはすべてなくなるというような例があります。
また、8cmくらいの卵巣嚢腫で、「手術するしかない」といわれていたものが、3〜4mに縮小して手術が不要になったりするケースや、3〜4mの卵巣嚢腫が消失したケースなどもあります。
女性はホルモン系のアンバランスによって、頭痛、眠気、イライラや「朝、起きられない」「甘いものがやめられない」といった症状を起こすことがありますが、これらもパンと牛乳をやめるとスッキリ解消できることがよくあります。
次のような病気も、パンと牛乳をやめることで改善しやすくなります。
ぜんそくなどのアレルギー性疾患、慢性関節リウマチ、橋本病(甲状腺に炎症が起こっている病気)など、多くの自己免疫性疾患。
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経疾患。
過敏性腸症候群、漬瘍性大腸炎やクローン病などの腸疾患。
線維筋痛症、慢性疲労症候群などの原因不明(あるいは心の病)とされる難病。
子宮内膜症、不妊症などの生殖器疾患。
メタボにしても、パンと牛乳をやめただけでおなかまわりがスッキリと、楽に改善できる例が多いのです。
では牛乳やパンは、どんなメカニズムで体に害を与えるのでしょうか?
その理由やメヵニズムは、米国のT ・コリン・キャンベル博士の書かれた「チャイナ・スタディー」(邦訳『葬られた「第二のマクガバン報告」』グスコー出版)という本に書かれています。
この本では、多くの研究と論文から、牛乳のカゼインの害が証明されています。
また海外の講演会や勉強会では必ず「GFCF」という言葉が出てきます。
これは「グルテンフリー・カゼインフリー」の略で、小麦のグルテンと、牛乳のカゼインを含まない食事のことを指します。
特に近年、乳製品との関係が注目されているのが乳ガンです。
乳ガンの発症には、遺伝的な要因もありますが、食事もかなり関係しているのです。
最近では、乳ガンの患者さんには、パンや乳製品が好きな人が多いことがわかっています。
ひと昔前なら、学会などで全くとり上げられなかったテーマですが、今では一般的な大学病院や総合病院の先生がたが、乳ガンと乳製品との関係の論文を発表されています。
乳ガンの前ガン病変(完全なガンではないが、ガンに変わる可能性のある異常な細胞)が見つかった段階で、食生活を改善し、乳製品などをカットして前ガン病変を治療する(正常な細胞に戻す)という研究も行われています。
牛乳の最大の問題点は、多くの人が「ミルクは体にいい」と思い込み、継続的に飲んでしまうと言う点です。
「牛乳は、カルシウムたっぶりで健康にいい」日本人のほとんどが、そう信じています。
ほとんどの小学校では、給食で牛乳が出ます。
おかずが和食でも、主食がご飯でも、1年生から6年生まで飲み続けることになります。
給食のある中学校なら、さらに3年間。毎日、牛乳を飲むことになるわけです。
その影響で自宅でも、冷蔵庫に牛乳を欠かさないという家庭は多いはずです。
ですが、牛乳を飲んでいると、多くのアレルギー性鼻炎や発達障害、慢性関節リウマチ、便秘や下痢、悪化すると潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸の炎症疾患、月経異常・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫などの生殖器疾患、前立腺ガンや乳ガンなどのリスクは増えてゆくのです。
牛乳以外の代表的な乳製品として、ヨーグルト、チーズ、バターがあるのですが、乳製品のなかでは、牛乳がいちばんメリットが少なく、デメリットが多いのです。
牛乳のいちばんの問題は、「牛乳は健康にいい」という固定概念があるために、 一生懸命飲もうとするところにあります。
この「牛乳は健康にいい」という誤つた認識は、なぜこんなにも広まり、浸透したのでしょうか。
そのきっかけは、戦後直後にさかのぼります。
1946年、アメリカの小児科医、ベンジャミン・スポック博士が育児書を書いたのです。
発売から6年の間に、アメリカで600万部売れ、その後は世界の43ヵ国語に翻訳されて、5000万部という世界的大ベストセラーになった本です。
日本ではこの育児本が、アメリカでの発刊から20年後の昭和41年に、有名な出版社によって邦訳されて出版されました。
その本には、「生後3ヵ月での母乳からの断乳」「子どもには牛乳や乳製品を積極的にとらせる」などの指導内容が書かれていました。
日本では、この内容が栄養士に教育されました。
また、母子手帳もこれを基盤に作られたため、常識化したのです。
そして、この本に書かれた「牛乳はすばらしい栄養食品だ」という概念は、子どもに対してだけではなく、大人にも必要なものとして広がりました。
第1版が出版されて40年以上、日本での出版から20年以上たったとき、スポック博士は第7版の改訂をしました。
その改訂版では、6版まで「とるべき」としていた牛乳を「とるべきではない」として、菜食を推奨する内容となっています。
大量生産で牛乳の質が悪くなってしまった
大量生産が始まると、牛乳は衛生上の理由から加熱されるようになりました。
加熱のしかたは、多くが120〜130℃で2〜3秒間加熱する超高温殺菌です。
75℃で15秒加熱する高温殺菌や、62〜65℃で30分加熱する低温殺菌もありますが、どんなに低くても62℃以上です。
たんぱく質でできている酵素は、おおむね60℃前後以上の加熱で活性が失われるのです。
失われるのは酵素活性だけではありません。
加熱すると、食中毒などを起こす有害菌を殺菌できますが、もともと含まれていた善玉菌も死減してしまいます。
また、加熱によつてたんぱく質も変性して、消化・吸収されにくくなり、さらにビタミンやミネラルにもこわれてしまうものが多くあります。
しかも、市販の牛乳は、飲みやすく、そして見た目をよくするために「ホモジェナイズ」という処理をしています。
これは、生乳そのままでは脂肪が分離してくるので、機械で圧力をかけたり、高速撹拌したりして、脂肪球を細かく均質化することです。
これを行うことで、酸化が進んだり、人体で消化されないトランス脂肪酸ができたりするのです。
さらに、現在、多くの乳牛は遺伝子組み換え(GMO)の作物や、本来のエサである草ではなく穀物を与えられ、ホルモン剤などを投与されています。
密集した場所で、運動不足の状況で飼われているため病気をしやすいので、抗生剤などを投与されています。
当然牛乳には、それらの成分も含まれることになります。
つまり、音の生乳は体にいい食品だったのですが、時代とともに生産や流通の都合で製法が変わり、デメリットのほうが多くなってしまったのです。
その結果、現在の牛乳はいろいろな面で「危険な食品」になってしまっているのです。
人は牛乳のたんぱく質を分解できない
問題は、牛乳に含まれるたんぱく質であるカゼインです。
人間の体にとって、非常に消化しにくく、腸と体に負担をかける物質なのです。
牛乳に含まれる乳たんぱく質の約80%を占めるのが「カゼイン」です。
牛乳の乳固形分(牛乳から水分を除いた部分)の主要成分の1つです。
それを構成しているのは大きく分けて、 α 型カゼイン、β 型カゼイン、 カッパ型カゼインの3種のたんぱく質です。
牛乳のカゼインはその混合物で、最も多く含まれるのはα型カゼインです。
カゼインの種類により、消化するための酵素は違います。
牛乳に含まれるカゼインは主にα型なのに対し、人が消化できるのはβ型です(母乳のカゼインは主にβ型)。
生の牛乳ならα型を分解する酵素も一緒にとれるので問題はありませんが、現在の牛乳は加熱してあり、酵素は働きません。
ですから、牛乳に多く含まれるα型のカゼインは、私たち人間には消化できないのです。
カゼインを頻繁にとると、腸の中に未消化物がたまり、腸内に炎症が起こりやすくなります。
すると、便秘・下痢など、腸の悪化による症状が起こります。
また、人間が消化できないα型カゼインはアレルゲンとなりやすいため、遅延型アレルギーの原因にもなります。
カゼインの害は、T ・コリン・キャンベル博士によって綿密に研究され、著書にまとめられ、多くのガンと牛乳のカゼインとの関連が詳細に報告されています。
中毒を起こすモルヒネ様の物質に変化する
小麦のグルテンが不完全に分解されることによって、エキソルフィンと呼ばれるモルヒネ様の物質ができるのですが、牛乳のカゼインからも、同じしくみでエキソルフィンができます。
作用はどちらもほぼ共通していて、脳内でモルヒネのような作用をします。
そして、牛乳・乳製品をとると、翌日もとりたくなるという「中毒症状」を起こすのです。
ですから、牛乳・乳製品を、毎日のようにとっている人は少なくありません。
自分では「好きだから」とっているつもりでも、実は牛乳のカゼインからできたモルヒネ様物質の作用で、中毒になっている可能性が高いのです。
カゼインからできたモルヒネ様物質は、脳神経に作用し、精神不安や神経障害などを起こします。
また、脳以外にも全身のさまざまな部位で作用します。
例えば、便秘を起こしたり、排尿トラブルを起こしたり、呼吸機能を乱したり、眠気を招いたりします。
牛乳とバンをいっしょにとると、カゼインとグルテンの両方からモルヒネ様物質ができるので、よりいっそう害が大きくなるのです。
日本人に不足がちな鉄の吸収を阻害する
α型カゼインについては、このほかにも、さまざまな害が報告されています。
その1つが栄養素の吸収を妨げることです。
α型カゼインは、胃に入ると、胃液と反応して、カードとも呼ばれる乳餅(乳中のたんぱく質が酸で凝固したもの)をつくります。
牛乳を、例えばレモン汁などの酸性のものと合わせると、ヨーグルトのような塊が生じます。これが、胃の中でもつと強く起こるのがカードという現象です。
胃酸と反応したカードは、粘着力の強いたんぱく質となります。
これが栄養素の吸収を妨げるのです。
牛乳は骨を強くするどころか弱くする
牛乳中のカルシウムは、多くがα型カゼインと結合しているため、胃の中でイオン化せず、吸収されにくくなっています。
また、牛乳を加熱減菌することで、カルシウムはリン酸カルシウム塩という物質に変化し、体はそれを使えなくなるのです。
つまり、牛乳には確かにカルシウムは多く含まれるのですが、体はそれを有効に使うことができないのです。
有効に使えないだけならまだしも、実は、牛乳を飲むとかえって体内のカルシウムが排出されるという現象が見られるのです。
2014年に話題となった、スウェーデンの大規模研究では、牛乳を多く飲んだ人のほうが寿命が短く、女性では骨折が増えるというデータが出ています。
アメリカでは牛乳の摂取率が減るにつれ、骨粗鬆症も減っているのです。
日本人の約8割は乳糖を分解する酵素がない
牛乳には5%前後の糖質が含まれますが、そのほぼすべては乳糖です。
乳糖を分解するには、ラクターゼという酵素が必要です。
カゼインの場合と同じく、生の牛乳であればラクターゼが含まれていますが、加熱している現在の牛乳には含まれないので、自前の酵素で分解するしかありません。
ところが、体内でラクターゼをつくることができない「乳糖不耐症」と呼ばれる体質の人が、日本では多く見られるのです。
日本人は腸が長く、便秘症が多いので、乳糖不耐症に気づかない人もいます。
牛乳をとって下痢ぎみになっても、「便秘が改善した」と、捉えてしまうケースとなるのです。
しかし、「牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする」「胃腸に違和感がある」などの場合は、結果的に使秘が解消できても、それは乳糖不耐症ゆえに起こっているのです。
つまり牛乳を飲むと腸と体に負担をかけることになるのです。
牛乳を飲むと、グルテンの未消化物から、ニトロソアミンなどの発ガン物質がふえる可能性があり、ガンのリスクを助長することになります。
また、牛乳は、妊娠している牛のお母さんが出すものなので、女性ホルモン(エストロゲン)も自然に含まれています。
さらに、多くのアメリカの牛は、遺伝子組み換えのホルモンを打たれているのです。
そのため、牛は慢性的に乳腺炎を起こします。
化膿して膿が牛乳に混ざっていることさえあるのです。
エサは遺伝子組み換え穀物が使われ、病気も発生しやすいので、抗生物質を与えられている牛が多いのです。
牛乳には、それらの害が凝縮されています。
人間でもそうですが、「母乳は白い血液」といわれるほど、血液の状態を反映した成分になります。
不健康な牛からは、不健康な成分の牛乳しかとれません。
その結果、牛乳に含まれる多くの化学物質やホルモンにより、生殖器の病気や、ホルモンに関連する甲状腺や膵臓、副腎などの病気が現れるリスクが高まってしまうのです。
まずは3週間やめることで効果を実感できる
3週間というのは、バンや牛乳がもとになって体にできた抗体が、体から消えてゆく目安の期間です。
おなかの張りが取れてスッキリする、日中の眠気が消えて頭がクリアになる、気持ちが落ち着く、疲れにくくなるなど、「ハッキリした症状ではないけれども、日ごろ気になつていた」というような不調がなくなることが多いのです。
その後も続けることで、さまざまな症状や病気が改善されてゆきます。
中毒症状から抜けると楽にやめられる
バンと牛乳をとらなくても、何も困ることはありません。
世の中には、他にもおいしいものが、たくさんあります。
しかし、パンと牛乳には中毒性があります。
そのため、やめようと思っても、バンと牛乳が欲しくてたまらなくなるのです。
この中毒症状からは、大体3週間くらいで抜け出すことができます。
途中は少しつらくても、とりあえず3週間やめる。
すると、それまで毎日必ず欲しいと思っていたバンや牛乳を、食べなくても平気になってきます。
ただ、「ほんの少しだけ・・」と何らかの乳製品・小麦製品を毎日食べている人は、なかなかやめられないものです。
中毒症状から抜けるには、最初の3週間は少々つらくても、完全除去することをお勧めします。
すると、パンや牛乳への渇望は消え去り、そのあとカラダはとても楽になってゆくのです。
お試しあれ!
参考文献
パンと牛乳は今すぐやめなさい! から一部引用しています。