いまだに糖質制限に妙なバイアスをかける医者がいるで書いた医者は、どうやら出版本のプロモーションと思われる記事を、書きまくっているようです。
今度は東洋経済であります!
「糖質制限」極端なやり方が健康に害をなす危険 名取 宏 : 内科医
糖質制限食についてはさまざまな病気を予防できると主張されることがあります。
しかし、短期的な検査値が改善したというデータはあるものの、極端な糖質制限食を推奨する医師も長期的なデータは提示できていません。
いきなり冒頭で嘘が書かれています。(笑)
「糖質制限食がさまざまな病気を予防する」という主張に、臨床的な証拠はほとんどないのです。
短期的に血糖値が下がっても、長期的な健康や長生きにつながるとは限りません。
そもそも、糖尿病ではない人には適用できません。
でも糖質や炭水化物をたくさん摂取し続けていると、糖尿病になりやすくなるのです。
まれに「人類が進化してきた過程では食物を狩猟採集に頼っており、その食事内容はきわめて低糖質であった。よって糖質制限食は人類の体に合っている」という理屈で糖質制限食が推奨されることもあります。
しかしながら、農耕を始める前の人類の平均寿命が短かったことを考えると、あまり説得力がありません。
現代は、歴史上で最も平均寿命が長い時代です。
論点は平均寿命の話ではないのに、唐突に今の方が平均寿命が長いと言う点を持ち出し、イコール糖質制限はリスクが少ないという、強引な展開。(笑)
現代の食事が最適とは限りませんが、そこからあまりにも外れた食事はリスクが高いと私は考えます。
以上の結果からは、「健康のために糖質を制限しよう。ご飯やスパゲティは我慢。その代わりに肉を食べよう」という食生活は、我慢を強いるにもかかわらず、逆に死亡率を上げるリスクがある意味のないものだと考えられます。
おすすめは「緩やかな糖質制限」
もちろん、好みで緩やかな糖質制限はしてもいいと思います。
長期的にどうかはわからなくても、糖質を制限することは総摂取カロリーの制限につながり、体重を減らすためには効果的だからです。
というか、私も体重を減らすために緩やかな糖質制限をしています。
「糖質制限は逆に死亡率を上げるリスクがある意味のないものだと考えられます。」
と書いておいて、「私も体重を減らすために緩やかな糖質制限をしています。」というのは妙な理屈だよね。
糖質制限に死亡率を上げるリスクがあるのなら、緩やかでも糖質制限は止めた方がいいんじゃないの?(笑)
これだけ糖質制限が広がり、医学誌にも掲載され、有効性が学会でも発表されるようになっているにも関わらず、未だに糖質制限に対して、反対する医者がいるわけです。
そうした医者は自らの不勉強を棚に上げ、科学的な根拠もなく糖質制限を批判します。
ドクター江部の糖尿病徒然日記に肉・魚が健康食である理由が記載されています。
単純には、700万年間の農耕開始前の狩猟・採取時代には、肉・魚はメインに摂取していたものの一つということです。
さらに絞って、我々ホモ・サピエンスは20万年間、狩猟・採集を生業として食生活をおくり、突然変異を繰り返して、消化管、栄養、代謝、生理システムを完成させました。
この間、肉・魚などをメインに摂取しながら、それに適合するように、人体のシステムは完成されました。
現実に、必須脂肪酸と必須アミノ酸、ビタミン・ミネラル・微量元素などは、人体で生産できないので必ず食材から摂取する必要があります。
これに対して必須糖質はなく、理論的には糖質ゼロでもヒトは生きることができます。
結局、狩猟・採集をしながら完成された人体のシステムの場合、狩猟・採集時代の食生活こそが本来の食生活であり健康食と言えます。
ですが農耕開始後1万年間は、穀物が主食となりました。
しかし、狩猟・採集で形づくられた人体のシステムにとって、摂取エネルギーの50~60%を穀物から摂取することは、本来無理筋なのです。
ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版
JS Garrow WPT james A Ralph 編
日本語版監修 細谷憲政
上記は、英国の最も権威ある栄養学の本で、920ぺージに及ぶ大著です。
この本の75ページに『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。
このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で
健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。
ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』と記載してあります。
常日頃、糖質制限食の立場から私が主張している、「人類の主食は穀物ではない」と完全に一致する内容ですね。
ヒューマン・ニュートリションでは、穀物の過剰摂取の害、特に精製炭水化物による「血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇」が
多くの点で健康に有害と強調しています。
これも私が日頃主張している「炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」
という説と、全く同じといっていいと思います。
糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化以外に、アルツハイマー病の元凶でもあります。
肉、魚など動物性タンパク質、脂肪の摂取では、血糖値の上昇もインスリンの過剰分泌もないので、上述の病気の予防可能であり、健康食と言えるのです。
糖質制限は、魔法ではなく、幾つかある糖尿病治療法の一つに過ぎません。
糖質を多量に食べ続けると、糖尿病になりやすくなってしまうわけで、糖質制限は予防方法としても、大いに意味があるわけです。
現在、年間約16,000人の糖尿病性腎症による透析が行われ、年間約3,000人の糖尿病網膜症による失明、そして年間約10,000人の糖尿病による心筋梗塞や脳卒中での死亡が起こっているのです。
こうした現実を前にしても、糖質をバクバク食べ続けるのですか?
大事な点は、糖質制限で炭水化物の摂取を減らしたら、減った分はできるだけタンパク質で補充することです。
総カロリーの摂取量が減ると、体重が落ちるからです。
糖質制限によるダイエット効果は、これを利用しているわけです。
いくら糖質制限をしても、プロテインで必要なタンパク質不足と、ビタミン類を補わなければ、健康な状態を維持することはできません。
というように、糖質制限には、意外な落とし穴があるのです。
極端な糖質制限は健康に害があると、主張している先生の文面からは、こうした点については全く脳裏に浮かんでいないようです。
ご愁傷様です。(笑)
コメントする