「肉は体に悪い」と主張される方は、意外に少なくありません。
「マクロビオテックという玄米菜食主義を続けている方は」「植物性のものが体によい」と思っているケースが多いようです。
「日本人は穀類や野菜を中心に食べてきたため腸が長いからとか、肉や脂肪を摂ると体調が悪くなる」、あるいは「食生活の欧米化にともない、肉や油脂を摂りすぎていることが病気の原因」などとい言われる方がいますが、これは間違いなのです。
肉は悪いという間違った健康知識を信じているために、心身共に不調をきたしている方は意外に多いのが現実です。
体と心の健康を取り戻すためには、考え方を切り替えることです。
まずは肉を食べることが大事なのです。
肉はプロテインスコアが高い食品です。
つまり人の体内で合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれている食べ物なのです。
なぜタンパク質が大事なのか?で「桶の論理」について触れていますが、必須アミノ酸をバランスよく摂らないと、体内でタンパク質として使われないのです。
牛肉はタンパク質と鉄がたっぷり含まれています。
牛や豚などの赤身の肉が赤いのは、鉄分が豊富に含まれているからです。
牛肉はタンパク質と鉄を一緒に摂取できるという、我々にとって非常に都合のいい食品なのです。
牛肉には良質のタンパク質や脂質が含まれ、さらにビタミン・ミネラル類が豊富で、病気を予防するなど生体調節機能があることが、最新の研究でもわかってきています。
牛肉には鉄のほかに亜鉛などのミネラルが豊富に含まれています。
飼料をふんだんに与えて大らせた霜降り肉より、グラスフェッド(牧草飼育)の赤身の肉の方が、良質の脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が多く含まれているため、よりお勧めしたい肉だといえるでしょう。
牛肉のどの部位を食べればいいのか?
鉄分が一番多いのはレバーですが、レバーは苦手だという人は意外に多いはずです。
牛肉の赤身の肉ならどの部位でも、鉄分もタンパク質も十分摂取含まれています。
加えてビタミンB類も豊富です。
肉の調理法はどのようなものでもかまいませんが、牛肉ならシンプルに塩コショウで味付けしたものがおいしいのではないでしょうか。
ソースに凝れば味のバリエーションはさらに広がります。
ただケチヤツプや中濃ソース、みりん、砂糖などの甘味がある調味料を多用したソースは避けた方がいいでしょう。
豚肉には、タンパク質と鉄はもちろんのこと、エネルギーの代謝を促すビタミンBl、皮膚や粘膜の生成を促すビタミンB2、筋肉や血液の生成を助けるビタミンB6などが多く含まれています。
なかでも、ビタミンBlの合有量は最も多く、豚肉100gを食べるだけで、日本人成人男子( 20?29歳)の1日の必要量の85%を摂れることになります。
しかも、豚肉のビタミンBlは加熱しても壊れにくく、体内での吸収率も優れています。
豚肉は牛肉より安価ですし、日々の疲労回復に最適です。
料理のバリエーションも多い肉ですから、ぜひ毎日の食卓に取り入れてください。
鶏肉は消化がいい
鶏肉は、ほかの肉と比較すると消化がよいのが特長です。
鶏肉に含まれるアミノ酸には、肝臓の機能を高め、脂肪肝の予防になる必須アミノ酸のメチオニンが含まれ、体全体の老化を防いでくれる成分でもあるのです。
アミノ酸結合体の一種であるイミダペプチドには、優れた抗疲労効果もあります。
鶏ムネ肉50gの中にはイミダペプチドが200彎と豊富に含まれています。
鉄分が多いのは鶏レバーです。
居酒屋で焼き鳥を注文するときは、必ず鶏レバーも食べるようにするといいでしょう。
ラム肉や馬肉、ジビエにもタンパク質が豊富日本の食卓では牛肉、豚肉、鶏肉が一般的だと思いますが、積極的に摂るとなると飽きてしまうという人もいるかもしれません。
そんな人は、ほかの肉を食べることにも挑戦してみてください。
ジンギスカン料理などに使われるラム肉にも鉄分や亜鉛は豊富に含まれています。
ラム肉にはL ‐カルチニンという脂肪燃焼効果の高い成分も含まれているため、ダイエットにもよいということで一時期ブームにもなりました。
馬肉は食べる機会は少ないかもしれませんが、タンパク質量は牛肉に匹敵する栄養満点の肉で、鉄分の宝庫でもあります。
カルシウムも多く含みます。
また、近年注目されているジビエ料理もおいしく楽しむことができるはずです。
ジビエ料理とは、鹿や猪、野生の鳥などの肉を使う料理のことをいいます。
たとえば、鹿肉は高タンパクで、鉄分も豊富です。
ヘム鉄は人間の体に吸収されやすく、貧血や冷え性を予防する働きを持っています。
臭みも少なく、いろいろな調理方法で気軽に楽しめます。
自然環境で育った野生動物の体は、天然の栄養豊富な食事と運動によってつくられています。
そのため、食用の肉と比べても栄養価が高いといえます。
肉や魚、卵などのタンパク質は、人間が本来欲しているおいしいものです。
一方、甘いものは食生活の変化で、ある意味で中毒になってしまった食べ物だともいえます。
質的な栄養失調から抜け出す方法
肉の安全性についてさて、肉の安全性を心配している方もいらっしゃるでしょう。
牛の飼育の際にホルモンや抗生物質を使用しているのは気がかりです。
アメリカ牛には、エストロゲンなどのホルモン剤や抗生物質が使用されており、それらによる乳がんや前立腺がんのリスクも指摘されています。
とはいえ、飼育の際のホルモン剤や抗生物質に関して、日本、ヨーロッパ、オーストラリアの牛肉は比較的安全だといわれています。
いくら格安でも頻繁にアメリカ牛を食べるのは避けて、できるだけ安全な産地のものを選びましょう。
ハムやソーセージなどの加工肉は、手軽に食べることができます。
おやつに菓子バンを食べるくらいなら、おつまみのソーセージにした方がいいでしょうが、表示の成分をよく確認して添加物が多用されているものは、食べすぎないようにしましょう。
ハム、ソーセージには着色料の亜硝酸ナトリウムが添加されていることが多く、これがアミンと反応すると、動物実験で発がん性のあるニトロソアミンを生じるとされています。
ですが、毎日大量に摂取しなければ、さほど心配することはないでしょう。
食品添加物は神経質になり過ぎないこと
食品添加物の摂取は少ないに越したことはありませんが、神経質になりすぎると何も食べられなくなります。
食品添加物の害を極端に恐れる必要はありません。
なぜなら、しっかりとタンパク質を摂り、解毒作用など内臓の機能がしっかり働くようにすれば、多少の添加物くらいで悪影響を及ぼさないように体はできているからです。
三石巌先生も「タンパク質と抗酸化物質、ビタミンを毎日摂っていれば、解毒されるから何を食べてもいい」といって、気にされていなかったそうです。
低タンパクの体質を改善できないと、解毒能力が低下するためそういう方は食品添加物を摂らないように気をつけた方がよい、ということになります。
ですが、その場合でも、必要以上に神経質になる必要はありません。
できるだけ自宅で調理したものを食べる。
そして加工食品はできるだけ少なくする、という程度のルールで、この点については、あまり神経質になる必要はありません。
参考文献
藤川 徳美 (著) うつ消しごはん から一部引用しています。
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