CS60の施術では、その効果を高めるための方法がいくつか存在する。
その中でも最も基本となるのが、早く動かすという方法だ。
一定の方向へ動かす速度は、振幅を少なくすることで、速くすることができる。
では、なぜ早く動かすと、よく効くのだろうか?
我々の体は60兆の細胞でできているのだが、その細胞には数百、数千個のミトコンドリアが存在している。
1細胞中には平均して300-400個のミトコンドリアが存在し、全身で体重の10%を占めているのだ。
1細胞あたりの数は、1つに維持されている細胞もあり、多い場合は数千個のミトコンドリアが絶えず分裂と融合を繰り返している。
ミトコンドリアは、ヤヌスグリーンによって青緑色に染色されている。
ミトコンドリアは外膜と内膜という二枚の脂質膜に囲まれている。
内膜に囲まれた内側をマトリックス、内膜と外膜に挟まれた空間を膜間腔と呼ぶ。
内膜はマトリックスに向かって陥入しクリステ(稜)と呼ばれる特徴的な構造となっている。
まわる分子との対話-ATP合成酵素のしくみを探るから引用させていただくが、下記がその模式図だ。
ミトコンドリアの生体膜で働くATP合成酵素には、世界最小の回転モーターが内蔵されている。
直径・高さ10nm程度の2つの回転モーター(F1、Fo)が結合した形状で、生体膜から突き出した部分がF1。
これがATPをADPとリン酸に加水分解して回転するという仕組みだ。
一方、Foは膜に埋まっている部分で水素イオンの流れを利用して回転する。
F1は単独でATPを加水分解するので、F1-ATPaseとも呼ばれる。
この2つのモーターは、互いの回転子と固定子とで結合してひとつのATP合成酵素となるわけだ。
それぞれの回転方向は、互い逆向きになっている。
細胞内では、強力な膜電位で動き始めたFoモーターが、F1を逆向きに強制回転させる。
そしてF1がATP加水分解の逆反応であるATP合成反応を進めるのだ。
細胞の中では分子がくるくると回り続けているのだが、この小さな酵素はすくなくとも20億年はくるくると回り続けているのだ。
この分子は、回転方向に押すと目が覚め、逆方向では目が覚めないという特性を持っている。
だが、サボっているF1をブラブラしている回転中心で停止させると、回転を再開しなくなるのだ。
放っておけば約30秒で回転を再開するのに、ブラブラを5分間とめると開放してもすぐには活性化しないのである。
CS60とATP回転
こうした特性から、サボっていたり、仮死状態のミトコンドリアは、CS60を往復運動させると、回転を始めることがおわかりになるはずだ。
施術する側からは、CS60をどの方向へ動かせば、ミトコンドリアを目覚ませることができるのかは、わかない。
だからこそ、CS60を様々な方向へ往復運動させたり、くるくると円を描くように回転させるわけだ。
そうして、CS60でたまたま回転方向へ押された時に、ミトコンドリアのモーターが目を覚まし、活動を始めることになる。
この回転を始めるときに、痛みが伴うのだ。
以上の説明でわかるように、この痛みは、強く叩かれて細胞が損傷した痛みとは、全く別物の痛みだ。
つまり痛みの発生する原理は、一般的な痛みとは、全く異なっている。
CS60の施術後に痛みが残り、人によっては5日間ほど痛みが継続する場合がある。
これは仮死状態だったミトコンドリアがTP回転を始め、目覚め始めている証でもあるのだ。
つまり多くの不活性化していたミトコンドリアが、CS60の施術によって、連鎖反応を起こしているのだ。
ミトコンドリアが次々と回転を始め、それが数日間継続するため、痛みが継続することになる、というわけだ。
がんとミトコンドリア
1955年、オットー・ワールブルクは、体細胞が長期間低酸素状態に晒されると呼吸障害を引き起こし、通常酸素濃度環境下に戻しても大半の細胞が変性や壊死を起こし、ごく一部の細胞が酸素呼吸に代わるエネルギー生成経路を昂進させて生存する細胞が癌細胞となる説を発表した。
がんの発生とmtDNAの突然変異の関与は古くから指摘されてきた。
2008年筑波大学の林純一氏のグループが、がんの転移能獲得という悪性化にミトコンドリアが関与していることを、マウス肺がん細胞の細胞質移植による細胞雑種の比較により、mtDNAの特殊な病原性突然変異によってがん細胞の転移能獲得の原因になることを発見。
ヒトのがん細胞株でもmtDNAの突然変異が、がん細胞の転移能を誘導しえることを明らかにしたのだ。
また、彼らの研究によると、mtDNAの突然変異には活性酸素種(ROS)の介在がキーであり、ROSを消去すれば転移能の抑制が可能ではないかと推測されている。
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