日本で、いわゆるバランスのいいと言われる食生活をしていると、とかくタンパク質が不足します。
ハワイ大学のヒルカー教授はハワイで日系米人について調査を行いました。
ハワイには、日系人が多く、彼らは自人と比べ血圧が高いのです。
そこでヒルカーは、この原因が食習慣にあると考え、動物実験を試みたのです。
ラットを2組に分け、A組には和食を、B組には洋食を与えました。
そしてその血圧を測ってみると、A組の平均は188、B組の平均は124。
この結果から和食が高血圧食であることが分かったのですが、ヒルカーはこれの原因を食塩と考えたのです。
そこでA組に与える和食の塩分を極端に減らし、B組に与える洋食の塩分を極端に増やしてみました。
すると、A組の血圧は予想通り188から134まで下がったのですが、B組の血圧は変わりませんでした。
ヒルカーは、日系米人の高血圧が、和食に多い塩分だけが原因ではなく、タンパク質とビタミンの不足にも原因がある、との結論に達したのです。
タンパク質の不足は腎機能の低下をもたらし、濾過作用を鈍らせます。
それをカバーするために血圧が上がる、というのが、この現象が起こる根拠なのです。
ヒルカーの実験により、タンパク質の追加摂取が、高血圧対策たり得ることを教えてくれました。
タンパク質は健康管理上の重要な鍵の一つであり、私たちが注意しているはずの普段の食事が、タンパク質不足に陥り、さまざまな障害を引き起こしています。
南北戦争で南軍兵士はなぜ敗けたのか
アメリカの南北戦争では、北軍が勝ったのですが、この勝敗の一因がタンパク質の多少にあった、と考えることができます。
北軍兵士は、肉や乳製品を十分に食べていたのに対し、南軍兵士は、トウモロコシに糖蜜という低タンパク食だったのです。
低タンパク食では、精神力も体力も低下せざるを得ないのです。
子供が低タンパク食で、さまざまな障害が起こる現象を「クフシオルコール」と呼びます。
カロリーは十分なのですが、タンパク質が不足しているのです。
クフシオルコールの特徴は、まず発育がよくないと言う点にあります。
髪の毛が灰色や白っぽくなり、他の子と色が違っています。
そして浮腫があります。
肝臓が脂肪を溜め、硬化し、湿疹ができやすくなります。
胃腸が悪く、イライラして、無感動になり、筋肉の発育が悪く、運動神経が鈍いため敏活な動作ができないのです。
そしてクワシオルコール患者の毛髪は、細くて抜けやすくなります。
クフシオルコールによる入院患者の死亡率は50%にも上るのです。
クフシオルコールに陥る低タンパク食をラットに与えてみると、そのラットの発育が遅いばかりでなく、迷路実験の結果は、知能の劣化を示しています。
クワシオルコールは、アフリカばかりでなく、南米諸国、インド、インドネシア、フィリピン、ハンガリー、イタリアなどにも見られます。
タピオカ、ヤマノイモ、サツマイモを常食とする地方に多く、米、麦を常食とする地方に少ないことから、糖質の摂取量や質にも関係があるのではないかという説もあります。
ストレスで低下するタンパク質
ストレスを引き起こす因子は「ストレッサー」と呼ばれますが、ストレツサーには、心労、苦痛、疼痛、飢餓、渇き、酷暑、酷寒などがあります。
ストレスが起きると体タンパクが分解され、タンパク質の異常消費が起こるのです。
従って、ストレスがひどい時、正常ならば十分なタンパク質を含む食事であっても、低タンパク食に転化してしまうのです。
この事実は、ストレスのある時はタンパク質を増量しないと、対抗することができず、低タンパク食に特有なさまざまな障害が出てくる可能性が高くなってくるのです。
特に今日の日本では、もともと低タンパク食の食習慣であるにもかかわらず、強烈なストレツサーのパンチに常にさらされています。
すると、ストレスによって、さらにひどい低タンパク食となってしまうという危険な食生活となってしまうのです。
ここで言う高タンパク食とは、何も贅沢な食事をしなければならない、ということではありません。
まずは、低タンパク食でない食習慣を身につける。
これが大事なポイントとなります。
成人では体重の55から60%が水で、残りの18から20%がタンパク質です。
タンパク食品といっても多種多様なものがあります。
肉も魚も豆腐も味噌も、チーズも卵も牛乳も、すべてがタンパク質の類です。
ではタンパク質を食べる場合、豆腐でも卵でも、何でも良いのでしょうか?
どんな形のタンパク質も、口に入れば、結局は同じものになる、と考えて良いのでしょうか。
では、タンパク質を大量に摂取する食生活とはどういうものなのでしょうか?
朝食に目玉焼き、夕食にコンソメと150グラムのビフテキ、というような食生活が、高タンパク食の名に値するのでしょうか。
通常の食事で、高タンパク食を構成するのは、不可能に近いのです。
つまり、高タンパク食の設計はかなり難しいというのが現実です。
現実としては、純粋に近い良質タンパクを添加するという方法を考えないと、大幅なカロリーオーバーを覚悟しない限り、高タンパク食を日常の食習慣に摂り入れることは不可能なのです。
この目的で作られた高タンパク食品は、形態からすると、液状、粉状、細粒状などに分類されます。
いずれも、アメリカで開発されたものです。
我が国に多く出回っている高タンパク食品は、粉状または細粒状で、牛乳や水などに溶かして飲みます。
溶けやすいのは細粒状の良質なタンパクで、タンパク質の比率の高いものに人気があります。
「三石 巌」氏の「高タンパク健康法」によると、大豆タンパクと牛乳タンパクとの適当な比率の混合物に、タンパク質の質を高めるための添加物などを加えた食品を「配合タンパク」と呼ばれています。
アメリカ製のこの種の食品の多くは、脱脂大豆粉に近いもので、タンパク質としては良質のものではありません。
アメリカ人の食習慣は、日本人ほどの低タンパク食に偏ってはいないため、これで間に合うのでしょう。
粉末タンパクや配合タンパクは、小型胚芽油やレシチンなどと共に、いわゆる「栄養補助食品」あるいは「健康食品」のカテゴリーに入れられています。
そして、この種の食品は、アメリカ渡来のものが大部分です。
そのカテゴリーに属するものとして、1970年頃に最初に日本に上陸したのは粉末タンパク食品でした。
高タンパク食で病気が治った!
ではここで、粉末タンパクの補給による高タンパク食で病気が治った例をご紹介します。
人に勧められるままに、粉末タンパクを飲んだ老夫婦が高タンパク食を始めてしばらくすると、目がよく見えるようになりました。
また、5年前に脳卒中のため中風で倒れ、リハビリに励む老人の娘さんが粉末タンパクを勧めたところ、老人は特別な期待もなく、高タンパク食を摂取していると、手足が少しずつ動くようになり、半年後には症状が全く消え失せたのです。
全身性エリテマトーデスの中年婦人顔は紅斑性狼療で、ところどころが、黒い布を貼り付けたようになっていました。
そして時々高熱が現れ、関節が痛むため病人特有の歩き方になっていました。
ところが高タンパク食を始めると25日で、そうした症状があったことなど忘れたかのように、全快してしまったのです。
全身性エリテマトーデスは、自己免疫病に属する症状です。
この免疫異常は、低タンパク食が原因の可能性が高いのです。
中年男性が、酔っぱらって駅の階段を踏み外し、頭を下にして墜落し、足と肋骨を骨折。
全身打撲で救急車で運ばれ、入院先から通報を受けた娘さんが、配合タンパクを届けたのです。
それが幸いして、たった3週間で、無事退院することができたのです。
「高タンパク健康法」三石 巌 から一部引用させていただきました。
901年 東京都出身
東京大学理学部物理学科、同工学部大学院卒。
日大、慶大、武蔵大、津田塾大、清泉女子大の教授を歴任。
理科全般にわたる教科書や子供の科学読み物から専門書にいたる著作は300冊余。
1982年 81歳の時、自身の栄養学を実践するために起業を決意し、株式会社メグビーを設立
1997年 95歳で亡くなるまで講演・執筆活動による啓発につとめ、生涯現役を全うした。
-先生は老齢までお元気で、一番参考になる方のおひとりですよ。スキーに行って亡くなられましたよね?
軽井沢まで主人と送って行きましたが、友人ご家族と合流するので1泊で帰ってきたんですが、スキーウェアーを脱がせて欲しいと横になったんです。初めての事で驚きましたが、95歳で自分でスキー靴を履いて、板をつけるだけでも凄いことだから、脱がせることぐらいなんでもないじゃないかと主人に言われ、そういうものなのかなぁ(笑)と思いましたけれど、だるいとか自覚があったのかもしれませんね。
-具体的な死因は、肺炎ですか?
誤嚥性の肺炎です。
食欲が無くプロテインも飲まなくなったので、アイスクリームやヨーグルトに入れて食べさせたんですけれど、「おじいちゃんがプロテインを飲まないなんて考えられないから、すぐに病院に行かなきゃダメだよ。」と息子が言っていると話したら、前田先生の所なら、とやっと納得したんです。孫の言うことには弱かったですね。
入院のお願いをして伝えに行った時には、吐血していて慌てて救急車を呼びました。赤坂までの道のりがものすごく遠く思えて、救急車がとても遅いと感じました。
着いた時には意識が朦朧としていました。1週間の入院でしたが、三日早く来てくれたら助けることができたのに、と言われました。
肺が真っ白でした。亡くなった後、調べさせてほしいと言われましたが、どこにもガンもなく、悪いところはなかったそうです。
前田先生には「身体でメグビーを証明しましたね。」と言って頂きました。
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