ウェーバー・クリスチャン病

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先日、ウェーバー・クリスチャン症候群という難病の方が来られました。

ウェーバークリスチャン病というのは、初めて聞く病名です。

 

日本での患者数が約100名という珍しい病気です。

ですので、調べてみました。

   

欧米では、ファイファー ・ ウェーバー・ クリスチャン病(PWCD)と呼ばれ、PWCDの治療は物議をかもしており、明確な診断基準がまだ確立されていないようなのです。

    

シクロスポリンAによる治療の成功 英文

シクロスポリンAに切り替えられたとき、患者の症状は消えた、と報告されています。

  

シクロスポリン(ファイザー社)は、アトピー性皮膚炎の治療薬。

シクロスポリンの免疫抑制作用は1972年に発見され、腎臓移植および肝臓移植後の拒絶反応抑制作用が確認されています。

  

  

ウェーバークリスチャン病  

  

ウェーバークリスチャン病は発熱と皮膚の奥にある脂肪に炎症が起き、多くのしこり(結節)ができる希な病気です。

脂肪に炎症が起きることがこの病気の原因です。

  

どうして炎症が起きるのかという根本の原因は不明です。

  

発熱を伴って再発を繰り返す、病原体によらない脂肪織炎で、1920年代に報告した2人の医師の名で呼ばれています。

炎症は菌の感染によるものではなく、原因は不明です。

  

食事や遺伝との関係もわかっていません。

若年から中年の成人に起きやすく、女性が7割という偏りがあります。

  

ステロイドホルモン薬の内服治療をしますが、効果がない時は免疫抑制薬(アザチオプリン、シクロスポリン)を併用します。

再発があるので年単位の治療が必要で、副作用は、膠原病の治療一般と共通です。

   

「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病で、なおかつ「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと考えられる疾病です。

わかりにくい表現ですが、長期の療養を必要とするとはいえず、診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていない、ということでもあるわけです。

  

皮膚疾患

   
自己炎症性皮膚疾患(中條-西村症候群ほか)

  

1.概要
自己炎症性疾患は、周期熱など慢性再発性の炎症を示すが、原因となる微生物や抗原が存在せず、獲得免疫(リンパ球)よりも自然免疫(好中球・マクロファージ)の異常亢進をその本態とする疾患群である。

中でも、クリオピリン関連周期滅症候群(CAPS)、TNF 受容体関連周期熱症候群(TRAPS)、化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・座瘡特(PAPA)症候群、ブラウ症候群、中條-西村症候群など特徴的な皮疹を伴うものを自己炎症性疾患とし、さらに、臨床的に類似するが疾患概念が明確でないウェーバークリスチャン病を取り上げる。

  

2.疫学

本邦での患者数は、CAPS 100 人、TRAPS 30 人、PAPA 症候群 数人、ブラウ症候群 50 人、中條-西村症候群 20 人、ウェーバークリスチャン病 100 人ほどと推定される。

 

3.原因

CAPS は NLRP3, TRAPS は TNFRSF1, PAPA 症候群は PSTPIP1, ブラウ症候群は NOD2 遺伝子の機能獲得型ヘテロ変異、中條-西村症候群は PSMB8 遺伝子の機能喪失型ホモ変異による遺伝性疾患である。

ウェーバークリスチャン病は原因不明の非遺伝性疾患である。

各遺伝子変異により、CAPS と PAPA 症候群では NLRP3 インフラマソーム、ブラウ症候群ではノドソームの異常活性化、TRAPS では異常 TNFR1 分子、中條-西村症候群ではユビキチン化蛋白質の蓄積によるストレス応答として、異常な炎症が惹起されると考えられる。

   
4.症状

CAPS では寒冷で誘発される蕁麻疹様紅斑、TRAPS では筋痛を伴う移動性紅斑、PAPA 症候群では壊疽性膿皮症と座瘡、ブラウ症候群では苔癬様肉芽腫性丘疹、中條-西村症候群では凍瘡様紫紅色班と結節性紅斑様皮疹・脂肪萎縮、ウェーバークリスチャン病では陥凹を残す有痛性紅斑が特徴的である。

また多くの疾患で発熱と関節炎を認める。そのほか CAPS では難聴や無菌性髄膜炎、TRAPS では結膜炎や筋膜炎・胸痛・腹痛、ブラウ症候群ではブドウ膜炎、中條-西村症候群では大脳基底核石灰化などを認める。

 

5.合併症

CAPS と TRAPS ではアミロイドーシスの合併が致死的となる。

また多くの疾患で関節拘縮を来す。

そのほか、CAPS と中條-西村症候群では精神発達遅滞、ブラウ症候群では失明に至ることがある。

中條-西村症候群とウェーバークリスチャン病では脂肪萎縮によるやせ・皮膚の陥凹を残す。

 
6.治療法

CAPSでは抗IL-1β治療が著効し、本邦ではカナキヌマブが保険適応となっている。

その他の疾患では副腎皮質ステロイドを中心に様々な抗炎症薬、免疫抑制剤、生物学的製剤が用いられるが、標準的な治療はない。

ステロイド長期内服による成長障害、緑内障、中心性肥満、骨粗鬆症などの副作用が問題となる。 

  

 
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本邦での患者数は、CAPS 100 人、TRAPS 30 人、PAPA 症候群 数人、ブラウ症候群 50 人、中條-西村症候群 20 人、ウェーバークリスチャン病 100 人ほどということですから300名ほどの方は、ある意味似たような種類の病気だとも言えるわけです。

 

CAPS疾患は、ヌクレオチド結合ドメイン、ロイシンリッチファミリー(NLR)、寒冷誘発性自己炎症性症候群1(CIAS1)遺伝子としても知られるピリン含有3遺伝子(NLRP3)における突然変異またはスペルミスと関連しています。

 

TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)は通常2-3週間続く高熱(弛張熱)の発作を繰り返すことが特徴です。

発熱に伴い、消化管の症状(腹痛・嘔吐・下痢)、痛みを伴う発赤疹、筋肉痛、眼周囲の腫脹などが見られます。

長期的には、腎臓の機能低下や、家族の中に同じ病気の人がいる可能性があります。

 

PAPA(化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・ざ瘡)症候群は、繰り返す関節炎による関節破壊・拘縮が問題となります。

治療には副腎皮質ステロイド剤が用いられますが、長期的な使用により副作用が発現します。

日本では2例の確定例があり、数名の潜在患者がいると思われます。

  

ひっくるめると自己炎症性疾患ということになります。

  

自己炎症性疾患は、伝染性ではありません。

患者が自分の病気の症状を再発している場合に、発熱、発疹、非感染性結膜炎、嘔吐、下痢、または病気と混同される可能性のあるその他の症状を抱えていても、誰にも感染しません。

   

症状は自己炎症性疾患によって引き起こされ、ほとんどの場合遺伝的突然変異によって引き起こされます。

病気の再燃と感染症を区別することは重要ですからね。

 

診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていない、ということは診断する医師によって、病名が変わる可能性があります。

そういえばALSも炎症を起こすことがあるんですね。

   

というわけで、奈良からお越し頂いた女性の方を、難病半額指定にさせていただきました。

次回の機会がありましたら、アタマをポイントにしてと考えています。

  

 

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