クエン酸で医者いらず に引き続き、なるほどと思う部分を、かいつまんでご紹介します。
私たちは長時間または短時間でも集中して仕事や勉強をすると、その後にどっと疲れが出ることがあります。
さらにスポーツや趣味を楽しんだ後で、心地よい疲労感が残ることもあります。
このように一口に疲労といっても、様々な疲労があります。
全体あるいは部分的に身体を酷使する一般的な身体の疲労だけではなく、眼の疲れや内臓の疲れなども同じです。
全身に疲れが出る全身疲労。
筋肉の疲労を指す身体的疲労。
そして、脳や神経の疲れという精神疲労。
さらに急性疲労、慢性疲労と分けることもできます。
急性疲労は、運動の途中や運動が終わった後に出てきます。
ですが普通は一晩ぐっすり眠つたり、激しい運動をやめてゆっくり休むことで回復します。
反対にいくら休養しても、回復が思わしくない疲れを、慢性疲労と呼んでいます。
これは、最初の疲労が回復し切らないうちに、次の疲労がたまったことで起こります。
厚生労働省では、半年以上続く自覚的な疲労感すべてを慢性疲労と呼んでいます。
ちなみに慢性疲労と、慢性疲労症候群とはまったく別です。
慢性疲労症候群の場合は、専門医による治療が必要です。
しかし、 一般的な疲労なら、自分自身で回復できます。
なぜなら、疲労の原因が解明されているからです。
クエン酸がなぜ疲労物質の乳酸を取り除く働きがあるのか。
これにはクエン酸サイクルまたはクエン酸回路と呼ばれる、食物から摂取する栄養素の分解システムが関係しています。
クエン酸サイクルは、イギリスのクレプス博士が発見したため、別名クレプスのサイクルと呼ばれています。
この学説は1937年に発表されると、高い評価を受け、1953年、クレブス博士はリップマン博士と共にノーベル賞を与えられました。
私たちが摂取した食物は、身体の中で栄養素が取り出されて吸収されます。
このとき、炭水化物はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に、油分はグリセリンと脂肪酸になります。
それぞれ、体内で消化吸収される器官は違いますが、最終的には二酸化炭素(炭酸ガス)と水に分解されて体外に排出されます。
クエン酸サイクルは、その過程を明確にしたもので、とくに二酸化炭素と水に分解される前の過程が重要です。
疲労物質・乳酸を産出する炭水化物
炭水化物はまずでんぷんに分解されます。
そしてブドウ糖に分解された後に、焦性ブドウ酸という毒性の物質を産みだすのです。
焦性ブドウ酸は身体をしびれさせる働きがあります。
これが体内にたまると発症するのが脚気です。
焦性ブドウ酸に水素がつくと乳酸になります。
乳酸にならなかった焦性ブドウ酸は、クエン酸に変わり、クエン酸サイクルに取り込まれてゆきます。
クエン酸サイクルでは、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、アルフア・ケト・グルタル酸、琥珀酸、フマール酸、林檎酸、オキザロ酢酸と順次、それぞれの酸に変化し、再びクエン酸に変わります。
各種酸に変化する過程でATP(アデノシン三燐酸、熱エネルギーのこと)と水、二酸化炭素が生まれるのです。
ちなみにタンパク質はオキザロ酢酸とアルファ・ケト・グルタル酸から取り込まれ、油分はアルフア・ケト・グルタル酸からクエン酸サイクルに取り込まれます。
このように循環していろいろな酸に変化し、また、クエン酸に戻ることからクエン酸サイクルと名づけられました。
疲労回復のカギを握っているのは、体内で発生される乳酸という物質です。
では、疲労物質である乳酸は、体内でどのように発生するのでしょう。
私たちは、活動に必要なエネルギーの素・ブドウ糖を食物から摂取しています。
ブドウ糖になるのは、ご飯やバン類、菓子類などに含まれている炭水化物です。
炭水化物は糖質とも呼ばれています。
糖質には多糖類(デンプン、グリコーゲン)、少糖類(麦芽類、ショ糖、乳糖)、単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)がありますが、単糖類にまで分解されてから、私たちの身体に消化吸収されます。
炭水化物はまず、日の中で唾液と混ざり、胃を通って十二指腸ヘ送られ、次に膵臓から分泌されるアミラーゼと混ざると、ブドウ糖や麦芽糖などに分解されるのです。
ブドウ糖は、エネルギーとして燃焼されます。
燃焼されたブドウ糖からは、焦性ブドウ酸(ピルビン酸)と乳酸が生まれ、最終的に無毒の炭酸ガス(二酸化炭素)と水になって、体外に排出されます。
この乳酸が疲労を感じさせる物質なのです。
その後、乳酸が分解されれば問題はありませんが、分解されないまま体内に残ると、私食物からエネルギーを摂取しているたちは疲労を感じることになります。
乳酸は、主に筋肉の組織などに蓄積されます。
そして肩の部分にたまると肩こりになり、腰にたまると腰痛の原因になるのです。
運動には無酸素運動と有酸素運動があります。
乳酸は、無酸素運動を行ったときに蓄積される性質があります。
無酸素運動は重量挙げや筋カトレーニングなど、酸素を取り込まない運動のことです。
瞬間的に息を止めて大きな力を発揮する特徴があるため、無酸素運動と言われています。
反対に、有酸素運動はウォーキングや軽いジョギング、水泳などを指します。
比較的長く行える運動で、酸素を取り込みながら行うのです。
体脂肪を燃焼し、健康効果を上げるのは、有酸素運動の方が有利だと言われています。
疲労感をなくすには筋肉組織にたまった乳酸を速やかに分解させなければなりません。
ところが、クエン酸が体内に入ると、乳酸が分解されるサイクルが活発になり、体内に蓄積されなくて済むのです。
つまり、どんなにしつこい疲労でも、クエン酸さえ飲めば、きちんと解消されるのです。
続く・・