筆者がやられた風邪は喉風邪。
全く熱が出なかった。
だがインフルエンザは高熱が出るのですぐ分かるはず。
38度の高熱は出なくても、全身倦怠感、食欲不振、関節痛、筋肉痛、頭痛も現れ「全身症状」が強く現れる。
インフルエンザは、肺炎や脳炎(インフルエンザ脳炎)などを合併して重症化することがあるので注意が必要だ。
インフルエンザ・ワクチンでも書いたが、イギリス政府が出資しコクラン共同計画が実施したタミフル研究班に日本人で唯一参加された医薬ビジランスセンターの浜六郎理事長が、日本のインフルエンザの予防と治療のガイドラインの誤りについてまとめられ、ネットで無料公開されている。
内容をわかりやすくまとめてみた。
抗インフルエンザ剤は不要で、害がある
日本では、インフルエンザにかかると、受診し、迅速検査で陽性であれば直ちにタミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤が処方される。
専門家や国は「抗ウイルス剤で早期治療」を推奨しています。
その結果、ノイラミニダーゼ阻害剤の使用頻度が、英国の 1000 倍超になり、タミフルによる異常行動後の事故死や呼吸抑制による突然死の害がいまだに続いている。
ノイラミニダーゼ阻害剤にウイルス増殖を抑制し重症化を防止する効果はない。
ヒトの体内のノイラミニダーゼの働きを阻害し、免疫を抑制し、症状が軽くなるのは見かけだけ。
重症化を防止せず、入院も死亡も減少する効果がないことは、コクランチームが確認している。
その上、タミフルは、異常行動後の事故死や、呼吸を止めて突然死する害が大きいため、使用すべきではないのだ。
インフルエンザワクチンは推奨しない
インフルエンザの予防には、ワクチンを毎年接種することが推奨されている。
しかし、日本のワクチンには、鼻や気管支の粘膜表面で感染防止するための免疫を作る働きはなく、感染を防止できないのだ。
有効と主張している観察研究はすべて、ふだんの健康状態を無視した結果によるもの。
最も信頼できる調査として有名な大規模調査(前橋調査)では効果が認められていないのだ。
また、公平な臨床試験を総合した結果では、日本と同じタイプのワクチンを使った高齢者には無効だったのだ。
海外では、16から65 歳の成人や小児では、不活化ワクチンなど(日本で許可されていない)の効果は認められている。
だが70 人余りに使って1人予防できる程度の効果敷かないのだ。
日本のガイドラインは薬剤使用を推奨
日本感染症学会の 2011 年の提言 [2](日本感染症学会2011)、日本臨床内科医会のマニュアル(臨床内科医会
17/18)[3]、日本小児科学会の治療指針 [4](日本小児科学会 2017)、厚生労働省の総合対策 [5](厚労省 2017)や
Q&A(厚労省 Q&A)[6] を見ると・・全例へ薬剤使用を推奨している!
日 本 感 染 症 学 会 2011[2] の 冒 頭 に 記 載 さ れ て い る2009 年のインフルエンザ流行時に出された同学会の見解が、端的に基本的考え方を示している。
日本では、インフルエンザにかかると、受診し、迅速検査で陽性であれば直ちにタミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤が処方される。
専門家や国は「抗ウイルス剤で早期治療」を推奨。
小児科学会も基本は薬剤使用を推奨
「日本小児科学会 2017」には、「多くは自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない。」との考え方が記載されている。
だがこの文面よりも前に・・
1.幼児や基礎疾患があり、重症化リスクが高い患者や呼吸器症状が強い患者
2.発症後 48 時間以内の使用が原則だが・・発症後 48 時間以上経過後も考慮。
3.基礎疾患を有さない患者でも、・・・各医師の判断で投与を考慮する。
と書いてあるため、4番目の「抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない」の趣旨が伝わっていないわけだ。
厚労省は早期受診を推奨
「厚労省 Q&A」では、インフルエンザにかかったらどうすればよいか?
の答えとして・・
(1) 具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
と、症状があれば、医療機関の受診を奨めている。
だが受診すれば「日本感染症学会 2011」や「臨床内科医会17/18」「日本小児科学会 2017」で述べているとおりに、ノイラミニダーゼ阻害剤が処方されるわけだ。
こうして、インフルエンザの治療に関して、何の制限もなされていないのが日本の実情なのだ。
抗ウイルス剤使用量世界一の元凶はガイドライン
その結果、日本では1000 人当たり、フランスの 50 倍、スウェーデンの 300 倍、イタリアの 1000 倍、英国の 1200 倍も
のノイラミニダーゼ阻害剤が使われている。
その結果が、異常行動の多発だ。
つまりウイルスは減ず、害だけがあるというのが実体。
タミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤がウイルスの増殖を抑えて症状を軽くする、という一般的な認識が間違いのもととなっている。
ウイルスが細胞から離れなくなるというだけで、米国の文書では、ヒトで増殖を抑制するとは記載されていないのだ。
むしろ、症状軽減がウイルスの増殖抑制とは無関係という確実な証拠があるくらいなのだ。
RS ウイルスは乳児に致死率の高い肺炎を起こすウイルスだ。
ノイラミニダーゼを持たないこの RS ウイルスを感染させたマウスにタミフルを投与すると、ウイルスは増えたのに症状は軽くなったのです。
その理由は、動物やヒトの体内にあるノイラミニダーゼの働きをタミフルなどが鈍らせるからだ。
ノイラミニダーゼは、刺激に対する防御や免疫に深くかかわっており、ノイラミニダーゼ阻害剤でその作用が抑えられるとウイルスと闘わなくなるため、症状が軽くなったように見えるわけだ。
だがその結果、腎障害や糖尿病などが起こり、インフルエンザのハイリスク者もかえって症状が悪化する危険性があるのだ。
コクラン報告 [8] でも推奨されていないのだ。
2017 年、WHO(世界保健機関)は必須薬剤リストの改訂でタミフルを必須薬剤から補助薬剤へ格下げしている。
ハイリスク者への使用は残されたが、次の改訂ではタミフルそのものが削除されるはず。
ノイラミニダーゼ阻害剤の中でもタミフルは、特に、異常行動を起こしやすく、呼吸を止めて突然死の害がある危険極まりない物質だ。
異常行動や突然死の害の発症機序は明瞭で因果関係は確実なのだ。
ノイラミニダーゼ阻害剤の症状軽減の見かけの効果と遅発性の害の機序も、英文で総説記事で詳しく述べられている。
コクランとは別のグループのシステマティック・レビューを根拠に、使用を推奨する意見もあるが、すでに批判論文が出されている。
インフルエンザワクチンの効果は?
インフルエンザワクチンは万能ではない
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待される程度の効能だ。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本。
現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はない。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度で、過信するのは禁物。
ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生される。
だが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできないのだ。
インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが、あまり上手くいっていないのが現状だ。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいのだという。
東京・練馬区の特別養護老人ホームで、入所者49人が年末から年始(2017/2018)にかけて相次いでインフルエンザに感染。
このうち、症状が重かった6人が医療機関に入院したということですが、現在は回復しているという。
前橋市は2017年12月28日、同市内の病院の入院棟にいた入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、このうち80代の女性が死亡したと発表。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していたという。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなっている。
ワクチンは効かない、害があるだけ
「日本小児科学会 2017」では、「インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症を予防する効果があり、学校での欠席日数を減らす効果も報告されている。」とし、その根拠の一つにコクランのシステマティック・レビューが引用されている。
だが、このシステマティック・レビューでインフルエンザの発症を予防する効果があった、というワクチンは、日本では承認されず販売もされていない医薬品なのだ。
さらにワクチンには強力なアジュバント(補助剤)が添加されているために毒性が強い、という欠点を持っている。
一方、日本で用いられているワクチンは、ウイルスの部品を集めたもので、スプリットワクチンあるいは、サブユニットワクチンと呼ばれている。
このワクチンを注射してできる抗体は、インフルエンザウイルスが発熱や免疫の作用で壊されるとばらばらになって血中散らばった N や H などの部品を処理するための抗体だ。
つまり、ワクチンでできる抗体は、「ごみ処理のための抗体」でしかないのだ。
インフルエンザウイルスの侵入を防止しないことは、「厚労省 Q&A」にも書かれている。
一方で害は大いにあり、まれとはいっても、ギランバレー症候群や、ナルコレプシーなどの神経の難病、アナフィラキシーやけいれんなども起こすのだ。
日本の医療機関の主張する「入院や死亡」の防止という効能には全く根拠がない
「日本小児科学会 2017」が「インフルエンザによる入院を減らした。」とする根拠文献は、症例 - 対照研究の結果です。
しかも、最も重要な因子「ふだんの発熱状態」で補正がされていないので、信頼できないのだ。
「厚労省 Q&A」で、高齢者の発病を 34 ~ 55%阻止し、死亡を 82%阻止したとする根拠は、相変わらず、最も質の悪い観察調査によるものだ。
当日に熱があったり、日頃から病気であったりした場合はワクチンの接種を控えるわけだ。
そういう背景を無視して、病気勝ちでワクチンを打たなかった(打てなかった)人と、比較的元気でワクチンを打った人とを比較しただけの、典型的な欠陥調査が日本では罷り通っているのだ。
ふだんの健康状態とは全く無関係に、ワクチンを使用しなかった集団とワクチンを使用した集団のインフルエンザ様の発熱を比較した大規模調査は、群馬県前橋市医師会の調査 が唯一のものだ。
2年間にわたり 10 数万人を調査して全く差を認めなかったのだ。
今でも、世界で最も信頼できる調査なのだ。
日本で使われているスプリットワクチンを用いたランダム化比較試験で症状の抑制効果をみたものは、高齢者に用いた Govart の試験が唯一。
その試験結果によると、ワクチンに症状軽減効果はなかったのだ。
むしろ死亡者はプラセボ群3人に対してワクチン群6人と、ワクチン群に多かったほど。
小児や、非高齢成人に対するスプリットワクチンのランダム化比較試験では、抗体の上昇を見ているだけで、症状の抑制効果を見ているものはないのだ。
65 歳未満の成人に使用した効果についてまとめたコクラン・レビュー でも、ランダム化比較試験の解析でワクチンによる症状軽減効果を認めたのは、不活化ワクチンと弱毒生ワクチンのみ。
それも、70 人に使用して1人のインフルエンザを予防できただけでしかないのだ。
インフルエンザにかかったらどうすればいいのか?
インフルエンザに罹ったときは受診のために外来待合室へ行くべきではない。
なぜなら、そこにはふだんから病気がちの人や高齢者などリスクのある人たちがいるわけだ。
その人たちに感染させる恐れがあるのだ。
インフルエンザは受診も、薬剤の服用も不要。
十分な栄養と水分をとり、休養と睡眠を取る良い機会と考えて、ひたすら自宅で休むこと。
有効な治療薬は存在しないのだから。
苦しい症状を抑える対策をすればいい。
頭痛がひどくて眠れないときなどは、少しのアセトアミノフェンを摂取するなどの方法だ。
インフルエンザと解熱剤。使ってもいいのはアセトアミノフェンだけ。
あとはひたすら休養を取る。
これがベストの治療法なのだ。
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一方日本のメディア、たとえば東洋経済の記事では・・
ありゃあ・・
これも間違いだらけ・・(笑)