下記のような商品説明書がメールで送られてきた。
↓
商品の説明書になります。
ベルデン8412、8423、88760、英国バイタル、ドイツノイマン、説明書
ベルデン8412には、標準で説明書が付きます。同時出品しております、
ドイツ製のノイマンや、英国の音そのもののバイタルのケーブルを購入
のかたにも、この説明書を送らせていただいております。
ノイマンとバイタルにつきましても、この説明書内のセッティングの項
目で、どうしても避けて通る事が出来ませんので、言及しております。
88760は8412に近いですから、8412を88760と読み替えてください。
8423につきましては、8412の、さらに高度なバージョンですが、バ
ランス専用になります。バランス接続でないと、威力を出せません。
8412は、フラットです。米国の音楽を鳴らすには、完璧なフラット
です。フラットという意味は、非常に単純ですが、回りの機材との兼
ね合いが付きまといます。少々長い説明書になってしまいました。
大事なことばかりで手を抜いて書くことができませんでしたし、同じ
く出品しておりますデジタルケーブルのほうの説明書より、複雑な記
述になってしまいました。そのうえ私見を述べざるを得ない部分が、
デジタル・ケーブルよりもアナログ・ケーブルのほうが、事情が複雑
である分、多くならざるを得なかった点も気がかりです。
「フラット」の本当の意味は、よく言われますように、個性がなくてつ
まらないもの、そういうものではありません。フラットは、とても個性
的でいて、普遍的です。個性的なのは、実は「フラット」そのものでは
なく、原音(生音)のほうです。生音は非常に表情豊かで、力強く、そ
れでいて個性的です。
それを、そのまま映し出すという意味に置いて、「フラット」は、欠か
せません。クセがありますと、音は、固まります。表情が一面的になり、
まるで能面のようです。豊かさを失ってしまうのです。
「フラット」は、スポーツに例えることが出来ます。イチロー選手の
フォーム、王貞治選手のフォームです。彼らは、フォームがごくわずか
狂っていただけで、スランプになります。
同じ事が「フラット」についても言えます。
「フラット」というフォームから生み出される音(打球)は力強く、し
なやかでいて、そしてパワフルです。それが「フラット」です。逆に言
うと面白くなります。少しだけフラットからずれていた場合がそうです。
これが、ずいぶんと、驚くほど、エネルギーを失っているのです。高校
野球のレベルになってしまうのです。
物は何でもそうですが、物理的にピュアーになった途端、突然のように、
特性を変化させます。鉄(Fe)が化学的にピュアーな存在になりますと、
永久に錆びない金属へと変貌します。
水が、化学的に不純物の無い、ピュアーな存在になりますと、どのよう
な洗剤よりも強力な洗浄力を、突然持つに至ります。これは驚嘆するほ
どのものです。洗剤が、まるで必要ないのです。
「フラット」も、全く同様であると、考えて下さい。
説明が専門的になりすぎたきらいもあり、気になっています。短く分か
りやすくという改訂を進めなければならないと考えております。
ご利用いただければ幸いです。
以下が説明書です。
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■ベルデン8412を使われるかたへ
この度は、プロ用ベルデン8412を購入していただきましてありがとう
ございます。世界的業界スタンダード、音の標準です。プラグは、ス
イスの純プロ用プラグメーカー、ノイトリック社のRCAプラグです。
まず、ケーブルのプロ用と民生用についてです。どの業界でも、プロ
用と民生用とでは、値段がまるで違います。プロ用のほうが、常にと
ても高価です。ところが、音楽機材については、ケーブルもそうです
が、逆の現象が起きています。プロ用が安く民生用が高価です。
このことは、民生用のほうが良いということには、勿論、なりません。
他の業界の商品と同じで、プロ用のほうが、圧倒的に品質が良いもの
です。
8412は、プロ用です。いくら高価なケーブルであろうが、それが5万円
であろうが7万円であろうが、30万円であろうが、その値段設定がおか
しいのであって、(オーディオの世界は、特殊で、そういう世界です)、
民生用がプロ用に勝るということは、どの世界でも同じです。あり得
ません。値段による判断は、一切除外して下さい。
■世界のハイエンドケーブル
ベルデン(米国)バイタル(英国)カナレ(日本)モガミ(日本)
ノイマン(ドイツ)
以上の五社だけが、ケーブルのハイエンド・ケーブル・メーカーです。
私とヤマハのスタッフのかたが知る限り、これ以外にはプロの使用に
耐えるハイエンドのものは、世界に存在しません。
■ここで英国バイタルについて言及しなくてはなりません。
英国音楽にぴったりのバイタルは、ケーブルの製造中止に伴って、販
売をやめていた経緯があります。
英国のクラシック(EMIとDECCA)や、ビートルズ、ローリングストー
ンズ、ピンクフロイドなどの音楽が完璧に鳴らせる貴重なケーブルで
あった事から、非常に皆さんに好評だったケーブルで、その代わりに
なるものは存在しませんでした。バンデンハルなどという英国製のケー
ブルを試してみても、全く(本当にまったく)ダメだったのです。
ところがバイタルについては、運良く再入荷することに成功しました。
今は再販しておりますので、ぜひ今のうちにお買い求め下さい。
★最近のゴッサムというケーブルにつきまして
ゴッサムというケーブルをプロ用として押している業者もおりますが、
ウソが非常に多く、お世辞にも良いものであるとは言い難い代物に過
ぎません。
上記の五社に比べますと、使用目的、及び用途がはっきりせず、雲泥
の差で劣ってしまいますので、間違ってもお勧めが出来ないレベルの
ものに過ぎないのです。
いくらスチューダーのテープデッキに使われていただの、ノイマンと
同じだのと、そのようなゴタクを並べられても、実際にノイマンとは
「音そのもの」に雲泥の差がある以上、真偽が全くはっきりしないよ
うな噂に過ぎず、しかも現状米国でも、誰も使っていないというほど
の低レベルのものであるとの(当社の取引先のケーブル業者からの情
報ですから間違いありません)、事ですので正しい認識をして下さい。
それが米国のケーブル業者の証言である以上、事実であるからに他な
らないからです。
ゴッサムなどという四流品は、民生用ケーブル同様、使えば後悔する
だけでしょう。
勿論当店は、ゴッサムの全ての銘柄のケーブルの音を実験したうえで、
これを書いております。使いものになるケーブルは、たったの一品種
たりともなかったのだと、ここに、責任をもって、証言致します。
が、ボロい民生用よりは、まだましなのでしょうか。やらせかどうか
までは分かりませんが、ゴッサムを、それでも褒めている書き込みが
ネットには散見できます。
★オークション
四流品のゴッサムをプロ用として、一回きりの取り引きのオークショ
ンなどで、売っている、という輩もいるようですので、ゴッサムには、
厳重に注意されてください。
これを一般の業者が売っているのでしたら、その業者は、四流の業者
であると、見限って下さい。音などろくに聞かずに売っている証拠で
す。
★再度書きますが、ハイエンドメーカーは、たったの五社だけです。
ベルデン(米国)バイタル(英国)カナレ(日本)モガミ(日本)
ノイマン(ドイツ)
■カナレとモガミの違い
カナレとモガミは似ています。非常に似ていますが、少し違います。
モガミの世界標準品(2534)は、フラットです。カナレの標準品の
4E6Sはハイが落ちます。それは、少しだけの差で、どちらも非常に
優秀ですが、モガミのほうがよりフラットに近いものと思われます。
モガミの2534は、実は、レコーディングスタジオ御用達のものです。
それが理由で、昔からの日本の録音は、モガミ2534の色が付いてい
ます。
機材同士を結ぶには、色の無いモガミもあります。それが、モガミ
2549です(当店でも扱っております)。
ただ、日本の音楽の再生というオーディオ用には、2534のほうが、
優れています。日本の録音には、モガミ2534の色が付いています。
カナレの場合にはPA現場(コンサートホール)などで良く使われてい
ます。四芯ものは、やはり日本の録音の色を少し持っておりますが、
これも二芯のものは、フラットに近いものが中にはあります。
が、どうして当店がそれを出さないかと言いますと、モガミ2549
だけで、柔らかいフラットのケーブルは、十二分であること、そして、
ベルデン88760には、到底かなわない事などがあげられます。
おおむね、どのプロ用ケーブルメーカーも、本当に優れたマイクケーブ
ルは、せいぜい一種類か二種類だけですが、ここで重要なのは、アナロ
グケーブルは、全て(プロ用も)、長さによって、音が変わるという点
です。短ければよいというものではありません。
短いほうが良いとされているのは、オーディオ業界の、高額なケーブル
だけの話であり、クセのあるケーブルが多すぎるがゆえ、短く使ったほ
うが、クセが、比較的出にくいからに他なりません。長いとクセが増幅
されると、考えてください。
プロ用は、民生用ほどのクセを持ちませんが、ケーブルによって、音は
違います。ケーブルの国籍によって音が違うというのが、正確な表現
です。それと、ケーブルの長さによる違いが生まれます。これはモガミ
も8412も同様です。
また、短すぎるケーブルはいけません。なぜなら、ノイトリックのプラ
グよりは、プロ用ケーブルの特性のほうが優れていますから、プラグの
影響力が多くなるからです。
柔らかい音のケーブルを長めに使えば、よりいっそう、音は柔らかくな
りますので、どこか別のところで硬い音のケーブルを使って、プラスマ
イナスゼロとし、フラットに持ち込みます。これが、セッティングです。
音が硬すぎる場合には、柔らかい銅の単線などをスピーカーケーブルに
使って、30mでも40mでも、非常に長く引く!、これがセッティング
の極意です。
■RCAプラグ
次に、RCAプラグについてです。ノイトリックは、世界的なプロ用スタン
ダードのプラグメーカーです。その信頼性は抜群の領域です。昔はバラン
スプラグしか入手できませんでしたが、いつの間にかノイトリックRCA
が入手できるようになりましたので、ノイトリックを使わせていただいて
おります。
ノイトリックは、ほとんどのスタジオや放送局がそうでしょう。必ず入
れています。それは、日本のみならず、世界中そうです。
ノイトリックのプラグは、ケーブルの音をそのまま転送するプラグです。
クセがあまりありません。音の抜けもいいです。ノイトリックにつきまし
ては、優れたプロ用ケーブルの持つ能力を、極限まで引き出してくれると
思います。
他のRCAプラグでは、8412の底力は、おそらく引き出せません。
ただ、ノイトリックが優れているとはいえ、限界はあります。88760ほ
どのフラットなケーブルを使う際に、30cmのケーブルで両端にノイトリッ
クを付けるのは、全く無意味です。88760の完璧なフラットを、ノイトリッ
クといえども、影響力が強くなると、壊してしまいます。
ですから、88760、88770あたりも、本当は、最低でも、1m前後の長さ
が理想です。
一番悪いのは、米国のスイッチクラフトです。これは8412にも用いられ
ていた事があり、その音を聞いているかたは、その先入観で、8412を見
ているかたも多いと思いますが、実際には、それは、8412の音ではなく、
スイッチクラフトの音でした。全体が、ネットリしてしまい、オーディオ
用途には、全くダメと言い切れます。それほどまでにダメなプラグである
と、考えて下さい。海外製なら何でも良いというものではありません。
スイッチクラフトの使いどころは、ギターだけです。ディストーションの
かかった、ねっとりとした音が欲しい場合だけに、楽器一つだけに使うと
いう使い方です。本来、RCAプラグを発売すべきメーカーではないと思い
ます。
ただ、昔のスイッチクラフトは、ウーレイにも使われていた事があり、完
璧なフラットを出していましたので、今のものがいけないだけなのか、機
材のほうが、ウーレイはスイッチクラフトに合わせた音にしていたものの、
他社はそれをしていないというだけかもしれません。
■バランスプラグ
バランスプラグで日本でよく使われていますのは、スイス製のノイトリッ
クと、日本製の○○○でしたが、最近ではノイトリックのほうが多くなって
きています。バランスプラグは元々業務用ですので、質が高いものですが、
○○○よりは、ノイトリックのほうがピュア-で多国籍に対応していると思い
ます。特にノイトリックは、銀色のスタンダードのものが金のプラグを備
えた機材には、という限定付きで、良いです。
金メッキのノイトリックは、プロからの依頼の場合に限って、製作もしてき
ましたが、最近、サイトでiPodを紹介するに至りました。これは、CDPより
遙かに、数段、音が濃密です。今後は音の濃密な音源が主流になっていくで
しょう。
オーディオには、XLRプラグを使う時には、機材側が金ならば、ケーブルに
は銀、機材側が銀ならば、ケーブル側は、金、という考え方でセッティング
してください。
プロ用機材となると、機材を連結する数がものすごく増えていきます。それ
らも全て、上記の公式の通りに、セッティングしてください。
金+銀=フラット、という公式です。
それと、電源ケーブルのプラグ、それの非メッキ化が、オーディオには、最
も重要です。
ここで、重要という場合は、気のせいでの音変化というレベルのことを書い
ているのではありません。音が激変することだけを問題にしています。激
変させて、意図的にコントロールして、フラットに持ち込むのがセッティン
グです。
なお、他社のバランスプラグは、音の抜けが悪いですから、当店はノイトリッ
クしか使っていません。
■マイクケーブルの伝統性
マイクケーブルは、もはや伝統的です。何も変えられません。8412ですと、
徐々に変化はしてきていますが、1950年代からの音をそのまま受け継いで
います。その頃には、高級なハンダは存在していませんでした。
ケーブルには、スタジオに係わっている業界のものや、ケーブル製作のプ
ロしか知らないことがあります。
よく自作ケーブルで使われているような高価なハンダを選べばよくなると
は、当店は考えておりません。高価なものにはリスクが伴うと見ています。
伝統的=旧式ということですから、スタンダードなハンダがベストと考え
ています。すずが60%のはんだのことです。こういうことを知っているの
がプロのケーブル職人です。
私は旧式と書きました。それは事実ですが、それでは、何かそれに勝る新式
のものがあるかというと、皆無です。デタラメのものばかりが世にはびこって
しまいました。すでに完成してしまっているものは、改善できません。
ケーブルには、プロの手に委ねなければならない理由が色々あり過ぎます。
素人ではまず気付かない、または、まるで知らない部分が、意外なところ
にあります。具体的には、二芯のケーブルの配線は、プラスに一芯しか接
続してはなりません。二芯ともプラスに接続しますと、精緻なバランスが
壊れます。どうせバランスの整っていない民生用ケーブルでしたら、これ
は問題にはなりませんが、プロ用ケーブルの場合には、大問題です。
こういうことは、本当にミリ単位のバランスの違いに過ぎません。ところが、
ミリ単位と申しましても、先に言及しましたように、レーコンマミリ単位のピュ
アーな「フラット」こそが、突如として別物へと生まれ変わることを考えます
に、不要な調整とか、神経質な調整とか、そういう風には、私は思いません。
ミリ単位の課題をクリアーするや否や、レーコンマミリ単位という単位は、
最後の重要な課題へと発展します。
これは一体何かと申しますと、フォームの整った王選手が、ホームランを
続出するに、似ています。つまり、スランプ状態ではない、王選手という
ことになります(それは非常に珍しいものです)。プロのメジャーのレコー
ディング・スタジオの音、一日借りて、30万円から50万円のスタジオの音
が、ミリ単位かと言うと、そういうものでもありません。
優れたマスタリングエンジニアの自宅のモニターシステムくらいしか、本
当のフラットは存在しないでしょう。レーコンマミリ単位以下の精度のリ
ファレンス・システムは、途端に難しくなります。コンセントプラグのメッ
キ、非メッキからのチューニングになってしまいますので、世界にもあま
り存在しないと思います。
■誤解
あるかたが、「今のオーディオマニアは、数千万円かけている人がいくらで
もいるのだから、スタジオより上の音はいくらでもあるでしょう。」と、言
われました。
それは全くの誤解です。あり得ません。単なる機材自慢のかたの音がそれほ
ど良いことは、100%の確率で、ありません。
機材そのものレベルが、まず第一に、民生用の機材とではあまりにも性能が
違いすぎます。金額ではなくて、それ以前に、機材の品質が問題です。
金額でものを言いはじめると、全部間違います。金額を基準にすることは、お
金を多く費やせばいいという、とてもだらしのない発想を生みます。気に入ら
なければ、より高額なものへと、走ります。
そういうものではありません。具体的に書きますと、全てプロ用機材で、合わ
せて総額40万円もあれば、一億五千万円のニーブの卓を置いているメジャース
タジオの音くらいでしたら、簡単に越えることができます。ただし、全ての機
材に、プロ用機材を用いることが、前提です。
■音の標準
ベルデン8412は、米国の音の標準です。米国の音楽は8412で音が合います。
マイクケーブルは普遍的です。音楽のジャンルによって、使い分けているわ
けではありません。8412は、ロックにも、ジャズにも、クラシックにも、
使われます。
音の標準には、色々な解釈があります。ベルデンの解釈は、とても深いも
のがあります。本当の意味でのフラットというのは、民生機の中に入れる
と、かえって分かりにくい場合もあります。
ベルデンの本当のフラットより、民生用機材に民生用ケーブルを合わせて、
偶然にも特性を相殺し合っている、見かけ上のフラットのほうが、むしろ
部分的にはフラットである場合があります。片方が高域が強い機材で、片
方が高域の同じ部分が弱い機材、この組み合わせが、相殺関係を生みます。
つまり、相性が良いということになります。
ただ、ここで私が強調したいことは、全く同じ音域部分を相殺し合う機材
などは、一つも存在しないということです。奇跡でも起きない限り、それ
はありません。
民生用が偶然にもフラットに近い音を出していたとしても、本当のフラッ
トを出すのは、全く不可能です。
フラットな音が得られない場合に、プロ用ケーブルに不信感を抱くのは間
違いであり、機材のどれかに問題があることになります。
バランスを壊している機材(犯人)を探し出すのは簡単です。他の機種に
入れ替えて、バランスが取れた場合、その機種がバランスを壊していた元
凶であったと考えればいいだけです。
プリアンプが犯人らしき時は、パワーへの直結を試みて音出ししてみるの
が、一つの手です。ただし、この方法は、だいたいの感じをつかむための
方法で、長くするものではありませんので、ご注意下さい。電気的にはプ
リで受けてからパワーへ流すのが、インピーダンスの整合上、理論上は、
情報量が増えて、音質的に勝る筈です。ただ、条件としては、優秀なプリ
があった場合です。
残念ながら、優秀なプリは、ごく少ないですから、失敗に終わるケースも
多く、直結を好むかたもみえます。
当店は、優れたプリアンプとして、DJミキサーや、レコーディング用の、
卓ミキサーをプリアンプの代わりに使う事をお勧めしております。
それしか、本当にフラットのプリアンプは、世界広しといえども、存在し
ないのです。
■仮定
一つの仮定をしてみました。
もし、万が一、レコーディング・スタジオ以上の、パーフェクトなセッティング
が、自宅でなされていたとしたら、そういう誰かがおられたら、という仮定で
す。実際には、そういうことはありません。F1とゴーカートの違いであること
が大半です。
しかし、その場合こそが、8412を使ううえで、最もシンプルで、単純です。セッ
ティングがパーフェクトなら、レコーディング・スタジオで録音に使われたケー
ブルと同じもので再生することがベストであり、スタジオと同じバランスと音質
が簡単に得られます。この理由は後述いたします。
我々は日本人ですから、日本の音楽と、米国の音楽とを中心に聞きます。他には、
英国とドイツのクラシック音楽でしょうか。特に米国の音楽は想像以上に多く、
7割がたの洋楽が米国音楽です。
その場合には、ベルデン8412がベストチョイスになります。
レコーディングスタジオ、又は、マスタリングスタジオ並みのフラット・・・、
この場合、8412とバイタルとノイマン、そして、モガミ(又はカナレ)しか、
まるで必要なくなってしまいます。たったの五種類です。しかも安価です。悩
む必要など、はじめから、全くなかったのです。
■仮定(プリ-パワー間)
プリとパワー間は、おおかた、ベルデンの88760か、88770で合います。大半
の場合には、そうだと考えて下さい。
88760で、機材同士のフラットを作り上げてしまえば、それまでです。日本の
スタジオでも、米国のスタジオでも、マイクケーブルをインターコネクトに使っ
ております。元々はマイクケーブルこそが、インターコネクトだったものを、
単なるケーブル屋が、オーディオ用として、ケーブルを売り出したのが、間違い
の元凶です。
ただ、マイクケーブルは、国籍の色を持ちます。88760と88770だけは、ベル
デンのものですが(米国製ですが)国籍の色が全くありません。機材同士を接続
するには、こういうものでないといけなかったのです。
いくら高額なケーブルとて、それは、単なるケーブル屋の製作にすぎません。
プロの中のプロ用ケーブルとは、雲泥の差があります。フラットのことなど知
るはずのないかたがたに、良いものが製作できると考えたり、仮定したりする
ことなど、無意味なことです。
米国のスタジオでは、マイクケーブルは今も頻繁に8412が使われます。ミ
キサーとパワーアンプ間につきましても、ケースバイケースでしょうが、
8412が使われる事は非常に多いと思われます。
そういうわけもあって、米国録音には、8412の色が混じります。ただ、それ
を再生する時には、一箇所に8412を使えば十二分です。機材同士まで、8412
にする必要はありません。機材同士は、あくまでも、88760、又は、88770
(バランス接続の場合には、88770)にしてください。
■問題
問題は、CDP---プリ間です。ここは、カナレ(モガミ)と8412と、バイタル
とノイマンの四種類が必要になります。
日本の音楽を聴くときはモガミ、米国の音楽を聴くときは8412、英国クラシッ
クやビートルズを聴く時にはバイタル、そして、ドイツクラシックの音楽には
ノイマンです。
二系統の出力を備えたCDPやDACは多いですから、両方接続しておいて切り替え
ることは容易です。ノイマンも合わせて3系統ということであれば、DJミキサー
を使えば容易なことです。バイタルもノイマンも、今まで、ほとんどのかたに好
評でした。英国の音楽や、ドイツの音楽が、パーフェクトに鳴るのです。
特にノイマンにつきましては、米国のジャズも、ある程度鳴るようです。
古い録音は、ノイマンの機材で、レコードのカッティングがされていました。
マイクとマイクケーブルも、ノイマン製です。すなわち、全世界の録音に、ノイ
マン色が入っているのだと、考えて下さい。それはもろに、結果に出ています。
プロ用のレベルからして不思議なことではないのですが、それにしても一人残ら
ず、ほぼ全員のかたがうなずく、ノイマンというケーブルというのも、珍しいこ
とのように感じています。これは、ノイマンが、世界でも非常に特殊な立ち位置
にあった事が原因ではないかと思います。
さて、セッティングさえ間違いなければ、という、あくまで仮定のうえでのこと
ですが、日本の音楽がカナレ、又はモガミで合い、米国の音楽が8412で合い、
英国の音楽がバイタルで合う理由は、日本のスタジオで使われてきたケーブルが
長らくモガミであり、英国はバイタルとまったく同等の音のケーブルだったので
あり米国のそれは8412であったという理由につきます(ドイツはノイマンです)。
再生は、録音時のそのままでの、逆の行為をするわけですから、こういう現象が
起きます。マイクや楽器、又はシンセサイザーという音源がCDPに入れ替わるだ
けです。
もっと単純化してもよさそうです。両方とも同じ再生行為と言えます。マスター
テープで鳴らしていた音楽、その音楽の音源が、マスターテープから、CDPに入
れ替わるだけと言えます。従って、録音時に使われるプロ用ケーブルこそが、品
質面においてのみならず、論理的にも、再生用としての最高峰になります。
上記のことから、「この、?万円のケーブルは、とても音が良い」などという宣
伝文句や、オーディオ雑誌の評価などは、「たわごと」にしか過ぎないことは、
明らかです。
■セッティングの見直し
プロ用ケーブルで音を出してみて、理想的な音と遠くかけ離れている場合には、
セッティングを見直す必要があります。高価な機材を使っておられるかたは、
システムが正しいと信じておられる傾向が強く、その場合、そのシステムを基
準にケーブルを判断します。
ケーブルを、機材より、低く見てしまうのです。
それは大きな誤りで、8412やノイマンや、バイタル、そして、モガミやカナレ
を入れるということは、スチューダー社の放送局用のCDPを入れたと同じくら
い重要なことであると考えて下さい。
プロ用ケーブルを、プロ用ハイエンド機材のように見ることは、民生用アンプ
より上に見ることは、とても重要なことです。
自分のシステムの音より(それがいくら高価なものでも)、スタジオ機材、
あえてケーブルを、スタジオ機材と言ってよいでしょう、8412やノイマン
やバイタルのケーブルの出してくる、嘘偽りのない音のほうを、信用して下
さい。
ただし、セッティングのための音出しをする時は、そのケーブルの国の録
音で音出しして下さい。これは、基本です。国とケーブルは合わせてセッ
ティングして下さい。でなければ、セッティングが失敗に終わることが、
目に見えています。
■特性の部分的相殺関係
アナログケーブルの場合は、本当に回りの機材のバランスとの関連が深い
ですから、互いに狂ったバランスの欠点を相殺し合っている関係が発生し
ている場合に限り(普通は誰もが経験的に相殺関係にあるケーブルを良し
としているはずです)、民生用ケーブルのほうが、良く聞こえます。
8412は何も相殺しませんから、機材のクセやセッティングの欠陥を全部音
に出してきます。8412に交換して、最初に音が出てくる、その瞬間、特に
その瞬間には気をつけて下さい。8412を誤解しかねない瞬間が、その時で
す。
民生用同士が相殺し合っている関係、それは本当のフラットではないがゆ
え、すぐに飽きるものですし、よりよくしようと思えば、より機材の欠点
を相殺し合うケーブルを探さなければなりません。そして、それを見つけ
出したとしても、またしても本当のフラットではなく、ある日気がつくと、
一番聴きたかった特定の音域だけがフラットに聞こえていたのだ、という
だけの結果に終わります。
違う音域を聞かなければ楽しめないような、他のCDをかけたときなどに、
それに気が付きます。正しかったはずの特性が、実際には狂っていたこと
に気づきます。
本当に正しいセッティングは、上記のような堂々巡りではなく、どんな音
楽をも、ジャンルに係わらず、楽しませてくれるものです。
民生用同士の相殺関係に頼る限り、相変わらず全体の特性は、ばらつきが
あり、波を打っています。ゆえに、このケーブルが好きとか、嫌いとか、
音の好き嫌いを問題にしなければならなくなります。私は、私見ですが、
音は、好き嫌いで語るべきものではないと考えています。好き嫌いで音を
語る限り、それは、オーディオの泥沼の真っ只中にいるものだと考えてい
ます。
上記の問題以外に、もっと大きな問題があるとすれば、機材、ケーブルの
特性全部にばらつきがありますから(特にケーブルですが)、
「何を信じて良いのかが、分からない状況下にあること。」
に尽きます。
これが最も大きな問題です。信じてよいものが一つもなければ、八方ふさ
がりで、前へ進むことが出来ないうえ、信頼できるものを手に入れたとし
ても、その価値すら分からないことを意味します。結果、好き嫌いの領域
で再び語らざるを得ません。が、それは誰にとっても、仕方がなかったこ
とでもあります。品質の悪いものを高額で売っているメーカーの責任だと、
当店は考えています。デザインに誤魔化されている側も幼稚であり、問題
がありますが、メーカーの責任は重いです。オーディオという泥沼で、人
生を誤ったかたがたが、どれほど多いかについて考えると、そういう結論
を出さざるを得ません。
くどいですが、多くのかたは、いつだって、ケーブルよりも、機材のほう
を信じているものです。民生用ではあるが、高価な機材であったのだから
評価も高いだろうし、間違っているはずがないという思い込みが、その理
由です。
これは8412やモガミやバイタル、ノイマンを使ううえでは、大きな誤りに
なります。
プロ用は次元が違います。8412や、バイタル、ノイマン、モガミ、カナレ
のほうが、間違いなくそれらの機材よりレベルが高いどころか、その信頼
性と精度は、スタジオの一億五千万円のミキサー(プリアンプの最高レベ
ルのもの)に匹敵します。それらのケーブルは、一億円のスタジオミキサー
の連れ合いであり、運命共同体なのですから、当然のことです。
最も分かりやすく書きます。
「8412、ノイマン、モガミ、カナレのケーブルは、レースに例えれば、
F1というジャンルです。民生用アンプ、CDPは、例えそれが100万円
でも、200万円でも、せいぜい、ゴーカートです。」
最も分かりやすい表現だと思いますが・・・、
「そこまで言いますか?」
と、聞かれたかたがいました。そのかたに、安価なF1用品を、紹介しま
した。一台の安価な59,800円のF1アンプと8412の音を聞いただけで、
そのかたは、民生用、100万円のアンプが、単なるゴーカートレベルのも
のに過ぎないことを、即座に理解されました。
■万人が好きな普遍的な音
誰でも、一番好きな音は、もしも聞くチャンスに恵まれるならば、あまり
高域を出し過ぎてはいないレコーディング・スタジオの音に違いないことを、
再確認下さい(モニターし安いよう高域を出し過ぎているスタジオもあるか
らです)。
そこには音の好みというものは、存在するようで、ほとんど存在しません。
あくまでも生音が基準で、それに最も近いものを良しとしますから、好み
の問題とは別の次元になります。とても生々しく、聴くというよりは、目前
に見えている音になります。本当の音は、目の前に、実体として、見えます。
生音に近いものを良しとする理由は、「音」というものが、「生音」に近
い場合、はじめて本当のバランスや音質が、人間の耳に、より正確に判断
できるからです。レコーディングは仕事ですから、完璧さを要求されるが
ゆえです。そしてその音は、怖いくらいに美しく、普遍的な音です。
残念な事は、一日借りて50万円 100万円というようなスタジオほど、そ
のレベルの音は出ていません。
しかし、私は完璧な生音が、プロ用ケーブルを使うことによって、誰の自
宅でも出るものだということを、既に知っています。
誰でも本当のフラットを一番良い音と感じます。本当のフラットは、前述
しましたように、生音に近いですから、驚くほどに音が良いですし、人間
の耳は優秀ですから、生音に近い音を聞けば、それが良い音であることが、
すぐに分かります。
すぐそこで生ギターが鳴っているように聞こえる音、すぐそこにボーカリ
ストが立っている、又は座って歌っているように聞こえる音、ボーカリス
トの唇の動きが目前に見えてくる音、舌の動きの音、それすら分かります。
それは、聞けば、誰にでもすぐに分かります。と同時に、それ以上の音は
存在し得ないことも分かります。それが優れたレコーディング・スタジオの
音です。
その音を、ベルデン8412・バイタル、ノイマン・カナレなどの、プロ用ケー
ブルを使わずに実現することは、極めて困難なことです。プロ用ケーブル
を使わずには「不可能」と、見限って下さい。
民生用のケーブルと高価な機材に振り回されて、行くあてのない試行錯誤
を永遠に続けていくよりは、プロ用ケーブルを基準にして、回りの機材を
選んだほうが、はるかに近道です。ルートを逆方向へ向けることこそ、本
当は正しく進む道である、ということを、私は知っています。
■プロの電源
プロはまず、電源が違います。とはいえ、難しいことではありません。ど
この家庭にも配電盤までは来ている、単相200ボルトです。200ボルトはノ
イズを拾いません。反面、100ボルトは、拾いたいだけノイズを拾ってい
ます。200ボルトはバランス転送ですので、ノイズを拾わないという簡単
な理屈です。200ボルトのまま、部屋まで延長して、オーディオルームで、
100ボルト、又は、115ボルトにダウンします。
(全てのスタジオさんではありません。音にこだわるスタジオさんだけで
すが)
■間違ったケーブル
どこかに間違ったケーブルを使っても、セッティングは、まるで不可能に
なります。ベルデンの89272と89207という、テフロン系のアナログケーブ
ルとしてオーディオショップなどで販売されているものは、音声用のケー
ブルではなく、コンピューター用ですので、用途がまるで違います。バラ
ンスを崩すだけですので、一旦、使用を中止して下さい。
前述した二種のテフロン系の危険なケーブル、その両者のインピーダンス
は、89272は、78Ω、89207は100Ωです。双方とも特殊コンピューター用
となります。
なお、同じくベルデンの水色の81553というものは、MIL-STD-1553(ミリタ
リー・スタンダード・1553)という軍用規格の、これまたデータ転送用で
すので、これも、システムのどこかに使われているかたは、一旦、使用を
中止してください。水色の81553、その他上記のケーブルはオークション
でよく売られておりました。オークションの定番でしたから、今でも時々
出てきますので、注意してください。
他には、89259というのもアナログケーブルではなく75Ωの映像用同軸ケー
ブルですので、用途が違います。デジタルケーブルとしてならば優秀でしょ
う。89259をアナログケーブルと宣伝するかたもおり、皆さんが、それに惑
わされます。そういう現在の状況を、私は危惧しています。
したがって、上記の種種のケーブルを売る側は、明記すべきことと考えて
います。売ってはならないとは考えていません。本来の使用目的、正しい
インピーダンスの表示、それらの情報を明記すべきでしょう。
それでも使いたいかたが、使えば良いと思います。
■スピーカー・ケーブル
一番良いスピーカーケーブルは何かと聞かれることがあります。スピーカー
ケーブルは、用途によって様々な太さのものが使われることもあって、業
界標準がないがゆえ、マイクケーブルより選択が難しいです。
が、一番悪いケーブルは何かという問いでしたら、指摘するのは簡単です。
値段の張る、高級なものです。30万円のRCAケーブルや60万円のSPケー
ブル(笑えてくるほどの値段です)などです。たかがケーブルが、なぜ高級
一眼レフやバイクの値段と同じなのか、これは冷静に考えれば、誰にでもお
かしいことが分かるはずのことです。一眼レフは、バイクは、とても製作が
大変です。長年技術の蓄積した一流メーカーにしか、できないことです。
一度、赤と黒の、あの誰もが知っていて、誰もが捨てたことさえあるかもし
れない、あの細いメーター100円の赤黒ケーブルに交換してみて下さい。
8412をインターコネクトに使う以上、スピーカーケーブルがフラットで
ないと、その悪さが全部出てしまいます。数万円のものより赤黒のほう
が、よりフラットです。赤黒が完成しているとは、間違っても言いませ
ん。が、そのほうが、高級ケーブルなどよりは、よくなる可能性のほうが
高いです。
高級スピーカーケーブルを使用したままですと、8412を使用しても、高
域が強いはずです。そうすると、高域の出にくいインターコネクトケー
ブルのほうが良いということになり、わざわざ、良いものを捨て、8412
より、遥かに悪い、フラットではないものを拾う結果になります。
具体的には、前述しました、75Ωの同軸映像ケーブルなどのほうが、ア
ナログケーブルに使用すると音が合うなどということになってしまいま
す。この理由は、同軸ケーブルは、非常な長距離転送用ですので、単線
が多く、単線は、非常に音を柔らかくしてくれるからです。高域を弱め
る効果があります。これが、相殺関係です。
したがって、高級スピーカーケーブル(高域が強い)を使う限り、デジ
タル信号用の同軸ケーブルをアナログに使うほうがバランスが合う、つ
まり良いケーブルだ、などということになりかねません。これもまたケー
ブル地獄(ケーブルの果てしない迷い道を、私はケーブル地獄と呼んで
います)に陥っていく悪循環の一つのケースです。
今のところ当店が勧められるベストのスピーカーケーブルは、古くからあ
るWEの伝説的なスピーカーケーブル、又はその復刻版、その他、ベルデ
ン本社の技術部門開発の、ベルデンの定番商品の、スピーカーケーブルで
す。8460と8470です。こちらはサイトでも販売しておりますが、単なる
黒と白のよってあるものですので、偽物が非常に多いですから注意してく
ださい。
■モガミ社のケーブルとカナレの方向性について
ベルデン8412を日本でフルに生かすためには、時としてモガミ、又はカナレ
のケーブルが必要になります。機材が日本製である場合や、録音が日本で行
われたものを再生するときがそうです。
■方向性についての結論
カナレ社は、以前、通販をしておりました。
そのカナレ社の通販のケーブル一つ一つには、配線図がそれぞれ書かれてい
ました。
それら全てに、片側シールドを外したもの、つまり方向性のあるケーブルは、
一本たりとも、ありません。プロ用は最高を求めます。これが方向性につい
てのカナレ社の結論です。方向性は電気的に何らの意味も持ちません。ケー
ブルの性能を落とすのみです。
惑わされないで下さい。カナレ社の出した、「方向性は否」の、結論を信用
して下さい。それは、一億円五千万円のミキサーに接続されているものです。
さきほどの問題に逆戻りしそうです。方向性を作ると音が変化します。音を
変えて楽しむのか、つまり、好みでものを語るのか、プロ用ケーブルが本来
持っている、抜群の信頼性を最優先させるのか、いづれを選択されるかとい
う問題です。好みでものを語るや否や、金額に惑わされて真実が見えてこな
いと、私は思います。
さて、カナレと8412、そして、ノイマン、バイタル、モガミ、これらは、
どれが良いのか、という問題ではなく、レコーディングに用いられたケーブ
ルで再生することこそ、一番音の品質も良く、全体のバランスも適正な状況
下に置かれます。
8412は、昔は長い間の業界スタンダード、今でもしばしば頻繁にレコーディ
ングに使われてきました。ハリウッドで撮られた映画の音も、ことごとく8412
で、ぴったり合うと思います。ただし、このことは、音の入り口からプリ部
分のことです。その後のプリ-パワー、スピーカーケーブルなどは、なりふり
構わず、とにかく、フラットが出るものであれば、良いです。
とはいえ、民生用ではどだい無理な相談です。プリ-パワー間は、ベルデン
88760、又は、88770(バランスの場合)がベストです。
スピーカーケーブルは、WEの復刻版か、ベルデンの8460、8470系がベスト
です。
モガミ・カナレとベルデン、ノイマンの違いは、決して多くはありませんの
で、どの国のものを、どのケーブルで聞いても、それなりに鳴らしてはくれ
ますが、より合うほうを使えば、より生音に近づきます。これは一目瞭然で
す。生音にほんの少しでも近づいたとしますと、それは、聞けば誰にでも分
かります。システムの音が、生が基準になり始めますと、ごくわずかの違い
を正確に判断できます。耳が特に良い必要はありません。誰にでも分かりま
す。少しのセッティングの変更によって、生音から少しだけ外れたり、少し
だけ近づいていく時の様子、その違いは、すぐに分かります。
そのあたりの領域の音を基準にし始めると、機材やケーブルなどの、ものの
良し悪しが、完全に把握できます。この状態にあるシステムが、リファレン
ス・システムとして機能するものです。
■音と音楽の普遍性
なお、CD-プリ間のことですが、日本の音楽をモガミ、又はカナレで鳴らした
バランスと、米国の音楽をベルデン8412で鳴らしたバランスと、ドイツの音
楽をノイマンで鳴らしたバランス、英国の音楽をバイタルで鳴らした音は、
システムさえしっかりしていれば、驚くほどの全く同じバランス、及び、全く
同じ音質になります。
アメリカン・サウンドとか、ブリティッシュサウンドというものは存在しま
せん。この言葉の発祥は、レコーディング時に使用したものとは違う種類の
ケーブルで、他の国で聞く音について、語られたものでしょう。又は、音の
問題ではなく、音楽性の問題を語った言葉なのかもしれません。
このことは、古今東西、音楽を表現するための最も快適で適正なバランスは、
どの民族にとっても全く同じだったのだ、ということを意味しています。そ
れは当然のことでしょう。音は、常に「生音」を基準としています。
「原音追求」とか、「原音追及派」という言葉が、私には、とても無意味な
言葉に感じられます。プロで、わざわざ原音を追及しようとして、そうして
いる者はいません。追及などしなくとも、それほど努力しなくとも、原音に
近い音は、それなりの機材とケーブルを使えば、簡単に出ます。
■民生用デジタルケーブルの弊害
なお、DAコンバーターをお使いのかたで、アナログケーブルを8412にして
も、全く改善効果が見られない場合は、原因は8412にあるのではなく、デジ
タルケーブルの効率の悪さにあることも、考えられます。
そのメカニズムは・・、
情報の欠落したデジタルケーブルを使う--> 高域が落ちて聞こえる-->
7Nや8Nの高域のきついケーブルにするとちょうど具合がいい ---> それ
が良いケーブルだとして、長らく使うことになってきた ---> 急に8412
に変える--> デジタルケーブルの弱点をそのままさらけ出して、高域
が落ちて聞こえる、
という悪循環に入っているものです。
この場合、デジタルケーブルも、アナログ同様、プロ用をお求め下さい。
ベルデンのテフロンの75Ωの映像用ケーブルが、プロ用では、特に最高
品質です。なぜ映像用かと言いますと、デジタルケーブルには、業務用
は存在しません。デジタル転送の業務用規格は、AES/EBU、三極の転送に
なります。BNCプラグでの75Ωケーブルによる転送が、映像用の業務用規
格になります。
さて、民生用オーディオメーカーが取り決めたデジタル転送は、RCAプラ
グによる、75Ωケーブルによる転送です。規格としては、勿論、最低レ
ベルの能力になります。しかし、カナレ社が世に放ったRCAプラグは、
BNC並みの能力を誇り、最低レベルの規格を一気に押し上げることになり
ます。私が出品させていただいているケーブルに使用しております、カナ
レ圧着75ΩRCAプラグが、それです。
現在、四種類の最高峰のケーブルを出品させていただいております。
1506Aと、1695A、そして、1694Aです。
極めて高度な性能のデジタル・ケーブルが必要になられましたら、オー
クションで検索され、商品説明のほうを、ぜひともご一読下さい。
1506A、1695Aは、双方とも色は白です。デジタル・映像は、特殊用途のた
め、色ですぐにそれと分かるものが望ましいと思います。1694Aにつきまし
ては、激安の値段で出しています。お金のないかたも、これにて、最高のケー
ブルを使っていただくことが可能になりました。
デジタルについては、良い悪いは、はっきりしています。情報を100%
転送しているのか否か、それだけです。アナログほどには、難しくはあ
りません。
我々は、本当の事を知るべきでしょう。1506Aは世界最速、宇宙空間を走
破する光のスピードの84%のスピードを誇る、最高峰のものです。他に出
品しております1695Aは、82%を誇ります。他にもベルデン社には、82%
のもの、83%のものなど多くあります。この数字は、確かにダイレクトに
同軸ケーブルの性能を表しています。
しかし、出品にも記述しています通り、80%を越えれば、同じです。精密
機械で検査しても1mや2mくらいの距離の転送では、情報転送能力に
違いは出てこないと思われます。
日本の放送局内の映像用同軸ケーブルで、80%を越えるようなものを使っ
ているところは皆無でしょう。80%を越えるものを使うということ自体が、
贅沢の極みです。
私の、それらの80%オーバーのケーブルの出品の売価は、二千円、三千円
前後です。
もう一つの本当のことです。民生用同軸デジタルケーブルの性能を、上記
の基準で計測すれば、さんざんたる結果になることが、音からして、想像で
きるということです。例えそれが7万円のものであったとしても、10万円だっ
たとしてもです。
○○○○○○という、非常に高価なケーブルを売るメーカーがあります。
一本20万円、30万円、50万円です。木の箱に入って売られます。いかにも、
高級感を演出します。
そこのケーブルは、光の93%だの、96%の表示がされております。不審に
思いましたので、少し調べさせていただきました。
そのメーカーは、実に、まるで違う基準を持ち出して、表示していたことを
ここに明らかにしておきます。
ところが、そのメーカーからの回答は、虚偽でした。業務用ケーブルの規
格、厳格に光に対してのスピードである「VOA」という規格と、全く同じ基
準であるとの、ウソの回答が英語で、返ってきました。
これが、民生用の、高級ケーブル(金銭を奪うケーブル)の、正体です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なお、スピードが必要なのは、デジタル・映像ケーブルのみです。
8412、ノイマンなど、アナログ信号用のケーブルには、スピードなどは、
全く必要ありませんので、これもまた、誤魔化されないでください。
■プロ用と民生用
プロ用と民生用の違いについて、追記しておきます。カナレというと、安
いことを知っているかたもいて、馬鹿にする人がいます。ところが、レコー
ディング・スタジオの一億五千万円のミキシング・コンソール(プリアン
プ)を生かしているのは、日本では、一日借りて30万円というメジャース
タジオでは、カナレが10%、モガミが90%くらいの比率で使われていま
す。
プロの現場が、モガミが本当に良いから使っているのは当たり前のことで
す。使用する機材は、一億五千万の機材です。たかがケーブルです。いい
ものでしたら、10万円でもプロは出します。それよりモガミのほうが良い
から、使います。この事は非常に重要です。
さて、米国では、それらのスタジオ用の超ハイエンド機材の能力を、極限
まで引き出しています。米国はオーディオの発祥地です。本家本元なので、
これは当然ですし、仕方がありません。その立役者は、ベルデン8412です。
この8412の深みについて少し説明を加えておきます。
■本当のフラット
まず、音楽には、周波数特性上のフラットが必要です。フラットとなります
と、とたんに生き生きと、音楽が目前で鳴り出します。しかし、それだけで
はありません。倍音成分というものが他にあります。これは、「音の輪郭を
カチッと形づくる成分」と考えて下さい。音のリアル度、生々しさなどに係
わっている要素と考えていいかと思います。周波数特性と倍音成分、この両
方がきちんと両立していて、初めて本当のフラットになります。それは、ほ
とんど怖いくらいに生々しい音になります。
倍音成分は、周波数特性には全く関係ない要素です。倍音成分と周波数特
性とは、似て非なるものです。この二者は、分けてお考え下さい。
通常、民生用機器で測定されているのは、周波数特性のほうです。倍音成
分のほうは測定不能と思われます。我々は耳で聞いて判断するしかありま
せん。
この二つの、周波数特性と倍音成分との両方が生音に近ければ、最も理想
に近い音、つまり、生音に近い音が出ます。これを実現するには、勿論ケー
ブルだけでは無理で、アンプもスピーカーもCDPも全ての品質が高度に揃
わないと出来ませんが、まずは、第一にケーブルです。ケーブルが理想と
遠く離れていては、第一歩が踏み出せません。
周波数特性のほうは、測定可能なものですので、モガミもベルデンもバイ
タルも、民生用の比ではなく、非常な正確さを持っています。三社の間に
少々の違いがあったとしても、問題になるほどのものではありません。
ここで問題にしますのは、倍音成分です。ベルデン8412の場合は、倍音成
分に対しても、適正にフラットに転送するように出来ています。これは耳
のとても良い昔の技術者が実現したことと思われます。それは実に見事で
す。又は、エジソン以後、WEへ、WEからアルテックへと受け継がれて
いく伝統の中で完成したものです。ベルデン社は、その設立が、確か1901
か1902年です。
倍音成分、周波数特性、シールド力、これら相反する全ての条件が、ほと
んど、完璧な図式で封じ込められているケーブルが8412です。
反面、カナレとモガミは、倍音成分は取り扱っておりません。ケーブル単
体で、周波数特性上のフラットと、シールド力の強化を目指し、倍音成分
に関しては転送力が弱いと言えます。これは欠点かといいますと、必ずし
もそうではなく、カナレやモガミはプロ用ケーブルですから、電源、又は機
材側のほうに倍音成分を求めていることになります。
モガミの場合、倍音成分の量を決めているのは、従って、機材側というこ
とになります。
■安い機材とハイエンドの機材
とても意外なことですが、決してハイエンドではない安い機材こそ、8412
がベストフィットして、途端に生き生きと音楽が鳴り始めるというケース
が、非常に多く見受けられます。世界最高峰の8412ケーブルが、ミニコン
ポなどの能力を、意外なほど全開させてしまうことが、往々にしてありま
す。
反面、ハイエンドのオーディオを使うかたで、民生用の高級ケーブルなど
に手を出しておられたりしますと、話がややこしくなります。8412の価値
が見えてきません。
これは、民生用につきましては、ハイエンドの機材だからといって、バラ
ンスが正しいとは言えないことを示唆しています。8412というケーブルは、
まるで生き物のように、オーディオルームで何が起きているのかを、我々
に知らせてくれます。
ある日、そのへんに転がっているミニコンポの音を聞いて、「あれ、なん
でこんなものが、こんなにいい音なんだ?」ということは、誰もが経験さ
れていますでしょう。それは決して気のせいではありません。セッティン
グ不足のハイエンドよりは、とても聞きやすく、良い音です。
こういうことを書くと元も子もないのですが、音楽を楽しむには、まず特
性を安定させることが重要であることは、確かなことです。
■選択が難しいジャンルのもの
民生用オーディオにおいて、特に選択の難しいジャンルのものは、二種類
あります。プリアンプと、ケーブルです。次に、パワーアンプです。
選択の難しいジャンルは、品質が低い商品が、特に多く集中しているジャ
ンルです。
なぜ我々がオーディオなどという、いかにも簡単そうなことに足を取られ
てしまって、泥沼を這う結果になるのかについては、上記の、あてになら
ないものばかりが、高級なふりをして出回っている三種類のジャンルが、
いつもオーディオ界に係わっていて、それが根深くはびこってしまってい
るからに他なりません。
一番ましなのは、音の入口である、CDPの直接音と、ある程度の値段以
上の古いスピーカーだと思います。新しい最近のスピーカーは安定してい
ないと思います。
■妥協
それでも経済的理由、デザインへのこだわりなどで、手持ちの民生用を使
わざるを得ない、または使いたい場合もあります。万が一、カナレばかり
でも、うまくいかず、ベルデンばかりでもうまくいかなかった場合の調整
方法を記しておきます。CDPからプリをカナレ、プリから、パワーアンプを
ベルデン、という方法があります。その逆もあります。逆にしますと、音
質が変わります。スピーカーに近いほうのケーブルの特性が、より多く特
性を支配します。ですから、これを利用して、双方を入れ替えたりすれば、
ベターなポイントが探し出せます。
■プロ用ケーブル追記
プロ用のケーブルの場合、前述しましたように、周波数特性、または、倍
音成分のフラットさを、必然的に求められていますが、それを実現する為
の技術の深みは我々の想像を越えています。諸条件や様々な計算がそこに
はがあり、書き出せないほどでしょう、と、想像します。
それら全てについて、完成に至るまで徹底的に長い時間をかけて、試行錯
誤して考えて抜いてあるのか、それとも、何もしていないのか、これが本
物のケーブルか否か、本当のアンプか否かを、分かちます。
勿論、オーディオ用の民生用ケーブルは、何もしていません。金属業界が
銅の洗練度を上げた、さぁ、作れ、ケーブルを作った、音が出た、こうい
う音のケーブル、で、販売します。それだけです。それをオーディオ雑誌
が、こうこう、こういう「音作り」がしてあると、「音作り」と表現します。
もう一つ最後に8412の特筆すべき点をあげておきます。8412には内部に麻
が使われており、また、コットンラップが表皮の下側に使われております。
それが麻であり綿である理由は、経年変化による帯磁がないからです。何
十年経っても音が変わらないようにという配慮です。スタジオで20年間ミ
キサーからアンプにつながれていた8412が、知らず知らずのうちに帯磁し
ており、音が変わっていた、その結果、ミックスダウンのバランスが狂っ
ていた・・・、こういう事が、極力、起きない為のものです。8412クラス
のケーブルですと、プロの現場で20年間同じものが使われ続けていたとし
ても、全く不思議ではありません。プロは、滅多なことでは、ケーブルは
変えないのです。
ノイマンのほうは、非常に柔らかで、比較的細いものです。が、非常精密な
音を出すよう、徹底しているものです。
では、至高の8412、88760又はドイツのノイマン、英国バイタルを(こ
の四種類は至高の中の至高です)、末永く使っていただけますことをお祈
りして、またの機会まで、宜しくお願い致します。
ホームページ:
http://www.procable.jp/
497-0050 愛知県海部郡蟹江町学戸三丁目26番地
有限会社プロケーブル
TEL 0567-69-7004
http://www.procable.jp
長いけど、なるほどと納得。
多分社長が書いていると思うが、情熱が凄い。
ここまで書かれると、取扱商品の良さがよくわかるし、納得できるからね。
それに購入した側も、製品に誇りが持てるというわけだ。
商売はこうでなくっちゃね。☆彡
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