全国のディーラーの試乗車に、「1日試乗」できるクルマを設定いたしました。
フォルクスワーゲンのクルマに1日じっくり乗って、しっかり体験いただけます。
というもの。
ゴルフ試乗記の際に、ゴルフRについて訊ねたとき、試乗車の用意はない、ということだったのだが・・
神戸の販売店を探してみると・・
Volkswagen 垂水 で Golf R Variant が用意されているという。
2015年の5月にオープンしたばかりの店。
ウチからだとクルマで30分ほど。
ゴルフRは、まっとうな評論家達が絶賛しているクルマだ。
一度乗っておけば、車同士を比較する際のベンチマークになるからね。
VWゴルフRの購入を考えてみる。ボクスターの代替なるか?
7代目ゴルフ最強の「ゴルフR」に試乗
フォルクスワーゲン 「ゴルフR ヴァリアント」試乗レポート
台風の警報が出ていたので雨だったが、総じて大したことはなかったのが幸い。
とはいえ四駆の威力を確かめることができる絶好の舞台で試乗できたのがラッキー。
クマチャンところのそばにいる、のと同じ車種。
リアは4本出しの排気管が見えるので、すぐに見分けることができる。
けれどちょっと、とってつけたようで、似合ってないよなあ・・^^;
ドアを開けると、サイドプレートがブルーに光る。
なるほど。そういうことね。
クリーンでスッキリしたインパネやドアトリム。
基本的にはブラック基調で、シルバーのアクセントでデザインされている。
ダッシュ周りの質感は、精緻な高級感がある。
部品同士の隙間を見ると、かなり追い込んで組み付けてあるようだ。
近すぎてピントが合ってませんでした。(笑)
メーターは、あたかもゲームの世界のような色使いとデザイン。
オレにはちょっと子供っぽいと感じる。
もっと渋く決めて欲しかった。
と、無い物ねだり?(笑)
走行距離は6千キロ台。
アウディ3S系と共通のエンジンは4気筒で280PS。
ミッションは6段DSG。
パドルシフトを使えば、思うように走ることができる。
シフトダウンすると、ちゃんと吠えてくれる。(笑)
DSGの変速は、いかなる速度域でも滑らかで文句なし。
湾岸線や、中国道では、「ぬおわキロ」で高速コーナーリングができるシャーシー。
「ぬゆわキロ」まではチャンスがあったが、それ以上は雨模様の天気だったので。
しかし踏めば実に早いし痛快。
ドライブモードだが、レース以外の、コンフォートとノーマルとの違いはよく分からなかった。
トグルスイッチなので、左から右へしか動かず、左へは戻れない。
となると当然切り替えるのが面倒になってくるわけで、結局ノーマルで走っていた。
ちょうど所用があったので、湾岸線で大阪へ行き、中国道で戻るという、普段走り慣れているコースを含め、150キロほど走行。
路面からのハーシュネスは角が丸められているので、あたりは強くない。
だが決して乗り心地がいいわけではない。
もちろん不快というレベルではない。
それなりの速度が出るので、こういう設定にしてあるのだろう。
代車のC4はシトロエンのハイドロ風味の乗り心地。
さっきまで乗ってたので、どうしてもカラダが覚えているわけだ。
なので余計にそう思うのかも知れない。
だがミニクーバーS5ドアのように、ヒョコヒョコする不快さはない。
ある程度の速度になるとフラットになってゆくため、踏めば良い面が浮上する仕掛けだ。
ただ街中での70キロくらいまでの速度域だと、C4の方が圧倒的に滑らかで乗り心地がいい。
シートもC4が座り心地やホールド感とも、うんと良かった。
強力な加速感に意識が行くと、乗り心地についての意識は相対的に薄まるからね。
この手のハイパワーエンジンを載せているクルマならではの味付けといっていいだろう。
クルマ自体の乗り味は、どちらかというと、ガッチリとしたメカを組み上げたドイツ風味。
街中の速度域ではエンジンの回り方や感触は、あまり色気を感じないタイプ。
日常の街中での乗り味は印象は無味乾燥っぽく、ちょっと味気ない。
つまり飛ばさないと、面白くないのだ。
なので、どうしてもペダルを踏んでしまう。
ブレーキは、剛性感のある踏み心地で、ステアリングやエンジンとのバランスの良い仕立てになっている。
踏んだときのタッチや剛性感を含め、全く問題なし。
ヘッドライトスイッチはドイツ車では統一されているようで、右側にある。
ドライバーズシートからの眺めは、対価なりの満足度があるのだが・・
ゲームの世界のような色使いとデザインのメーターが惜しい。
ポルシェやBMWが、こういうことをやらないのは、その手のドライバーの求める世界がよく分かっているためだろう。
一番気になったのは、上の写真のような回転数での籠り音。
アイドリングストップから復帰し、アイドリング状態になるときに発生する。
窓を全開にしても変わらない。
どうもエンジン固有の振動が、車体と共振しているようだ。
千回転より下の回転数になるときもあって、その場合は問題ないのだが・・
だが意外にこの回転数になる事が多いのだ。
さらに後部のどこかから、「きしみ音」というか何かが「擦れ合う」ような音が時々聞こえてきた。
まだ7千キロ走ってない状態で、こういうのがあるとねえ・・
ゴルフRの 電磁波 を計ってみたが、C6と似たようなレベル。
ミニクーパーS5ドアだと、何故か2段目の数字で3あたりまで、あたかもパルス波が出ているように、ピョンピョンと針が振れる・・あれはどういう仕掛けなのだろう?
ダッシュボードに近くなると、跳ね上る。
新型シトロエンC4は、電磁波が非常に少なく優秀。
ダッシュボード近くでもこの通り。
車を返却しての帰路は代車のC4だったが、乗り換えると、ほっとする乗り味に感動。
C4はゴルフRに比べれば、遥かに非力だが、ペダルを底まで踏めば、それなりのペースで、走ることができる。
何よりもクルマ全体の味付けが、ソフトで艶やか。
ゴルフRに乗った直後なので、このホンワカとした味付けを、より強く感じたのだろう。
C4はドライブしていると、癒やされ感に繋がる独特の乗り味があることを、計らずしも再認識。
それにC4のようないわゆる非力なクルマを、全力で走らせるという快感は、それはそれで楽しいからね。
このように図らずもC4を見直すことになろうとは、ちょっと意外な心理的展開に。(笑)
バリアントではなく、Rのセダンタイプだと、印象は多少違うのかも知れない。
だが、ベースに流れている部分は同じはず。
総評
気に入った点
高級感のあるインテリア。
四駆による高速域での高い安定性。
ハンドリング、加速、ブレーキのバランスのよさ。
クルマ全体の高い剛性感としっかり感。
圧倒的な加速。
気になった点
視認性は高いが、子供っぽいデザインのメーター回り。
アイドリング時の籠り音。
70キロあたりまでの街乗り速度域での味気なさ。
踏めば神童、踏まなきゃつまらない、というクルマ自体のキャラが合うかどうかだ。
よく出来ているし、バランスはいいし、速いのだけれど・・
思いっきりペダルを踏んだとき以外、感動を受けないというのがねえ。
って、つい「無い物ねだり」したくなるほど、クルマとしての完成度は高かった。
おまけ
ミニクーパーS5ドアの、あの高揚感というか、ワクワク感はかなり魅力的なんだなあ、と改めて感じた次第。
ただあのヒョコヒョコとした乗り心地で帳消しになるけどね。(笑)
でもパワーのあるエンジンを積んだ早いクルマというのは、特に高速道路でほんとラク。
寝ていた子が起きたようで、うーん困ったな。(笑)