「イナゴトレーダー」をご存じだろうか?
わかりやすくいえば、急騰する株にイナゴのように飛びつく個人投資家のことだ。
写真はイメージで、本文とは関係ありません。
イナゴ投資家とも呼ばれるようだが、元はと言えばネット上の匿名掲示板で造られた俗語で、今では経済メディアの雄である日経新聞でも紹介されるほど知名度がアップしているようだ。
今日の東京マーケットは、大きく下落。
消費増税延期の正式表明を受け「材料出尽くし感」から円高・ドル安が進行、会見表明で安倍晋三首相が、経済対策の具体的な規模に言及せず、何らかの具体的な数字を期待していた投資家から、失望売りが出たわけだ。
インバウンド(訪日外国人)需要の鈍化が明確になり、国内消費もさえず、消費下支えへ増税延期を表明したが、百貨店株は下げ止まらず。
今の消費税率8%を引き下げれば株価は上がるはず。
無策な現政権の金融政策では、無理筋のストーリーだけどね。
つまりは財政規律をないがしろにするアベノミクスへの失望が広がったというわけだ。
投資信託筋も、大きな材料もないのに、こんなに下げていては怖くて手を出せないという。
最近の傾向として、長期投資家は売買に参加せず、大幅な下落を短期筋が主導しているケースが多い。
イナゴトレーダーに象徴される、いわゆる短期筋の独壇場の象徴となるのが東証マザーズ上場の「アキュセラ・インク」。
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開発中の新薬に期待が集まり急騰していたが、試験の結果「統計学的有意差を示せなかった」と公表したとたんに暴落。
アキュセラが加齢黄斑変性の治療薬候補である「エミクススタト」の臨床試験(治験)に失敗したと26日に発表してから、売り注文が殺到。
アキュセラ・インク株価は7営業日で7700円→1100円に。
ストップ安になる前から保有し2400万円で買ったある投資家は、アキュセラ株を今日の取引開始後、1株あたり1075円で売却し損益は2000万円超のマイナス。
この銘柄は前日まで6日連続で制限値幅の下限(ストップ安水準)まで気配値を下げ、今日は6営業日ぶりに取引時間中に売買が成立。
全市場の個別株を対象にした売買代金ランキングでは、トヨタ自動車に次ぐ2位に入っている。
追い打ちを掛けるように5月28日付けの日本経済新聞朝刊が「アキュセラ株でインサイダー取引の疑いがあるとして、日本取引所グループ自主規制法人が調査を始めた」と伝えられ、パニック売りを誘う材料となっていた。
記録を調べると、過去に光通信(東証1部)が2000年3月31日から4月27日まで20営業日連続でストップ安を記録したことがある。
この際は7万円台から1万円台まで暴落。
これ以降、3日連続でストップ安・ストップ高が続いた場合、値幅制限が2倍に拡大される措置が追加されたわけだが・・
いまどきストップ高ストップ安の仕組みを放置したままの東京マーケットは、リスクの高いマーケットだということを全世界に証明したというわけだ。