今回もシエンタ試乗記のときにお世話になった、セールスの方が担当でした。
車好きの方だと試乗中もハナシが弾むうえ、お互い楽しい時間が過ごせるわけです。
今回はゴルフの試乗でも、このプリウスでも、そういった販売員の方と巡り会うことができたのは、ラッキーでした。
試乗前は、四方山話。
プリウスもよくなったけれど、ドイツ軍勢も同じように良くなっているので、その差は一向に詰まらない・・
アルファードはよく売れている。300万から700万の値段帯。
会社の社長さんは、黒だとそっち方面と間違われるのがイヤで、みなさん白を選択されます・・
キャッシュで買われる方は3割くらいで、あとはみなさん残価設定ローンです・・
前のシエンタはいまだに人気があるので、古いシエンタから、新しいシエンタへの買い換えは意外に少ない・・
などと興味深い話を聞くことができ、充実した楽しい井戸端会議を堪能することができたことに感謝です。
今回もコースはゴルフ試乗記の時と同じ。
山手線を西へ走り、帰りは2号線で戻る、というルートを走ることができました。
エンジン
走り出すと、まだエンジンが冷えていたので、スタートはエンジンが掛かった状態で発進。
10分ほど走るとエンジンが暖まってきたので、停止後のスタートは、モーターだけ。
ですから、いわゆるアイドリングストップで止まっているときは、気詰まりなほど静か。
で、走り出すと普通にいろいろな音が混在して聞こえてくるわけです。
なので、ハイブリッドカーというのは、止まっているときと、走っているときの、落差がかなり大きくなります。
ゴルフの試乗でも、全く同じコースを走りました。
販売店に戻ってもと、もっと運転していたい、と感じたのですが、プリウスは30分も走っていると、なんだか煩く感じてくるのです。
販売店へ戻り、車から降りると、なんだか少しホッとしたのです。
「トヨタおばけ」の亡霊がいるのかもしれない・・と、ふと思いました。
コンスタントに、普通のエンジン音、つまり耳障りではない同じ種類の音がコンスタントに聞こえてくる方が神経に障らない。
といえば、わかりやすいでしょうか。
オレのいつものペースで走ると、ほとんどがエンジンでもって走ることになります。
そうした加速中に聞こえてくるのは、まんま「ド実用車」のエンジン音。
強めにアクセルを踏んだときの、エンジン音やフィールはイマイチというか結構ガサツです。
インテリアやエクステリアの先進的なイメージから、洗練された回り方を期待すると、ちょっとガッカリします。
ゴルフも、エンジンの吹け上がるサウンドは、決して素敵とは言えなかったのですが、プリウスは、それでいて、もっとチカラがないというか、パワー感が不足しているといえばいいのでしょうか。
ガソリンを食わないよう、あまりアクセルを踏まない走り方をすれば、こうした点は気にはならないのかもしれません。
ですが、周りより速めのペースで走ろうとすると、プリウスの良さが生きないということになってしまうわけです。
チョット速めのペースで、颯爽と走る抜ける、ということが不得意なようです。
できるだけガソリンを食わないように走る、という意識が強くないと、欲求不満になりそうな車です。
その点DS5のエンジンは、回り方、トルクの盛り上がり方などの点で、ダントツに魅力的です。
車から降りたとき、「結構よく走るよなあ・・」とニンマリすることがあります。
見た目もお洒落なので、所有している満足度も満たしてくれます。
プリウスのオーナーのみなさんは、ガソリンスタンドでの給油時に「安かったなあ・・」とニンマリしているのでしょうか?
ハンドリング
電子制御のステアリンは、かなり自然な操舵感でした。
ですがコーナリングが気持ちいい、というところまでは、残念ですが届いていません。
ゴルフのように、ハンドリングに「ピシッ」としたところがないんですね。
ネガをツブして、かなり頑張ったということはわかります。
ですが、コーナーリング中に気持ちいいなあ・・というようには感じないのです。
やっと「普通」に直進し、なおかつ曲がるようには、なっていたのですけどね。
たとえばC6の持つ、あの圧倒的な直進性は、湾岸線に乗るたびに感動してしまうわけですが・・
こうした体験があると、無い物ねだりをしたくなるわけです。
今デビューしたばかりのモデルなのですから、もうちょっとピリッとしたところがあってもいいのでは?
というのが正直な印象でした。
DS5のようにハンドリングの制御が強いのもあれですが、プリウスのこの自然さでは、まだ何となくスッキリしない、といえばいいでしょうか。
乗り心地
今回の試乗で最も気になったのは、路面からのヒョコヒョコ感が意外に伝わってくるという点です。
直接的なハーシュネスは巧く丸め込まれています。
ですが、そのかわりといってはなんですが、常に細かく、あるいはデコボコに割と忠実に、路面の動きを伝えてきます。
同じ金属バネでも、ゴルフは路面からのアタリが、平均してもっと上質でフラット。
そのため洗練された感じさえ受けたのですが・・
こういうちょっとしたところの積み重ねで「いい車」というイメージが形成されるわけです。
ブレーキは、サーボの効き具合が均一なため、減速の踏み具合を調節する必要がなく、スムースに停止することができます。
今回のプリウスでは、ここが一番良かった点です。
そのかわり、ペダルを踏んだときの感触は、均一にスポンジー。(笑)
ブレーキを踏むたびに、ダイレクトなフィールとは対極の踏み心地を味わうことになります。
試乗が終わる頃になっても、この感覚に慣れることはなく、最後まで違和感がありました。
なので、セールスの方に、ブレーキパッドをいい物に変えるとどうなのかと、訊ねてみました。
サードパーティーのパッドに変えても、踏み味は変わらないそうです。
「回生ブレーキなので・・」ということでした。
今思い出しましたが、ゴルフは停止すると、ブレーキペダルから足を離しても、自動的にブレーキが掛かった状態になります。
後ずさりしないようになるのですが、あれはなかなか気の利いた仕掛けだと思いました。
まとめ
わかりやすく言えば、問題点をことごとく潰してできあがったかのような乗り味でした。
ですから走っていると、車の魅力として、どこか一点でいいから、何か尖った部分が欲しくなってきます。
「それは燃費です」というのが、トヨタからの答えなのかもしれません。
ですが、一時トヨタは Fun to Drive って謳っていたはずです。
あれは一体どこへ行ったのでしょう・・
世界一という燃費のため、車が本来もっているはずのワクワクする魅力が犠牲になっている。
これって、本末転倒な気がするのはオレだけでしょうか。
でも、そんなことはいいから、とにかく出来るだけガソリン代を安く上げたい。
という人には素晴らしい車に映るのかも知れません。
ゴルフも問題点をことごとく潰しているのですが、とてもバランスの良い車だ、と思える仕上がりになっています。
ただそこでとどまらず、魅力として感じるレベルにまでになっていることに、ちょっと感動しました。
一体何が違うのでしょう。
ここ数日間DS5に乗っていて、ゴルフに試乗したあと、DS5のハンドリングや乗り心地のクセが、何となくより気になっていました。
ですがプリウスの試乗後、DS5で走り始めると、クセが潑剌とした元気良さとして感じるようになったのは、プリウスを体験したからこそ。
この不思議なプリウス効果こそ、今回の一番の収穫だったのかもしれません。
オレにとっては、2004年10月3日のプリウス体験記のとき以来のプリウスなので、この前のモデルとは比較できないのですが、セールスの方いわく、凄く良くなっているとのことで、今までのプリウスユーザーなら迷わず買い換えるでしょうとのことでした。
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