代車で借りている DS5 で、土曜日の早朝、所要のため湾岸線を通って神戸大阪を往復。
9時半には神戸へ戻ったのだが、ランチまでは時間があったので、一路フォルクスワーゲンの販売店へ。
オレの場合、プロの自動車評論家じゃないので、とっかえひっかえ、いろんなクルマに乗っているわけではない。
なので、代車で借りている DS5 は、普段乗っているC6の乗り味とを、どうしても比べてしまうことになる。
C6は現在生産中止となっているが、一応シトロエンのフラッグシップサルーンだ。
いわゆる車格が違うわけで、比べると、どうしてもDS5の分が悪くなるのは当然のこと。
というわけで、このクラスのいわゆるハイスタンダードというか、手本となる車に乗ってみようと思った次第。
巷で高い評価を受けているゴルフに乗れば、その乗り味が基準として使えることになるはずだからね。
というわけで、ハイライン(1.4リッター)試乗車の用意ができるまで、ショールームで待機。
山手通りは年中通っているので、ここに販売店があるのは重々承知していたのだけれど、訪れるのは、今回がはじめて。
担当していただいた 営業主任のM氏の名刺によると、ここは Volkswagen 北野坂店。
名刺にはトヨタカローラ株式会社と併記してあった。
へえーそうなんだ・・
ショールームでは、新型B8系パサートの試乗車が中古車として333万円で販売されていた。
走行距離は3千キロ台。
一方、今借りているDS5も、実は売り物のようなのだ。
試乗車として使われていた中古車として、奇遇にもパサートと同じ333万円で販売されていた。
どうして知っているかというと、シトロエンショールームのトイレに、中古車リストが貼ってあったから。(笑)
インテリアデザインはゴルフと同じ文法で構成されている。
言ってみれば、拡大版のゴルフだからね。
ダッシュボードは水平の直線を基調にしたデザイン。
そのためだろうか、C6より幅広く感じたが、とにかく広々としている。
何となく、落ち着かない気がするほどの広々感だった。(笑)
全長4,785 ✕ 全幅1,830 ✕ ホイールベース2,790 > パサート
全長4,910 ✕ 全幅1,860 ✕ ホイールベース2,900 > シトロエンC6
そうこうしているうちに試乗車の用意ができたので、営業主任のM氏を助手席に乗せイザ出発。
コースはいつも走っている、クマちゃんところへのルートを走りたいとリクエスト。
大体販売店で設定してあるルートというのは、かなり短いからね。
販売店の前の道、つまり山手線を西へ走り、帰りはより速度の出る2号線で戻るというルート。
行きは上沢あたりから、直線の幅広い道となり、舗装はされているが、路面はかなり荒れている。
そのためサスの案配や、操縦安定性をテストするにはもってこいのコースなのだ。
エンジン
さて走り始めると、アイドリングストップがついているため、交差点では律儀にエンジンが止まる。
ただ始動直後に走り始めると、ちょっとショックがある。
なのでアイドリングをストップをさせない方が、遙かにスムース。
トランスミッションのDSGはアイドリングストップ直後からのスタート以外は実に滑らかだ。
普通のオートマ以上の滑らかさで、よくできたトルコンのトランスミッションと遜色ないといっていいだろう。
アイドリング時の4気筒の振動は、ほとんど「ない」といっていいほど、感じられない。
ここはDS5より遙かに優れている。
ハイラインの最高出力は103 kW(140 ps)。
DS5は150psで10psの違いしかないのだけれど、DS5の方が明確に力強い加速をする。
プジョーシトロエングループ(PSA)とBMWとで共同開発した、というだけあって頷ける力強さだ。
ゴルフはスポーツモードにすると、各ギアを引っ張るモードになるが、実用上そこまでは必要なかった。
ただゴルフは踏んだときの、エンジン音が凡庸で、色気のないサウンドと回り方だ。
一方DS5は、スポーティーなサウンドと、メリハリのある盛り上がり方で、ここはDS5の圧勝だ。
ただ、DS5が健闘できたのはここまでで、乗り心地、ハンドリング、ブレーキ関係はゴルフの圧勝だった・・
ハンドリング
電子制御ステアリングを感じさせない自然さは、最近試乗した車の中でダントツの出来だった。
低速でも中速でも、コーナリング中の保舵力の変化や、センターへ戻ろうとする案配は実に自然で、見事な出来だ。
当然のことながら、自然に真っ直ぐ走る能力も高かった。
だけどC6は、油圧+電子制御のためだろうか、これを上回るスムースさと、直進性を持っているけどね。
こうして比べると、DS5は制御がかなり強くて不自然だということがよくわかる。
乗り心地
トレンドラインの1.2は、リアサスがトレーリングアーム中間連結型トーションビーム。
一方で、このハイラインはダブルウイッシュボーン。
曲がり易さと直進安定性が高いレベルで両立しているうえ、乗り心地もDS5より遙かにいい。
とはいえ金属バネなのでC6と比べると、やはり細かいデコボコを拾ってしまうが、金属バネ車としてはよい乗り心地だ。
ただし、路面からのデコボコでボディを共振させる籠もり音は、残念ながらゴルフでも、それなりに聞こえていた。
DS5はもっと酷いので、比べるとゴルフの方が静かだが、C6のレベルには全く届かず。
ブレーキの利きはとてもリニアで、タッチもソリッドでダイレクト感がある。
DS5のように途中でサーボがキツくなることもなく、自然に踏むことができる。
C6はパッドを変えてあるので、さらに上を行く自然さなのだけれど、C6は番外だからね。
まとめ
ゴルフはエンジン・ハンドリング・ブレーキ・乗り心地がバランスよく、まとまっている車だった。
500万以下の価格帯では、トップにランクされるのではないだろうか。
ただ余りにもバランスがいいので、どこか尖ったところが欲しくなる。
人間って勝手なものだ。
そういうときのために、GTIとかRとかがあるんだろうけどね。
ゴルフに乗ることで、DS5の良さも、問題点もよりハッキリとわかるようになったわけで、いやあ乗って良かった。
というわけで、DS5の試乗記へと続く・・