素早い判断をして、なおかつそれを行動に移す。
トレードではこうした「即決力」が成否を分けることになります。
ただ、これができる人というのは、とても少ないのです。
特にデイトレードの、いわゆるスカルピングと呼ばれる「利益を削ぎ取る」という意味のトレードスタイルでは、一瞬の遅れが利益そのものに大きく影響することになります。
ですが、これは正しい訓練をすることで、大幅に改善することができます。
こうした点を普通の仕事のケースにあてはめると、次のような二択問題に該当すると考えれば、よくわかると思います。
給料は上がるけれど、残業画大幅に増えて忙しくなる、あるいは給料は変わらないけど、権限を持てるうえに交際費が多く使えるようになる。
さて、あなたはどちらを選択するでしょうか?
こうした選択をする場合、たった二つのことでも、即決できずに悩む人は多いのです。
二つという単純な選択肢だから、かえって決められないのかもしれません。
ですがこうした問題について長時間悩んだからといって、よい選択ができるとは限りません。
かえってロクな結果にならないことの方が多いのです。
即決ができないということは、そこでプロセスがとまってしまうわけですから、第三者の評価としては、仕事のできない部類に属するとみなされてしまいます。
しかも、必ずそこには返事をしなければならない相手があるわけですから、その人を待たせる、つまりはその人の時間を、間接的に浪費していることになるのです。
ですから、即決ができない人は、普段からこうした事態を想定したことがないレベルの仕事しかしてこなかったと、判断されることにもなりかねません。
このような理由で、自分が置かれた状況を客観的に判断して、周りも納得できる答えを出すことができる人に、よい条件の仕事が集まることになります。
トレードの場合は、さらにシビアです。
数分後には、自分が取ったアクションの答えが数字となって、否が応でも戻ってくるからです。
セミナーでは、トレードで勝っても負けても、そこでトレードをやめる、つまり反対売買をして、トレードを停止するために、ストップをつけるのですが、それを決められない、あるいは決めるのに時間がかかる人が大多数です。
そうして反対方向へ動き続けても、何もアクションをとらなければ、損失だけがリアルタイムで増えてゆくことになります。
デイトレードでは秒単位での即決力が求められるのですが、面白いことに、ある時点を越えると、わかっているのに、何もできない状態になってしまうことがあります。
呆然として、範囲方向へ動き続けるのをただ見守るだけ、という状態になるわけです。
つまり予想外の損失を目の当たりにしたショックのあまり、思考が停止してしまうかのような状態に陥るのです。
トレードでは大なり小なり、こうした体験をして成長をするのですが、ほかの仕事では、こうしたことを訓練する機会というのは、全くないといっていいでしょう。
ほとんどの人にとっては、ヘッドハンティングされて、その選択に迷うというような状況というのは、人生で一度あるかどうかという頻度でしか起こらないはずです。
ですから、かなり切羽詰まった状態に追い込まれても判断をすることができる訓練をする機会自体が、全くないに等しいのです。
ですから、いざというときに即決できる人というのは、10人いれば、1人かあるいはもっと少ない割合になるのです。
こうした理由から、仕事の世界では、即決できる人の価値は高くなります。
男女の間でも、同じような状況が存在します。
決断力や即決力がどの程度あるのかを、女性は男性に対して非常にシビアな目で、しかも男性が自らを自己査定するよりも遥かに的確に、判定しているのです。
デートでの、プランや店の選択は、いくら事前に準備をしておいても、女性の希望により、全く違った展開となります。
そうしたケースでは、その時点の状況を的確に把握して、女性の気持ちを考えたうえでの、判断をする必要があります。
そこでの迷いや、間違った選択は、やさしく聡明な女性ほど、気がついていても、気がついていないフリをしますから、女性の顔色を窺っても、それは無駄というもの。
こうして深く考えると、仕事よりシビアかもしれません。
お互い気をつけましょう。(笑)
出典
2006年10月30日