少し古いデータですが、2000年の国勢調査によると、首都圏、愛知圏、大阪圏に居住している1947~49年に生まれた団塊世代は、約530万人。つまり世代全体の50%を超える人口が大都市圏に居住。
1950年には、35%弱だったということは、15%以上の人々が地方から都会へと移住してきたというわけだ。
つまり出身地から都会へと移動したわけだが、定年を迎え退職した後に、この世代の人たちはどのような行動を取るのだろうか?
こうした行動には、二つの大きなパターンがある。
この二つのどちらのパターンを選択するのかによって、その後の人生が大きく影響されることになるわけだが、これは団塊ジュニア世代や、その次の世代にも少なからず影響を与えることになる。
まずひとつは、出身地が大都市のため都市部に残るケースだ。
当然のことながら既に親世代から家を引き継いでいたり、親と同居しているはずだから、これから親の家を遺産として引き継ぐ人々もかなりの数になるだろう。
ということは、退職金を資産運用や消費の拡大に向けることが可能になるわけだ。
また地元ならすでにそこのコミュニティーでの人間関係はできているはずだから、退職後にカイシャの人間関係と縁がなくなっても困ることはないだろう。
さて二つ目は、出身地から都会へと移動した人たちが都会に残るケース。
この人たちは自力で住宅を確保せざるを得なかったため、大多数は家を購入するという選択をしている。
そのため退職金の最大の使途はローン返済となる。
資産運用や消費の拡大という「おいしい」思いをすることができるのは、一部の高所得層だけで、ほとんどのケースでは収入がなくなるため、退職前よりさらに切り詰め、堅実な消費生活を送ってゆかなければならない。
また、仕事人間として長年生活をしてきたため、その地域や趣味のとしての人間関係は、退職後に、時間をかけて構築しなければならなくなるわけだ。
またこの世代は、日本では恋愛結婚の割合が見合い結婚の割合を上回った最初の世代のため、上の世代と比べると、夫婦で行動する割合が高いのが特徴だ。
ある調査によると「今後誰と一緒に時間を使いたいですか?」という問いに対して「配偶者」と答えた人の割合が高いという結果が出ている。
旅行業界では「新婚旅行」「卒業旅行」と並んで、中高年向けのカップルツアーが一大分野に育ってきていることから見ても納得できる話だ。
つまりこの世代の男性にとっての「退職後の時間の使い方」については、配偶者の女性の影響がかなり大きいといえるだろう。
団塊男性をターゲットとする「ノジュール」(JTBパブリッシング)という雑誌では、都会居住者の地方への移住をテーマに多くのページが割かれているが、最も関心を呼んだのは「どう妻に話すのか」という部分だという。
カミサン連中は、子育て終了後、我々が仕事に投下している時間を、友人や地域の中での人間関係の構築に費やしている。
それを亭主の退職後に亭主の都合だけで「一から覆えされたらたまらない」と考えるのは当然のことだろう。
ノジュール誌の狙いは「将を射んとすれば馬を射よ」というわけで「家に雑誌があれば、奥さんも興味を持って読んでくれるはずだ」と、書店ではなく自宅配達という販売方法を採っているのだという。
このように、この世代を見据えたビジネスを成功させるためには、トレードと同じで、大きな流れやトレンドを掴んでおくことが大事になるわけだが、結局は「女性」のハートをガッチリと掴めるかどうかという、他の世代と同じ結論になるのだけどね。(笑)
どちらのケースであろうと、退職後も収入を得る手段を持てるかどうかによって、その後の生活のレベルが大きく変わってくるだろうことは想像に難くない。
経済的に完全に自立できるトレードの技術を身につければ、キャッシュマシーンになるパソコンを所有するのと同じことになるわけだから、退職後の生活の余裕度が全く違ったものになる。
特に出身地から都会へと移動した人たちが都会に残るケースでは、生活を切り詰めることなく、余裕を持って都会の生活を楽しむことができるだろう。
経済的に完全に自立できる手段を持つことは、金銭面だけではなく、残り少なくなってくる時間を自分のために自由に使える、という、お金では買うことができないものをも手に入れることができるのだ。
これは配偶者である女性の将来に対する生活の不安を取り除くためには最も有効であり、お互いの絆をよりしっかりとしたものにするための時間を持てるという点からも、不可欠の要素といっていいだろう。
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