米国オハイオ州立大学からの研究報告によると最小限の炭水化物に制限した食事は、選手の健康と能力を改善するという。
低炭水化物食の選手は、最大負荷運動時および長時間運動時に、高炭水化物食の選手に比べ、2倍の脂肪を燃焼できるというのです。
炭水化物の摂取量が低いにもかかわらず、脂肪を燃焼している選手の筋グリコーゲン(安静時の炭水化物の貯蔵形態)は、通常レベルであることも今回発見されたようです。
長時間走る間、低炭水化物食の選手も高炭水化物食の選手と同じように、ほぼ同じレベルのグリコーゲンを分解することができるのです。
しかも回復時には、同じ筋グリコーゲン量を合成することがわかったのです。
今回の研究での発見は、人間は食事で炭水化物を制限しても、グリコーゲンレベルをサポートするシステムを持っているという点です。
脂肪つまり「ケト適応」というのは遺伝コード中に存在しているのです。
ですが炭水化物中心の食事は、この代替の代謝系を働かせないようにしてしまうのです。
一流アスリートの管理栄養士という記事で、以前書きましたが、テニスのジョコビッチはグルテンフリーの食事で、自分本来の実力を取り戻し、2011年からの大活躍と世界ナンバーワンテニスプレーヤーの称号を得たのです。
今回の研究発表と照らし合わせると、これは大いに納得できるハナシではないでしょうか。
Athletes champion gluten-free low carb diets: Novak Djokovic explains why
ジョコビッチ選手は低炭水化物の食事に関する本を執筆されています。
Serve to Win: The 14-Day Gluten-Free Plan for Physical and Mental Excellence
「勝つためのサーブ:心とカラダを向上させる14日間グルテンフリープラン。
日本でも ジョコビッチの生まれ変わる食事 というタイトルの単行本として、発売されています。
[ジョコビッチからあなたへの提案]
グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)を14日間だけやめてみて、どういう気分になるか試してみてほしい。
そして、15日目に、パンを少しだけ食べて様子をみてほしい。体が発する声に耳を傾けてほしい。
「食事がジョコビッチのプロ生活を劇的に変えたのは間違いないと思います」(杉山愛、「解説」より)
「今の錦織圭選手がさらに上を目指そうとするなら、必要なのは技術や体力のトレーニングではありません。
栄養・食事指導です」(白澤卓二・順天堂大学大学院医学研究科教授、「解説」より)
欧米ではもちろん、今や日本でも山ほど出ている「グルテンフリー(小麦を食べない)」ダイエット本。
「生まれ変わる食事」では、こうした本に書いてあることと、基本的な理屈は同じです。
ただ、ジョコビッチによってその成果が可視化されているという点で、この本は他の書籍を圧倒しています。
プロテニスプレイヤーでも、世界ランキング200位までの選手は、おおむね食べたいものを食べています。
ですが40位あたりに入ってくる選手は、自分の身体をさながら繊細な楽器のように取り扱う必要があるのです。
トップ10、トップ5とチャンピオンに近づくほどに、技術の差はどんどん縮まってゆきます。
そこでの最後の勝敗を決めるのは、肉体を精密機械のように細かく調整する能力です。
彼の本では、炭水化物を減らすことのメリットや、その実践方法について具体的に述べられています。
ただこうしたレベルでの競技をする選手の場合、低炭水化物高脂肪(LCHF)へとカラダを適応させるためには、ある程度の時間が必要になります。
普段から、糖質制限をした食事をしていないと、付け焼き刃ではダメなのです。
日本では、プロであるはずの栄養士のほとんどが、いまだにカーボンローディングは有効だと考えているのが現実です。
持久系競技には特に有効だとさえ、説明しているのです。
ですが実際には、カーボンロード(炭水化物の摂取)をすると全くダメになります。
1時間位でシャリバテ、つまり(ハンガーノック)になってしまうのです。
ツールドフランスなどの過酷な自転車ロードレースでは、多くの選手がハンガーノックに陥っています。
その対策としてチョコレートを囓ったりしているのが、ドーピングが罷り通っている自転車競技の世界なのです。
トップクラスのプロテニス選手と、プロ自転車選手との年収の余りにも大きな乖離は、何故生まれるのか?
日本のオリンピック村では、プロと称する栄養士達が、本番前に力を付けてもらおうと、麺類やご飯を食べさせています。
これが今の日本のスポーツ界のレベルなのです。
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