日本経済新聞社が、英国の名門経済紙ファイナンシャル・タイムズを発行するフィナンシャル・タイムズ・グループ(以下「FT」)を1600億円で買収したことは、多くの皆さんがご存じのはず。
ダイアモンド社でも、WEBで日経がFT買収、他の経済メディアは対抗できるか?と解説をしている。
その内容はというと・・
ますます突出する日経、国内にライバルが必要ではないか。
いずれも単独では力不足、「組み合わせ」で対抗してはどうか。
鍵を握るのは読売、朝日。さてダイヤモンド社は?
何だかローカルでの試合相手がいないことを心配するかのような記事だ。(笑)
一方でロイターは、FT買収する日経とサントリーの共通点というコラムを書いている。
主なポイントを引用すると・・
日本以外の国から見れば、こうした巨額買収は理解するのが難しい。
採算が取れるようには思えないというのがその主な理由。
映画スタジオからゴルフコースやロックフェラーセンターに至るまで、1980年代以降に繰り返されてきた日本企業による破滅的な海外買収も、そうした懐疑的な見方を強める結果に終わった。
日本の人口は向こう40年で3割以上減少し、約8700万人になると見込まれている。
さらに悪いことに、出生率や移民人口に変化がなければ、100年間で日本に住む住民の数はわずか4300万人になる可能性すらある。
日本で圧倒的な部数を誇る経済紙である日経は、縮小し続ける国内市場への投資が大半を占め、そのリスクにさらされている。
トヨタの自動車など海外で需要のある製品を製造できる手段のある企業なら、こうした問題も解決可能だろう。
サントリーにも、海外の親日家に販売できるビールやウイスキーがある。
しかし、そのような幸運は日経にはない。
日本のビジネスや金融ニュースに興味を持つ限られた読者がいるだけだ。
日本のビジネスや金融ニュースに興味を持つ限られた読者がいるだけ。
そこでFTの登場だ。FTには名声があり、はっきりとしたブランドイメージがある。
同紙のグローバルな内容に意義があるだけでなく、インターネットの共通言語が英語であるという点も大きな意味を持つ。
両者を読み比べてみると、日本のメディアと、グローバルにサービスを提供しているメディアとの、余りの違いに驚かれるはず。
こうした日本と欧米との違いは、以前に価値観というコラムでも触れている。
結局日経は、何も手を打たないよりは浪費することを選んだ。
というのが今回の買収劇ではないだろうか。
個人投資家という立ち位置でいえば、こうしたいわゆるニュースを主体にしたファンダメンタルズ情報には全く価値がないのだ。
魅力のない東京マーケットの情報を、いくら濃いものにしたところで、実質的な意味は持たないのだ。
いまだに記事にチャート一つ添付されていない、という現状を見ると、こうした傾向は今後も続くはず。
よいニュースが出たからといって、その銘柄を買って儲かるような世界ではないわけだからね。
それよりも、現在何よりも不足しているのは、潜在投資家の資質を育てるための教育だ。
個人が仕事をリタイアしたあと、その後、すぐに経済的な自立が可能になるような知識を身につけるための環境。
これこそが、今最も不足している部分ではないだろうか。
個人が自分の試算を増やせる方法や、その基板となる考え方を、具体的な方法論をベースに学ぶことができる、まともな教育機関が存在しない。
この部分にこそ、手を付けるべきなのだ。
それがやがては、日経新聞の媒体の潜在購読者へと育つことになるわけだ。
つまり、日経はまず、自社の人材を、こうした視点から再教育するべきなのではないだろうか。
お上の意向を提灯持ちする記事ばかりでは、いずれ、ジリ貧になってゆくのは目に見えているわけだからね。
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