2013年公開のアメリカ映画だが、1億9千万ドルの制作費をかけただけあって素晴らしい迫力満点のCG映像を存分に楽しくことができる。
スポックならではの気の利いたジョーク絡みの会話に加え、倒錯する復讐心や、わざと不自然と感じられるような要素も、見終わると納得できる脚本。
そして映画の素晴らしさを桑立たせる友情と愛。
現時点で4億7千万ドル弱の興行収入だから、まずは大ヒットといっていいだろう。
一瞬たりとも観客を飽きさせるることのない制作陣の力量は、驚くべき水準に到達している作品だった。
スタートレックファンは当然のことながら、SFや宇宙もの好きな人、さらにはデートムービーとしても、広く多くの方にお薦めできる映画だ。
Andrew Kramer - Star Trek Into Darkness Title Design(日本語字幕版)
この映画を面白くしているのが、悪役であるジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。
きわめて異質なキャラクターだ。
もともとが悪だったわけではなく、ある事情があって惑星連邦側に背を向けた人物という設定。
テロリズムを匂わすかのような、ちょっとマニア向けの要素として描かれているが、ちょっと難しく感じるのは、この部分かもしれない。
合理主義者でかたくなに規律を守ろうとするスポック。
その正反対に位置するのジョン。
両者の間で揺れるカーク。
対テロ戦争後のアメリカの価値観を暗喩しているかのようなストーリー展開で、物語は進んでゆく。
スター・トレック イントゥ・ダークネスは132分という2時間以上という比較的長い映画だ。
だが、観客を飽きさせない制作陣の力量はまさにプロフェッショナル。
観ておいて損のない作品ではないだろうか。