冒頭で展開される、いわゆる「つかみ」での妄想シーンは高いレベルの映像クオリティの連続。
視覚的な映画の醍醐味を、しっかりと楽しませてくれる。
メインのストーリーは、写真家ショーンのあとを追いかけるというアドベンチャーの要素がメインとなっている。
そのため謎解きの推理や恋愛の要素も取り入れられ、観客を飽きさせない工夫が随所に見られる。
さらに、i映画全体を流れるテンポのよさは、どうだろう。
グリーランドからヒマラヤまで、美しい景観をバックに、小気味よいテンポで次々と繰り広げられるストーリーは、観る者をワクワクさせてくれる。
ライフという伝統を持つ雑誌がネットに押されて休刊するという、今の時代ならではの現実感も、ぬかりなく題材として取り入れられている。
映画は、主人公が出会う様々な人々との出会いと、人と人との絆や、助け合うことが生み出す魅力を丁寧に描きながら、物語は進んでゆく。
ハリウッドの作品は、ともすれば派手なところばかりに目を奪われる作りのものが多い。
一見平凡な生き方であっても、誰もが見習うべき長所を持っている。
という、地味で忘れがちな点を、しっかり見つめることで、魅力として感じるレベルまでクローズアップして描かれている。
このことを、映画を通じて改めて教えてくれるのも、この作品の素晴らしい点ではないだろうか。
2014年の日本は、嘘や欺瞞に満ち溢れたニュースの多い一年だった。
だからこそ、この映画を見終わって感じる、心洗われる気持ちよさは、格別だったのかも知れない。
主人公のその後の人生を示唆するかのような、謎解きと同時に疑問が氷解するラストのシーンが、また素晴らしい。
よりよい人になるため、常に自分を向上させたいと考えている人にとっては、必見の作品ではないだろうか。
観終わったあと「オレの人生も変えることできるかもしない」と思わせてくれる。
そういう意味で、まさに「心を打つ」希有な映画ではないだろうか。
おまけ
The Secret Life of Walter Mitty [Behind the Scenes II] メイキングオブ映像の動画
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