東電は原子力規制委員会が定めた基準に沿って海水モニタリングをしているが、日々の公表資料は「検出せず」の記述が並ぶ。
計測時間はわずか十七分ほどで、一ベクレル前後の汚染はほとんど見逃すような精度。
地元、相馬双葉漁協の高野一郎・請戸(うけど)支所長は「何度調べても汚染が検出されなければ、私たちも消費者も安心できる。
しかし、国や東電がきちんと調べてくれないと、誰も信用できない」と語った。
食文化も壊滅する/(C)日刊ゲンダイ
福島原発事故の汚染水流出問題は、どんどん波紋を広げている。
相馬双葉漁業協同組合をはじめ、次々に試験操業を中止することを決めた。
実際、福島沖を中心に太平洋の危険度は高まるばかりだ。
どんな魚がヤバイのか。
日刊ゲンダイ本紙は専門家に聞き、別表にまとめた。
「回遊魚のカツオ、マグロなどの太平洋産は避けた方が無難です。
加工品のカツオ節も不安ですね。
太平洋の魚を安心して食べられる日は、もう10世代先までありませんよ。
沿岸魚については、魚種にもよりますが、すでに食べると危ない魚が青森沖から房総沖まで、泳いでいると考えた方がいいでしょう」(NPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏)
「消費者問題研究所」の垣田達哉代表もこう言う。
「事故から2年半が経ち、セシウムが海底にたまってきたため、これまでは、ヒラメやカレイが最も危険とされた。
でも、汚染水流出でコウナゴなど浅い海で泳ぐ魚も同様に注意が必要です。
なかでもストロンチウムは、魚の骨につくため、干物やイワシなど小魚のカラ揚げ、マグロの中おちなど心配です」
不安なのは、これまでほとんど測定されてこなかったトリチウムの影響だ。
高濃度汚染水が大量に流れ出すとかなりヤバイらしい。
前出の小若氏は続ける。「トリチウムは水素の一種なので、水の構成元素になって蒸発し、雨になって落ちる。
水や地上の食べ物に含まれるのです。
人体に入り、内部被曝(ひばく)すると発がん率も高くなる。
とても危険です」海だけでなく、日本の資源が汚染される。