自分を客観的に知る、ということは、実際には言うほど簡単なことではない。
しかも、じゃあ知ったからといって、具体的にはどのような行動を起こし、結果を出せばいいのか。
ここが最もキモとなる部分であるにもかかわらず、自分が知り得た知識というのは、えてして、この段階で放置されてしまうことが多い。
この問題を解決するためには、自分のことよりも、まず我々自身という、「より大きな括り」で客観視できるかどうかではないだろうか。
というわけで、ウンモ星人事件 ・ ウンモ星人事件その2 の延長線上として、少し長いが、彼ら(ウンモ星人)からの手紙そのものを、引用させていただく。
地球に対するウンモ中央政府UMMOAELEWEEの政策
解決として効果的なのは、われわれのような銀河系の種族とか、地球を訪問している別の種族が介入して、地上の権力を掌握することであろう。
われわれが盗を現わし、宇宙人だという動かぬ証拠をつきつけるのは簡単だ。
われわれには強力な強制手段がある。
18人を超えない集団(現在地球に滞在している探検隊員の数)が、惑星ウンモの適切なテクノロジーをもってすれば、世界の超大同の政治的指導者層をひざまずかせ、地上の権力を掌握することは十分に可能である。
もっと力のない国々は何の抵抗も示さないだろう。
なにしろわれわれには反対者を殺害したりしなくとも、抵抗を抑える手段があるのだ。
そうなれば世界中の国がひとつになって、この再構築のプロセスが進行している聞は、惑星ウンモの中央政府UMMOAELEWEEから派治されたユミットの監督下に置かれることになるだろう。
われわれは地球のために特別に開発された科学的モデルに従って、地球社会の改造に乗り出す。
だが細かな決定決定の運営は、原則として脳皮質の構造を基準として選ばれた地球人の手に委ねられることになる。
彼らはわれわれのセンターで短期間の研修を受けた後、各所に配属されるのだ。
この転換再教育の第1段階では、現存の政府の多くはそのまま維持される。
ただしその場合でも、われわれの中央政府の指令には絶対に従わねばならないのである。
腐敗した指導者は、もっと適格で正直な人物と交代することになるだろう。
この第1段階の特色は、抵抗運動があちこちに発生して、サボタージュや、国家的宗教的ヒステリー現象が現われることである。
だがそうなれば、われわれのほうでも人口を削強し、これらのセンターに集結させることとなろう。
われわれには外傷を与えることなく脳神経の活動を麻痺させる装置があるのだ。
抵抗する者は、再教育行センターに送り込むことになる。
誤解のないように言っておくが、そこで行われる手当は、当人にとってはしごく快適なものである。
われわれの地球人教育プログラムでは、子供たちをイデオロギーに毒されない幼い頃から、きちんと隔離することになっている。
そして惑星ウンモの影響をを極力排除して、地球固有の文化に基づいた人間形成を行うのである。
惑星ウンモから地球に派遣された指導者は、地球の科学や、歴史や、イデオロギーや、民間伝承などの諸要素のうちから、基本的に大きな誤りのないものを取捨選択するにすぎない。
宗教としてはイエス・キリストの教えを徹底させることになるだろう。
その他の宗教は歴史として教えるだけで十分だ。
民族や地域によって異なる風俗習慣は、文化の発展や、健康の維持や、社会の調和の妨げとならぬもののみを尊重することになるだろう。
もちろん破壊的兵器のための技術や施設は、民生用に転換される。
地球全体を一つの統一した社会として機能させるためには、産業の基盤も徐々に転換していかねばならない。
この計画実現のため、地球の専門家もわれわれのスタッフとして協力してくれることが必要となる。
生産手段は段階的に、国境を越えて共有化されることになるだろう。
初期段階では企業は協同組合に変身し、労働者と組合員によって運営されるものとなる。
その次の段階では管理運営は地域社会に委ねられ、民主的な方法で選ばれた集団指導体制に移行する。
市民は常時これを慌視する立場にある。
それと並行して、自力でプログラムを作れる情報処理ネットワークの構築も、飛制的な逃歩を遂げることになるだろう。
第三の段階では、信頼性のある地球規模の経営モデルと、経済や気象や社会や大何汚染などのパラメータに誌づいた所得分間モデルとに従って、経済活動の集中化が行われる。
この段階ではわれわれの仲間は後見人としての、カウンセラーとしての役別を果たすのみである。
政治経済の運営は、民主的に行われる。
われわれの指名した平均的もしくは最重要ではない人々に一任されるのである。
この選ばれた地球人の仲間は、国際議会の議員ということになる。
われわれユミットは、地球人が大きな誤りを犯し、深刻な事態に陥る危険を認めたときにのみ、注窓を促す役割に甘んじることになるだろう。
ユミットの派遣部隊は、諮問委員会に情報を提供するという形で地球の中央政府に協力するのみである。
とは言え、警察力は惑星ウンモの管轄下に入り、ユミットの専門家を迎え入れることになるだろう。
われわれの指令に従う地球警察には、一定の範囲に生息する附乳類すべての脳神経を麻揮させる、特殊な装置を貸与するだろう。
これはわれわれの技術を地球にもたらす例外中の例外である。
使用は容認するとしても、あなたたちがこの装置の秘密を探ろうとしたら、すぐにも自爆するしくみになっている。
われわれは新しい司法制度を定めることになる。
犯罪者の矯正はイエス・キリストの其の教えに基づく倫理規則に従った、近代的かつ強力な心理的再教育によって行われる。
最初の段階では、われわれが完全に織力を掌握する。
そしてもっと科学法則やイエスの教えに巡った、新しい市民社会モデルが構築されるその度合に応じて、少しずつ地球人による組織に権限を委譲していくのである。
このような介入モデルは、もちろん仮定の話である。
われわれがあなたがたの社会の自然な進歩の条件を乱すような決定を下すことは、絶対にないであろう。
ただし核戦争や、プラズマ兵器や、生化学兵器(化学兵器の使用だけでは種の滅亡につながるような戦乱にはならないだろうが)によって、社会機構が破懐される危険が差し迫っていると判断した場合には、われわれは本気で介入しようと考えているし、介入することになるだろう。
重ねて言うが、われわれにとっては地球上の人類がこのままでは滅亡するという確信のみが、介入の倫理的根拠となるのである。
そのような場合には、われわれは地球人の自己破壊のプロセスを抑止させるにとどまらず、前述の計画を実行に移すことになるのであろう。
このような状況が生じる確率がどの程度あるか、それを判定するのは難しい。
われわれは1975年の時点で、すでに救援計画を策定している。
講じるべき対策の細かな点については、定期的に見直しが行われているが、その基本方針は変わっていない。
この方針はDEI97の息子DEI98とAIM368の娘YUlが、地球の盲目的進化を危悦したことがきっかけとなって策定された。
彼らはウンモ中央政府に対して、その可能性はほとんどないとはいえ、地球人が集団自殺してすべての動物都が滅亡してしまうのを防ぐためには、やはりわれわれが介入する必要がある、と報告したのである。
そこで万一の場合の救助作戦として、適切な処世が検討された。
われわれはまず、地球のあちこちに外界から遮断された地下の避難所を建設した。
酸素や、水や、エネルギーや、食料を自給する設備を造った。
われわれの探検隊や地球の一握りの人々だけは、核やプラズマや生化学兵器による全面戦争が勃発した場合にも、生存し続ける必要があるからである。
この隠れ家にいれば、戦争が開始されても環境の変化や感染の危険のために外気に触れることが不可能とされる500日間は、生存可能である。
これらの基地には、もうひとつの目的があった。
基地にはわれわれの探検隊員が地球全体の権力を掌握せねばならなくなった場合に使用するはずの、特殊な装備が保管されてあったのである。
このような事態が起これば、次の諸国を管理下に置くことが予定されていた。
アメリカ・ソ連・カナダ・イギリス・中華人民共和国
そして第2次増強部隊が惑星ウンモを出発し、次の諸国を管理するための強制手段となる装備を運んでくる手はずになっていた。
ドイツ連邦共和国、イタリア、ルーマニア、アルパニア、スペイン、フランス、日本、ベトナム共和国、北朝鮮、アンゴラ、南アフリカ共和国、イスラエル、イラン、パキスタン、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、メキシコ、パラグアイ、チリ、インド連邦、ブラジル。
その他の国々は、ある程度まで主権を認めて、軍事機構を壊滅させるという脅しをかけながらも、その国の指導府が次第にわれわれの管理下に入るまでは、警察機構も維持しておくのである。
われわれの第1次探検隊がフランスに到着し、地球の住人の言葉や社会文化的構造が大体分かってくると、あなたがたの惑星では、生命が大量に自己破壊する危険があることに気がついた。
これはきわめて深刻な状況である。
中華人民共和国の理論物理学の専門家が、たとえ理論的モデルの粗描という形であれ、プラズマ兵器を研究対象にしたようなことはない。
核分裂による爆弾の爆弾庫はごくわずかの国にしかなかった。
米ソだけが(アメリカのほうが技術面では1日の長があるにせよ)核分裂核融合の未来の兵器の開発に血道をあげていたのである。
われわれがフランスの第2事務局(情報課)の機密文書にアクセスできたときにはすでに、新しくてもっと精巧なな兵器の技術開発が不可避であることが判明した。
量子物理学や分子生成についての知識がこの調子で発達すれば、あなたがたが今後社会政治的バランスを確立しない限り、1995年までには必ずや地球から生命を消滅させうる破壊手段を持つことになることが分かっていた。
われわれは直ちに、最初の介入プロジェクトを考案しはじめたのである。
地球来訪の当初の目的は、単に地球人類とそれを取り巻く生物学的地質学的基盤を秘密裡に研究することだったのだが、早くもあなたがたはわれわれにとっては悩みの種となってしまった。
それでも1950年代までは、とくに急を要するようなことはなかった。
当時は人類の滅亡なぞはあり得ないことだった。
だが、われわれの未来予測では、この危険がいつかは現実になるだろうということが明確であったし、以後の推移はその見方を裏付けるものであった。
介入計画は今日も見直しが続けられてはいるが、大きな問題が残されている。
政府の行政機構に介入して迅速に無力化する決定がなされた場合、われわれとしては地球社会との接点となっている、手紙を通じた既存のネットワークシステムを頼みとすることはできないであろう。
この微妙な点を、ここでもっとはっきりさせておきたい。
流血の事態を想定した介入モデルに従えば、最初の段階においてはこのような接触システムを造る必要はない。
敵の指導者を捕まえて物理的に抹殺するまでだ。
敵の防衛システムを制圧するのである。
さらに通信システムを破域し、食制施設と、作戦部隊と、諜報機関を破壊する。
そして新しい支援機構を設け、抵抗の芽をことごとく握りつぶして、恐怖政治を実現するのである。
もちろん各国政府に支配権を放策させるためには、国際機関に対してわれわれの正体を明かし、われわれがどれほどの強制手段を持っているか、その証拠を見せただけでは十分ではない。
だからわれわれとしても、そのようなことに貴重な時間を費やすわけにはいかないのである。
そんなことをしても侵略と勘違いされて、抵抗迎動が発生するだけであろう。
われわれが制圧すると言う場合、それは地球の社会経済組織に深刻なダメージを与え、集団的パニックを引き起こし、労働や行政の機能を麻痺させるという意味ではない。
むしろそのような事態を回避しうるような、権力機構へのアクセスの仕方のことを言うのである。
あなたがたには当然、このプロジェクトの基本方針を明かすわけにはいかない。
ただ、これは各国の決定機関にいるあなたがたの同胞を対象として、攻撃的行動において決定的役割を来たす扁桃体ニューロン構造や、前頭部と視床部皮質の樹枝網を遠隔操作するものである。
マスコミはすべてわれわれの支配下に入る。
そして、人を不安にさせずに変革のプロセスを徐々に浸透させるために機能することとなる。
それはこのような自覚が次第に深まって、ついには地球の最高峰の知性が、地球の支配権は地球外生命体の手によって掌握されたのだと同胞に知らせるようになるまで続けられるであろう。
この段階ではわれわれとしても、一部の地球人たちの協力が必要となる。
われわれの真の目的を、われわれの誠意を、深い意図を悟らせて同胞を落ち着かせるために、われわれがどのような緊急の事由によって一時的にせよ地球の支配権を奪取するような挙に出たのかを理解させるために、彼らにわれわれと地球人との架け橋の役削を操たしてもらうのである。
そればかりでない。
彼らはわれわれの直接行動に直面したあなたがたが何を必要とし、どんな欲求不満に悩み、どの程度の不安や苦悩を抱き、不正が行われているという感情を持つかを、もっと公正に正碓に察知する手助けをしてくれることになるだろう。
われわれはこうして得られたデータに従い、あなたがたに対する戦略を修正していくのである。
このように対策を講じないとしたら、2つの人類聞のコミュニケーションの可能性は(一方が一時的に制圧されてしまうわけだから)ゼロとなってしまうだろう。
あなたがたの集団的不安や、未知の宇宙人によって支配されているという感情によって、攻撃と、恐怖と、自殺と、組織や国家活動の破峻と、人円移動の強迫的社会現象とが生じ、収拾のつかない事態になるだろう。
われわれがテレビに登場して、あなたがたの不安を静めようとしても、何の役にも立ちはすまい。
敵の侵略者が相手を説得できるわけがないのだから。
われわれはこうした点を考慮して、まず少数の地球人グループを育成し、彼らを万一の際に向けて準備させることに決めたのである。
このプロジェクトには大きな困難が伴っている。
われわれは著名な政治家を選ぶわけにはいかなかった。
そういう人こそ介入の決定が下されるとまず第一に制圧しなければならないからだ。
科学者もやはり駄目である。
彼らはすぐにも、われわれの正体の物的証拠を要求するだろう。
だがわれわれとしてはいくつか重大な理由があって、そうするわけにはいかないのである。
社会的文化的に言って下層に属する人々に接触する考えもなかった。
そういう人の能力では、われわれのもたらすデータの深い意味を理解することは不可能と思われるからである。
知的レベルの低い人物は、状況を的確に判断することができず、ましてやそれを客観的に表現することはできないのである。
結局われわれの選んだのは、文化的にも社会的にも中疏と見なし得る、エンジニアや、社会科学系の大卒者や、小規模企業の経営者や、公務日などであった。
われわれがとりわけ注意して探したのは医者や、社会学者や、心理学者や、ジャーナリストや、情報処理の専門家である。
こういう人たちの心理的生物学的全体像には、種々の能力が現われており、高度の知性や、科学に対する関心や、地球外知性体との接触に対する聞かれた市レベルの態度が見受けられる。
しかも彼らは社会秩序にはすこぶる敏感で、それが倫理的科学的規則に基づくものであることも理解している。
われわれはこのように行動したために、手紙を出してもイタズラだと思われて相手にされない可能性もあった。
逆に手紙がパラまかれることで、地球人がわれわれの存在に気づく危険を冒すす可能性もあった。
もし多くの人が、われわれの存在を真面目に受け取っていれば、地球社会の独立性は著しく損なわれたことであろう。
初めのうちは、誰を相手にしたら良いのか分からなかった。
われわれはフランスやイギリスやオーストラリアで電話帳を調べ、弁護士や医者や社会学者や物理学博士などに手紙を送った。
最初の頃はオーストラリア在住のイギリス人で、フランス語やスペイン語もある程度こなせる人の協力を得て、文面を考えた。
この人物は、われわれの口述する手紙をタイプに打つことも引き受けてくれた。
だがこの最初の試みは、成果があがらなかった。
しかもわれわれが貧弱な発声能力で何とか受取人と電話で話をしようとしても、相手はけんもほろろで受話器を置いてしまうのであった。
イギリスに到着した仲間の女性が、ようやくのことでタイプライターを自分で打てるようになった。
これでコミュニケーションの問題は解決されたも同然である。
われわれは惑星ウンモに戻って、地球のいくつかのメーカーのタイプライターを改造し、生理的パラメータの変化をデコードすることによってキーを動かせるようにした。
1962年5月、われわれの同胞2人がメルボルンのあるホテルに滞在していたとき、警察が自分たちの正体を疑っているという知らせがもたらされた。
2人は急いでその場を雌れ、これらの改造タイプライターを、ホテルの洗濯場にあった洗濯物入れの中に紛れ込ませた。
幸いにも後ほどそれは回収できたのである。
そんな事件があってからというもの、われわれのテクノロジーの一部があなたたちの手中に落ちるような危険を晒すことはできない、という結論に達した。
そこでわれわれは、地球に設置してあった地下基地を活用することにしたのだが、大都会の雑踏に紛れ込むほうが、田舎でひとけのない地下基地に継続的に出入りするよりは、よほど危険が少ないことに気がついた。
むしろ都会でわれわれの口述でいろいろな手紙を書いてくれる協力者を探してみようということになった。
イギリス、オーストラリア、カナダ、スペイン、ドイツ連邦共和国では協力者が見つかった。
ドイツでは名家出身で、今日ではわれわれに最も忠実な友人ともなっている女性が、ベルリンまで出向くことを承諾してくれた。
彼女はドイツ民主共和国の管理地域を通行する危険までも冒してくれたのである。
われわれは同時に様々な科学者とも接触を試みた。
位相幾何学や、ネットワーク型論や、宇宙物理学や、生物学に関する手紙の内容を検討してみようと言ってくれた人も大勢いた。
だがごくわずかの例外を除いては、どの科学者も非常に懐疑的で、これらの手紙はどれも科学者で頭がおかしくなったか、微妙なユーモアのセンスを持った人物かが書いたものだろうと考えたのである。
当時われわれとしては、あなたがたの同胞から地球に固有な文化情報を受け取ったことに対して、それなりの謝礼をしなければ、と思っていた。
だが、そればかりではない。ほんの少しずつ、慎重に慎重を期しつつも、二種の人類が接触するのが避けられなくなる日のために、この接触によってどのようなインパクトが生じるのかも試してみたかったのだ。
あなたがたがいつの日か、われわれの同胞を捕らえた場合(その可能性は必ずしも否定できない)正体を知ったらどのような混乱が生じるのか、それはわれわれにも未だに分からない。
ただわれわれの関心の背後にあるのは、この人類救済計画であり、突如として他の感昼の存在の、鉄のごとき保護監察下に置かれた地球人類が、どのような反応をする可能性があるのかということなのである。
とにかく接触者たちがわれわれのイデオロギーの信徒に改宗し、われわれの人格の知的奴隷になってしまうのが心配であった。
そんなことはわれわれの倫理観からして、容認しがたいものである。
われわれの選択した解決法は、接触者たちに教育的配慮に基づいて、われわれの科学モデルを分かりゃすく解説しながら、決定的な証拠につながるような要紫は注意深く除く、というものである。
また手紙の発信源を腰昧なものにするために間違った要素を混入して、彼らの疑いを特定の国や制度や人物に向けさせる、というものである。
われわれの意図はこれらの人間を手下にするとか、介入計画が始動した場合に人聞を政治的操り人形にするとかいうものではない。
彼ら接触者にわれわれの文化や意図するところを理解してもらって、地球との仲介役を演じてもらうことである。
1966年、われわれはアメリカのB45M899プロジェクトに注目していた。
これは核を積んだ衛生を軌道に乗せるものである。
われわれはケープ・ケネディで実験中の500P打上げロケットに関する情報が欲しかった。
当時この地域の秘密基地の試験場に、夜間に侵入しようとした仲間の1人が、メリット・アイランドで探知されてしまい、バナナリヴァlに飛び込むしか助かる道がなくなってしまったことがあった。
そこでわれわれはケープ・ケネディから程遠くない地点に、地下基地を建設することにした。
このプロジェクトには沿岸一帯の探索も、その目的として合まれていた。
1966年5月には、われわれの宇宙船4機がマーシュ・ハーパー近くのグランドアパコ島南部に着陸した。
そのうち一機が地表近くにまで達したとき、一人の農夫が不運にも周辺に居わせ、宇宙船から発せられる披長の短い高レベルの電磁波の影響で、重い脳震蕩を起こしてしまった。
当人は直ちにカナダにあるわれわれの基地に運ばれ。
われわれは鼻孔を通じて関係部位にアクセスし、胚組織を移植し、複雑な外科手術を行わねばならなかった。
そして視床下部に記憶されてあった情報を消去し、本人の意識が回復した後にも、新しいデータを獲得できないようにしておかねばならなかった。
われわれは当時、何十人という地球人がUFO現象に興味を持っていたことを知っていた。
1943年から78年までの期間にわたって、時空間に大きな折れ目が生じたおかげで、われわれは地球のような他の惑星系の文明と接触することができた。
とはいえ地球外生命体の侵入は、地球の専門家が考えているよりは、現実にはずっと数少ないものである。
宇宙船は、進んだ文明を有する様々な惑星から地球にやって米た。
ごく稀な場合を除いては、われわれは相手のことは知らなかったし、お互いの使命には干渉しないという原則に立って行動してきた。
地球の種々の大陸に探検隊を常駐させていたのは、われわれを合めて3つの文明だけである。
ただし地球から96光年の距離にある惑星から来た第4の種族は、他の種族企部合わせた回数よりも、もっと頻繁に地球を訪問していた。
この種族は小柄で頭蓋骨が比較的大きく陥没しており、両腕は萎縮していた。
彼らが地球人になりすますことは、その容姿からしてできない相談であった。
彼らは1948年に(われわれの第1次探検隊より前に)地球に到着し、海中の小さな基地に定住した。
そして地球人の男女を何人も誘拐し、外傷を残すことなくその身体を分析したのである。
数年も経っと好奇心は満たされたので、彼らは帰還した。
だが彼らの行動が大部分のUFO観測のベースとなったのは間違いない。
他の2つの集団は、姿形が地球人に良く似ていることを奇貨として、あなたがたの問に紛れ込む方法を選んだ。
彼らの目ざすところはわれわれと同椴であったが、その戦略は典なっていた。
だが彼らは徹底して沈黙を守り、あなたがたに気づかれるようなことは、1度もなかった。
彼らの宇宙船は何度か探知されている。
彼らはアメリカとソ連に基地を造った。
一方の種族は、地球から174光年の惑星から、1962年にアンゴラに到来した。
そして1969年からは、アメリカ、ソ述、インド連邦で地球人の中に紛れ込んだのである。
ただ彼らは、あなたがたとの接触を一切避けた。
いずれにしても、あなたがたの迷惑となったような文明はひとつもない。
どの文明もみな、訪問先の惑星の進化プロセスを妨げない、という普遍的倫理を尊重したのである。
だが例外がひとつだけある。
こうした探検隊のひとつが、ヨーロッパや、アジアの様々な固に隊員を派遣したのである。
そのうち2人は、われわれが定住する以前にスペインに到着していた。
彼らは脳をコントロールする機掃を用いて、ある日本人と接触し、その後、この日本人を媒介としてフェルナンド・セスマ・マンザーノという、あなたの同国人と接触した。
脳のコントロール技術にかけては極めて先進的なこの文明は、地球人を自分たちの神経生理学実験のモルモットとして利用することを思いついたのである。
彼らは宇宙の普遍的法則を守らず、地球人の生物としての統一性を頭から無視して、種々様々の人間をサンプルとして彼らの悩を操作し、それを中華人民共和国、タイ、インドネシア、日本、イタリア、ギリシャの人々にも適用していった。
この実験は、様々なレベルの病理学的構造を誘発することになった。
スペインでは次に挙げるあなたの仲間が程度に差こそあれ、そのために病気に感染している。
フランコ・ムエラ、フエルナンド・セスマ、ヴイクトリア・イルレタギルナ、アリシア・アランホ、クレメンテ・ドミンゲス・ゴメス、イザベル・ニド、ホセ・ゴンザレス・アレナス、レヒナ・サンドラス、フリオ・フェルナンド・サンチェス、エドゥアルド・プエル夕、フランシスコ・モンテシノス・ロベス、マリア・マセンシオン・シベリラ、ゴメス・マルフィル、ペドロ・ヴイヴアンコス・ガルシア。
われわれのほうはアルパセlテの中心街に地下実験所を設け、それを最初の作戦越地としていた。
それからマドリッドに行ったのである。
この頃にはすでに様々な函に、質の良い接触者たちとのネットワークが出来上がっていた。
地球ではUFO着陸についての、ある租の集団的強迫観念が広まっていたが、観測レポートの8Oパーセントは、目撃者のデッチ上げか誤認であった。
マスコミの報じる情報は、それに輪をかけてデタラメなものだった。
おかげでこの問題に関心のあった大学関係者や科学者たちも、UFO関連資料金体がとんでもない考えを吹聴する人々のデッチ上だと、考えるようになって
しまったのである。
しかし、公的権力や、警察や、科学界のある部分がこうして無関心になってくれたことが、われわれにはまたとない隠れ蓑だった。
おかげで少しも危険を感じることなく人々の前に出現できるようになった。
マスコミがわれわれの手紙に必要以上に注目するような場合にも、情報操作を行えば何の心配もないことも分かってきた。
われわれはこのようにして、精神病理学的症状に悩みながらもわれわれを一時自宅に住まわせてくれた、アルパセーテの夫人に悪い評判が立っていることまでも、大いに利用させてもらったのである。
当時いろいろな国に接触者のグループがあった。
彼らはわれわれの手紙を丹念に読んでいた。
われわれの正体が宇宙人であることにほぼ確信を持っていたが、徹底して沈黙を守ってくれていた。
われわれの仲間の1人は、カナダの接触者グループの厚い信頼を受けていた。
彼はこの地球人のグループの前に直接姿を現わした。
このグループには男が9人、女が21人いた。
彼らはオーストラリア、イギリス、ドイツ連邦共和国、ジンパプエのグループと同じく、われわれの存在については秘密を守る、という約束を忠突に守ってくれている。
あなたと同じスペイン人のヨアキム・ヴアルデス・サンチョ編集の刊行物によって、われわれはもう1人のスペイン人、フエルナンド・セスマ・マンザーノを知ることになった。
この人物の論文を解説しているうちに、彼が何らかの地球外文明に接触した経験が無ければ、とても解説しうるものではないようなメッセージが掲載されていることに気がついた。
当時われわれはスペインにもうひとつ接触者のグループを組織することを決め、すでに他にも接触の糸口を見つけようとしていたが、相手方の反応はまちまちであった。
フエルナンド・セスマに電話をかけても、最初のうちは半信半疑の様子であった。
われわれは彼の声を分析して神経=頭脳の構造についての多くのデータを得ることができた。
こうして1965年には、最初の電話による対話が始まった。
だが彼はその後他の惑星から来た字宙人の卑劣な操作の犠牲になってしまった。
われわれの仲間がセスマにも分かる言語で送った手紙のことは、誰にも言わないようにと再三にわたって懇願したのだが、それでも彼は心の底から熱狂してその内容を世間に広め、ジャーナリストのインタヴューにも応じた。
われわれの存在に関するデータは、これらジャーナリストの手によって直ちに活字にされてしまったのである。
仲間は心配になって、しばらくの間、手紙を送るのを中断した。
そしてもっと知性と良識を備えた、エンリケ・グランという画家に接触を始めた。
仲間たちは彼の作品を高く評価していたのである。
セスマがマスコミに向かって、ウンモ事件は愚にもつかぬことの積み重ねにすぎないと宣言するように、何とか説得してみてくれまいか、と頼みこんだ。
われわれがグランの目の前に姿を現わしたので、彼は宇宙人の存在を確信し、状況は急を要する深刻なものであることを理解したのだと思っていた。
ところが彼はこれをイタズラだと思ったのか、罠にかかるのが怖かったのか、セスマとの会見を拒絶してしまったのである。
かくしてフェルナンド・セスマに何らかの影響力を及ぼすのは、不可能になった。
われわれは電話で話したときも、「サリアーノ」と自称する人物と関係を維持するのは、大変危険だと忠告はしておいた。
だがセスマを操っていた連中は、直ちに彼の扁桃体に働きかけ、彼の記憶からわれわれとの話の内容を消し去り、警告のために書かれた手紙も破り捨てるように仕向けたのである。
われわれの仲間は、そんなわけでスペインでの行動計画を放棄する瀬戸際にあった。
アルパセーテでは厳密な予防処置を怠ったために、危うく測り知れない被害を与える深刻な伝染病を広めるところだった。
そして誤って、罪なき女性を裁判沙汰に巻き込んでしまった。
ヴアレンシアでは仲間の1人がいかがわしいホテルに余儀なく滞在したところ、売春婦たちを巻き込んだ刑事事件に居合わせたために、すんでのところで警察に正体を見破られるところであった。
そうこうするうちにセスマは、「国中に」われわれの存在を知らせようとしていた。
だがこの種の情報は、たちまちのうちにそのインパクトが失われるものであることが分かり、われわれは胸をなでおろした次第である。
世間の人々は断片的な情報を得ても、特に気にもとめていないのだ。
この時期にはわれわれにも、地球社会を支視している論理的分析のメカニズムがまだよく分かっていなかった。
この種の情報が地球の他の地域に広がっていくのではないか、という心舵は杞憂に終わった。
かえってそれが分かったおかげで、われわれには地球社会に働く暗示や、信用性のレベルに関する、新しい研究分野が開かれたのである。
あらゆる情報チャンネルを動員して真実を広めておいても、その同じ情報の受け取め方が階層によって異なるものであり、それをこちらで自由にコントロールできるのだということが良く分かった'。
万一われわれが捕らえられ、自分の正体を明かす決意をしたとしても、地球人にはわれわれの言うことを信じてもらえないだろうということも分かってきたのである!
スペインのあなたがたの同胞のおかげで、われわれがそれまで警戒していたことの大部分は、無意味なものであることが分かった。
だから既成事実を前にしても、つまりスペイン大衆がわれわれ宇宙人の存在についての情報を得た、という事実に直面しても、われわれは手紙が世間に知られるのを黙認しつつ実験を続けていくことにしたのである。
今ではわれわれも、これらの事実が広まるのが一定の範囲に限られるものだということを知っている。
それにしても危険な事態であることに変わりはない。
量が過ぎるほどの手紙がスペインで公開された。
これが未だに心配の種になっている。
われわれはアントニオ・リベラやホアン・アギールやエンリク・ロペス・ゲレlロには深い愛情を抱いているが、彼らがわれわれの手紙の重要な一部を、勝手に公表したことも承知している。
だがわれわれがその事後処理として、セスマが1967年にエスパホ社から『生物の住むもうひとつの惑星ウンモ』というタイトルの本を出したときと同じように、手紙を中断したり同数を減らしたりしていたことが彼らには分かっていない。
われわれとしては宇宙人であるという情報のインパクトを極力弱めておきたいのである。
ここに簡単に説明した地球制圧のプロジェクトに附する情報が、各国の諜報機関に漏れることはさほど心配していない。
それには2つの理由がある。
つまり、彼らはわれわれのことを信じない
たとえ彼らがこのプロジェクトに関する情報を得て危険を悟ったとしても、われわれにはどんな抵抗をも鎮圧するに十分な手段があるのである。
アルパセーテにて
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