タイトルの付けにくいパフォーマンスだったが、いやあ中身は濃かった。
ドナルド・フェイゲン、マイケル・マクドナルド、ボズ・スキャッグが2010年に結成したライヴ・プロジェクト。
2012年には日本で名古屋、大阪・東京日本武道館に加え横浜での追加公演が行われている。
いわゆるアーバン・ポップとかAORと呼ばれるジャンルを代表する3人のスタープレイヤーが集まったプロジェクト。
この顔ぶれは、ちょっと類を見ない顔合わせではないだろうか。
それも臨時で寄せ集められた、ワンナイトスタンドでのパフォーマンスではないところがまたいい。
しっかりリハーサルを重ねていることは、ボズもマイケルも全曲を譜面なしで演奏していることからも伺える。
ただフェイゲンだけは譜面を見ていたけどね。
特にドナルド・フェイゲンは、ライブステージをDV Dやブルーレイディスクで目にする機会がほとんどないプレイヤーだ。
だが、それぞれは単独でステージを披露できるだけのスタープレイヤー。
これだけのメンツが3人集まっているため、とにかく聞き所満載。
お馴染みマイケル・マクドナルドのソウルフルなシャウトは相変わらず鳥肌モノ。
だが全盛期ほどの声質の伸びは失われているため、よりソウルフルにならざるを得なくなっているのは確か。
ボズのラメ入りジャケットがお洒落。
ボズ・スキャッグスならでは独特の歌声はもちろんのこと、このステージでは卓越したギター・プレイも堪能することができる。
冒頭でいきなりボズは アイズレレーブラザーズの名曲 WHO’S THAT LADY で、観客をノックアウト。
しかし、ボズの声は実に良く通る声だ。
あれだけのバッキングのサウンドの中で、太めの黒人女性バックコーラスメンバーである monet owens がそばでシャウトしても、ボズの声は実によく通る。
こうしたまさに「天性の魅力」を持つボズの歌声が本領を発揮し、魅了するシーンが随所で堪能できるのだから堪らない。
3人が残してきた数々の名曲に加え、アイズレー、マーヴィン・ゲイなどのソウル・クラシック、さらにはカントリーから、ジャニス・ジョプリンの「心のかけら」など、次々と惜しげもなく披露されてゆく。
こうして聴き比べると、「プロデューサー兼司会進行」のフェイゲンは3人の中では最も「声が通らない」のだが、彼独自の美学に貫かれたアレンジとサウンドは、そういったことを忘れさせてくれる。
「ヘイ・ナインティーン」や「プレッツェル・ロジック」といったスティーリー・ダン時代の曲を、イントロでのソロピアノを交え、披露してくれた。
そして「さあ次は、テキサスからやってきたブルース・マン、ボズ・スキャッグスだよ!」と司会するフェイゲン。
かなりのクセモノだということが、このブルーレイに収録されたよくわかるのも嬉しい見所ではないだろうか。
フェイゲン色の緻密な構築ぶりが、随所に現れているのも観所だ。
バンドは、スティーリー・ダンやフェイゲンのソロで長年活動してきている辣腕メンバーが揃っている。
アメリカ東海岸で売れっ子のセッションギタリストでもある Jon Herington はスティーリー・ダンのいわゆるレギュラーメンバー。
ご機嫌なサウンドのホーンセクションは手前から Jay Collins ・ Walt Weiskopf ・ Michael Leonhart
コルトレーンのアドマイヤーでもあるウォルト・ワイスコフは21歳で19811年にバディ・リッチ・ビッグ・バンドに参加した強者。
トランペット・フリューゲルホーン担当のマイケル・レオンハートはドナルド・フェイゲンの「サンケン・コンドズ」では共同プロデューサーとして名を連ねている。
左側が、マイケル・レオンハートのお姉さんのキャロリン・レオンハート。
グレッグ・オールマンなどでも活躍したサックスのジェイ・コリンズはH管のフルートに持ち替え。
LOW DOWN での例のリフをアルトフルートとフルートで決めていたのは、フェイゲンのこだわりだろうか。
ドラムは Shannon Forrest
Facebook では、彼のドラムセットなどが写真で紹介されている。
This is the setup I'll be using with the Dukes this summer:
8x10, 8x12, 9x13, 14x14, 18x22. I'll be using a variety of snares throughout the night including: 7.5x13 Sheoak block, 6.5x14 jarrah block, 6.5x14 Marri ply, 6.5x14 baritone ply (prototype), 5.5x10 jarah ply. Cymbals:
all 602's-14" hats, 20" crash x 2, 18" crash, 21" ride
ピアノ・キーボードはジム・ビアード。
カバーがあるので、どこのキーボードかがわからない。(笑)
マイケルは、ドゥービー・ブラザーズ時代のあの名曲「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」を、フェイゲンの洗練されたスタイリッシュなアレンジで披露してくれている。
とにかくヒット曲のオンパレード。
彼らの音楽を楽しんできたファンには堪らないパフォーマンスがギッシリ収録されている。
会場もそういう年台の人たちが多く、心から楽しんでいる様子も、映像ではあわせて収録されているが、それがまたステージを盛り上げるわけだ。
会場全体がこういうノリで、「観客のリアクションがフィードバックされながら進行する」という点は、日本公演では味わえない点だ。
アンコールは、ボズの名曲「リド・シャッフル」。
そしてスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「サンキュー」の熱い濃厚なテイストのファンクでノックアウト。
収録時間野の一時間半は、まさにあっという間だった。
Donald Fagen, Michael McDonald and Boz Scaggs ? Dukes of September: Live at Lincoln Center (2014) < こちらに2曲の動画あり
The Dukes of September - What A Fool Believes (Live)
The Dukes of September - Takin It To The Streets (Live)
The Dukes of September - Lowdown (Live)
Boz Live 2004) 1時間54分!
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