マン・オブ・スティールは、1978年の「スーパーマンからのシリーズとなる、いわゆるスーパーマンのリメイク映画。
制作費は2億2500万ドルと巨額だが、興行収入は全世界で6億6800万ドル!(668億円)。
日本だけでは9億円弱の興行収入。
地球での育ての親役としてケビン・コスナー、ダイアン・レインと結構豪華な顔ぶれがキャスティングされている。
こうした、大ヒットしたがために制作されるシリーズものの映画は、ある種の様式美を備えている。
スパイダーマンもそうだが、特徴的となるコスチュームは、この手の映画では、様式美の象徴とも言えるわけだ。
だがこの映画では、意外にもコスチュームを来たスーパーマンは、なかなか登場しない。
映画の冒頭では、スーパーマンととしての使命や生い立ちなどの、いきさつが結構詳細に描かれている。
スーパーマンのユニフォームを着るまでのいきさつを、段階的に、そしてスーパーマンとして生きる葛藤や悩みを織り交ぜながら、ストーリーが進んでゆく。
スーパーマンであることがバレないようにしなければならない、などといった苦悩などが、丹念に描かれている。
自分のアイデンティティーを追求するがゆえ、ヒッチハイクやバイトをする姿まで登場させるなど、それまでに観客が思い描いているスーパーマン像とは、かけ離れた設定となっている。
クリプトン星での父親役が ラッセル・クロウ。
だが、いざスーパーマンに変身してからも、今までのような無敵さは影を潜めた描写で、クリプトン星からやってくる悪役が、スーパーマンと同じくらいに強く、さらに多勢で向かってくるのだ。
観客にとっては、ちょっと意外な展開だ。
というわけで、思わぬ苦戦とあいなってしまうのだが、チカラ関係が、クリプトン星からやってきた悪役連中とは互角の戦闘パワーのため、いわゆる大乱闘状態となってしまう。
そのため、大都市部での被害は甚大で、シャレにならないほど破壊尽くされるのには、ちょっとビックリ。
おまけに、最初地球人側は事情がよく分からないため、クリプトン星からやってきた悪役共と、スーパーマンとの区別が付かず、「どっちも殺してしまえ!」と撃ちまくったりするのだ。
オイオイ。そんなことじゃあ司令官はクビだろうが!(笑)
つまり、かなりいろんなところが、それまでのスーパーマン映画でのお約束ごとというか、暗黙の了解部分が、裏切られる作りとなっている。
エイミー・アダムス扮する新聞記者ロイス・レインが使っているという設定で登場するのは、ニコンD3s。
2009年11月発売の1200万画素のカメラだが、何故か映画でのカメラはニコンがよく使われている。
キヤノンのカメラはどちらかというとファッション系カメラマンが使い、ニコンの方はプレス系カメラマンが使うというイメージがあるが、そのせいなのだろうか。
スーパーマン演じる主役はヘンリー・カヴィル。
とにかく、スーパーマンと同じ不死身体質の悪役との大乱闘が続くため、でかいビルがなぎ倒され、多分多くのヒトが死ぬことになっているはずなのだが、お構いなし。
スーパーマンは、人を助けるんじゃなかったっけ?
なんてことを考える余裕もなくなるほど、とにかくもの凄い死闘が続く。
スーパーマンが殴られ、ビル3棟ほどに穴が開くほどすっ飛ばされても、スーパーマンの髪型に乱れナシ。
2億2500万ドルのうちの、一体どれだけの予算が、このCGでの戦闘シーンで使われたのだろう。
と、ふと考えてしまうほど、もの凄いスピード感と凄まじいリアリティーでもって、街が壊れてゆくわけで、まあいってみれば一つの見所でもあるわけだが・・
中盤からは、とにかく、スパーマンと悪役とのチカラずくでの丁々発止が続き、いわゆる地球人は蚊帳の外。(笑)
唯一、終盤でロイス・レーンがやっつける方法を考えつく、というくらい人間は無力なままで、クライマックスへ。
一体誰が弁償するんだ?って言いたくなるほど、街は戦闘と共にどんどん破壊尽くされてゆく。
とにかく多勢に無勢のスーパーマンは防戦一方。
おまけに悪役のかなりセクシーなお姉さんが、やたら強くスーパーマンはタジタジで応戦。
とてもじゃないが、人を助けるどころのハナシではなくなってしまっているのだから仕方なし。
バトルは結構長時間やり合うため、飽きないよう、一応どんどんエスカレートする作りにはなっている。
だが、そうはいっても、これだけ続くと、いくら何でも飽きてしまう。
だって、どう頑張って殴ろうと、どちらも死ぬことはないのだから困ったものだ。
当然のことながら、だんだんと手詰まりになり、ぶっ飛ばしパターンも品切れになってゆくわけだ。
だからといってスーパーマンも悪役も、何か有効な他の手だてを考えるでもなく、ただ真正面から取っ組みあい、殴り合うばかり。
じゃあこの不死身の連中を、一体どうやってやっつけるのだろう?と思っていると・・
赤いパンツが廃止になった、新しいユニフォームは、なんだかスパイダーマンっぽいデザイン。
悪役の親玉は意外にあっけなく、スーパーマンに首を捻ねられ死んでしまう。
なんだか制限時間が来たので、悪役が負けてしまったプロレスの試合のようだ。
ただ見ている側がそういった不条理を考えるマを与えないだけの、ド派手な作りになっているのが凄い。
2億2500万ドルの威力だろう。
この段階では「なかなか死なないヤツだったが・・でもやっと終わったか、ヤレヤレ」といった気分になるわけだ。
でここからがクライマックスで、一気に盛り上がるという寸法となっている。
このあたりの構成や、映画全体の流れの緩急のつけ方はさすが。
観客が飽きないようなメリハリのあるストーリー展開のため、ワンパターンバトルが、かなり救われた格好となっている。
ロイス・レイン役はエイミー・アダムス。
ラストはロイス・レインが考えた、神風特攻隊作戦で輸送機が自爆。
相手の母船はあえなく大爆発。
ロイス・レインは運良く特攻機から投げ出され、落下してゆくところを、スーパーマンが受け止めて一件落着。
こうしたところは、ちゃんとお約束通りの様式美通展開で終わる作りになっていた。
豪華な配役陣と、暗く苦悩するスーパーマンというキャラ。
そしてその不満を爆発させるかのような、壮絶なバトル。
ダンナ!息子と映画を見に行くなら、「マン・オブ・スティール」でっせ。
と囁きたくなる映画でありました。(笑)