クルマというのは、所用を済ませ、クルマへ戻るたびに、そのカタチは目に入らざるを得ないわけだ。
そのため、クルマのエクステリアデザインの裏には、そのクルマを作るメーカーの思惑が潜んでいる。
クルマの見た目の好みは、人それぞれ。
シトロエン、特にC6のデザインを一言で言えば「威張らないカタチ」といえるだろう。
C6のように、5メートル近い長さのボディともなると、作り手はどうしても「威張りたい」という気分を満たしたくなるのは当然のこと。
作る以上は売れて貰わなくては困るわけだからね。
こういうクラスの車を買おうと考える人は、「どうだ!」という自己顕示欲というか「威張りたい」という気分を満足させてくれるクルマを求めるケースが多い。
典型的な例がベンツ。
威張りたがる人が好んで買うのは、ベンツの顔カタチがまんま「威張っている」からだ。
日本でのこのクラスのサイズのガイシャでは、値段が高いにもかかわらず最も売れているのがSクラス。
資本社会主義の日本では、みんなと同じ路線を歩むのが基本。
だがクルマだけは、それじゃあイヤだ!という人の気分をうまくガス抜きしてくれるのが、ベンツのデザインなのだ。
威張りと、売れ行きの相関関係がこれだけハッキリしていると、自動車メーカーはどうしてもデザインに「威張りスパイス」を振りかけたくなるもの。
だがシトロエン、特にC6のデザインは、何故か最も「威張り」から遠いポジションにあるという、世にも希有な例なのだ。
だから「威張り比べ」をするときに、C6はもってこいの、リトマス試験紙として機能するクルマだといっていいだろう。
マツダのクルマもC6と並べると、「威張りエッセンス」がそれとはなく振りかけられていることがわかるだろう。
フロントウィンドウの湾曲の案配は、マツダよりC6の方が丸みを帯びている。
C6のボンネットとフロントウィンドウの湾曲のバランスを、マッチさせたデザインだということが、マツダと比べると、際立ってよくわかるはず。
マツダのフロントウィンドウの湾曲はは、C6と比べると、より直線的になっている。
つまりマツダはボンネットの湾曲よりウィンドウの湾曲の方がより直線的なバランスで構成されているわけだ。
何よりも端的にわかるのが、目つき。
目は口ほどにモノを言い・・というからね。
ラジエターグリルは、わかりやすく言えば、鼻の穴。
だから威張りたいときは、鼻の穴を大きくすればいいわけだ。
鼻の穴を比べると、今やアウディが最大で、次がベンツ、そしてBMW。
最近はレクサスが、大きな鼻の穴に加え、大口を開けて頑張っているわけだ。(笑)
同じフォルクスワーゲングループでも、アウディーと違ってゴルフは、横長のおとなしいラジエターグリルを採用している。
なぜなら威張りたい人が、ゴルフを買うことはないからだ。
バンパーの下のデザインは、そこはかとなく「レトロ」なテイストを醸し出している。
柔らかな目つきと、レトロなクチまわり。
この組み合わせが、エレガントな雰囲気を生み出している。
これこそが、C6の真骨頂とでもいうべき「味」なのではないだろうか?
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