ハッキリ書くという勇気

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体幹を鍛えたコンパクトレクサスを を読んで、あっ!森慶太さんだ、とすぐにわかった。

どれも似たような自動車評論家のヨイショ記事が氾濫している今、この個性は希有な存在だ。

車雑誌が売れなくなる理由でも説明しているけれど、問題点はちゃんと書く、ということが当り前にできる評論家はほぼ皆無だからねえ。

  

で、このクルマのどこが問題なのかという、いわゆるハイライト部分を、記事から引用させていただくと・・

   

乗ると。ドライビングポジション関係は前と同じ。アタリマエか。やはり、レクサス車――というか全トヨタ車系――のなかでもっとも地雷度が低い。簡単にいうとフツー。でもミョーに低そうに狭そうに感じるのは、いわゆるスポーティー系ということだからか。全高は1460mm……ってそれ、ゴルフVIIより背が高い。そういえば、ゴルフは今回、先代モデルより背が低くなったんだった。これもまたスポーティー系ということなのか。「ただの実用車じゃないんです」といおうとしていることはわかる。わかるけど、またヘタ。低いとか狭いとかいわれて「いやそれはスポーティー狙いだから……」とイイワケするのではなく、その逆。見るからにスポーティー狙いのカタチなのに、座ると狭くない。むしろ広々感がある。後席もオッケー。キャビン造形、うまい!?そういう方向で乗る人を感心させないと。

信号の四つ角を曲がるときの印象でいうと、まだちょっと。スルッときっていって、思ったよりも早いタイミングで(かつ急激に)手応えがグッと強まる。戻すときも、思ったより早く、かつ急激に戻ろうとする。じゃあ勝手に最後までスーッと上手に戻ってくれるのかと思うと、そうでもない。動力特性との対比でいうとミョーに手応えに迫力がありすぎるともいえるし、ナマの手応えがハッキリ出るようになったことでそうなったのだとしたら「さらにもっとツクリ込んでほしい」ともいえる。というか、いいたい。いずれにせよ、舵感の不思議度は大幅ダウン。

THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)に関してひとつ非常にあるのは、速度管理の難しさ。例えば高速道路で、下り坂ではどんどんスピードが高くなる。逆に上り坂ではどんどんオソく。クルマなりになんの気なしに運転していると、速度がすごく波打つ。勾配変化が、ある小さくない遅れというか位相ズレというかをともなって、誇張される感じ。プリウス渋滞なんてことがいわれるのには、それが要因としてある。

同じ日に後席にチョイ乗りした「GS」の車体のガッチリ感がまるでヤレた中古車のそれのようだったということはハッキリいえます。また一方、新しくなったCTがゴルフより、あるいはV40よりいいクルマかというと、答えはNO。乗ったあとで値段を知ると、さらにNO!?では、どうすれば?? ということになるわけだけど、やはりひとつには動力関係。トバすようなことを全然しない範囲でも、THS、ツマラン。デキがマシになった結果、そのツマラナさが余計ハッキリ見えるようになってしまったともいえる。クルマの説明をするのにこういうたとえはアレだけれど、ビールだと思って飲んだのがノンアルコールのビール、あるいはビールもどきだった、というような。あるいは、プレミアム物件としてはかなり、またはなおのことツラい感じで満腹感が足りない。食った気がしない。

そんなことをいってはミもフタも……ということならば、例えばアクセルペダル関係。もちろんバイワイヤ系の端末というかインターフェイスなのだけど、その踏み応え。オモチャやゲーム機みたいにポヨンポヨンなのをなんとかしてもらいたい。もどき感の一部はそこに起因していると俺はみてます。フツーのエンジン車と比べてCTのそのへんが特別ポヨンポヨンでは実はないかもしれないけれど、CTはフツーのエンジン車ではないのだから、対策として特別なんかしてあってもバチは当たるまい。

    

このように森慶太さんの文は明快。

それでいて専門用語をあまり使わず、ユーザーの視点から、読者が直感的にその車の特性が把握できるように書かれている。

わかりやすくいうと、モリケータ氏は、ドライビングポジション、ステアリング、アクセルとブレーキのタッチ、ボディーのガッチリ感などに問題があると、ハッキリ書いているわけだ。

webCG といういわゆる一般の人に目が触れる媒体で、ここまでハッキリと書いている記事は、他に類を見ないだろう。

仕事が来なくなるかもしれない、という恐怖心に打勝つ勇気がなければ、書けないわけだからね。

      

さて肝心のレクサスのニューモデルだが、お値段は421万円、テスト車は494万6050円となっているが、すぐに古くなってしまうであろうエクステリアデザインを考えるとねえ。

それでも日本では、レクサス車のなかで、いちばん数多く売れているのだという。

だがこのレクサスが足下にも及ばない王者ゴルフは、何と299万円で、テスト車は324万2千円。

恐るべしフォルクスワーゲン。

 

      

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