水そのものを飲むという習慣は、実は日本にはあまり定着していない。
お茶やジュースで水分をとっている人がほとんど。
はたしてこれらは、水分補給に適した飲み物なのだろうか。
まず緑茶だが、水分補給という目的には適さない。
アルカリ性なので胃を荒らすうえ、利尿作用が強いので脱水傾向になってしまう。
つまり、飲むとトイレが近くなるうえ、そのあと、また喉が渇くのだ。
ウーロン茶、紅茶、コーヒーも同様。
これらを飲むときは、午前中に水分を充分補給したうえで、あくまで嗜好品として飲むにとどめることだ。
1日2杯までならよい。
お茶がだめとなると、ジュースはどうだろうか。
これはお茶よりたちが悪い。
理由は糖分にある。
砂糖を大量に入れた清涼飲料水をいつも飲んでいる人は、わけもなくイライラしたり、突然さびしくなったり、不安になったり、ひとつのことに集中できなかったりするのだ。
原因は砂糖。
同じ色のローソク足が続いているのに、手仕舞う人は心当たりがないだろうか。(笑)
つまり砂糖中毒になるわけで、、切れてくるとイライラし、さびしくなり、またしても甘いジュースを飲んでしまうという悪循環に陥る。
砂糖にはこうした精神不安という害があるうえ、食事の時間になっても食欲がわかないという致命的な欠陥がある。
日常的に甘いジュースを飲んでいると、つねに血糖値が充分にあるので、栄養が不足しているにもかかわらず空腹を感じないのだ。
それで昼食や夕食が食べられなくなる。結果、健康的な食事の量はどんどん減り、それに反比例してお菓子やジュースがどんどん増える。
これでは早晩、糖尿病になってしまう。
やはり、水がいちばんよい。
それでは、どのような水を飲むのがよいのか。
煮沸消毒されパック詰めにされたミネラルウォーターは、すでに水としての生命力を失っている。
水道の生水の方が遙かにいい。
ただ塩素が入っているので、浄水器をつけることだ。
高価なものは必要なく、1万円以内のもので充分。
だが東日本は放射能という大きな問題があるわけで・・
私は布引の水を汲みに行ている。
いわゆる神戸ウォーターだ。
おまけ
困ったことに、お茶には、農薬という複雑でわかりにくい問題があるのだ。
Japan Daily Press紙のサイト 2012年12月12日付
(見出し)日本の食品会社、殺虫剤汚染を理由に中国産ウーロン茶製品をリコール
日本の大手食品会社の1社である伊藤園は火曜日、一部が不法なレベルの殺虫剤で汚染されることが判明したとして、自社製品の中国産茶葉のお茶のリコールを発表。
同社は、無作為サンプル検査により、国の食品安全規定以上の残留物のレベルが明らかとなり、今回の発見に至ったと述べている。
このリコールは、伊藤園のウーロン茶、約400,000のパッケージに影響するという。
伊藤園が販売していた問題の茶は、中国南部の福建省から輸入されたものだ。
日本国内の他の茶製品生産会社が11月に、中国産のお茶に高いレベルの殺虫剤が含まれることを明らかにしたことを受け、伊藤園も最近、安全検査を開始したところだったという。
伊藤園のスポークスマンは、この検査は完全に同社が自主的に行ったもので、顧客からの苦情は受けておらず、今回発見された事実による、切迫した健康リスクはないとしている。
リコール対象のウーロン茶のパッケージは、賞味期限が2013年の11月半ばから後半までであるという。
伊藤園は、残留農薬の根源が見つかるまでは、これに関連した茶製品の販売を保留する予定であるとしている。
また同社は、従来の製品の検査もさらに増加することに加えて、調査のための社員を中国に派遣している。
今回リコールされた製品は中国側ではサンプル試験に合格していたものだ。
だが中国では過去数年にわたり、多くの食品安全性スキャンダルが起きている。
2008年には乳製品に工業用化学薬品の含有が発見され6人の赤ん坊が死亡し300,000人が発症。
またこの同じ年には別件で、汚染餃子により多くの日本人が発症する事例もあった。
静岡県産無農薬ウーロン茶 などというサイトもあるくらいだから、普通農薬は使いまくるのが常識。
一般的に茶葉の生産には農薬が切っても切れない関係だ。
「そんなことを言えば日本のお茶だって危ないんじゃないか?」という声も聞こえてきそうだが、その通り。
お茶に限らず、日本の農家では出荷している農作物を自宅で食べないところが多い。
「恐くて喰えない飲めない」からだ。
しかし、だからといって、彼らが違法なことをしている訳ではない。
農協の指導に従い、「国の農薬使用基準」は守っているのだ。
「だから、安心。俺は自民党に投票している」という人はお茶をガバガバ飲めばいい。
中国も日本も農薬をたっぷり使っていることは紛れもない事実なのだ。
だが、これらの農産物をどこまで信用するかは、各自の判断にゆだねるしかないのが現状だ。
中国産茶葉が全部危険であるとまでは断言できないが、どれが安全なのか、といわれても現状では調べようがない。
ひたすら業者の言い分を信用するしかないのだ。
自民党に投票するような人の大部分は、こんな話を聞いても、「めんどくさい。食い物のことなんかいちいち気にしていられるかい」と考えている人が多いだろう。
食品の回収サイトのリコールプラスを見ると、11か月弱で30社もの回収情報が載っている。
小谷穀粉(高知県)が福建省から輸入したウーロン茶ティーバック等の回収を始めたのを皮切りに、中には伊藤園のようなウーロン茶の草分けも入っている。
どうなってしまったのか。
中国でもお茶は緑茶が主流だが、ウーロン茶は茶葉を摘んだ後、天日干し、室内で保管して発酵させる。
釜で加熱して発酵を止め、よく揉んで商品に仕上げたものである。
完全に発酵させれば紅茶になる。
ウーロン茶の生産量は福建省がトップで日本ではウーロン茶といえば鉄観音の福建省と思っている方が多い。
他にも北部の武夷山のお茶や台湾など質の高いお茶も多い。
今回、回収されたものの多くが、缶に入った高級茶というよりも、細かく粉砕したウーロン茶をティーバッグに入れたものだ。
ウーロン茶を混ぜた健康茶などで、お徳用の商品もあり値段的には安価で購入しやすい商品なのだ。
基準超過は主に、自主検査で判明している。
だが問題となった農薬は、茶の基準値が0.002ppmのフィプロニルと、日本で適用がないので一律基準0.01ppmが適用されるインドキサカルブ。
インドキサカルブは検出されていない茶葉もある。
ここで注意してほしいのは、この分析結果は茶葉そのものの検査数値である、ということだ。
最近では茶の残留基準は、加工過程を入れない茶葉そのものの残留濃度として設定されている。
以前残留基準が設定されていた塩素系農薬、ピレスロイド系農薬、有機リン系農薬など約100農薬は、熱湯で浸出した抽出液を用いて分析され、茶葉1グラム中にどれほど入っているかを換算して判断していたのだ。
茶葉9グラムに対して熱湯540ミリグラムを使用し、分析を行っていた。
つまり、粉末の茶葉をそのまま飲む抹茶は、抹茶から直接抽出していたが、お茶に関しては飲み方に配慮した分析になっていたのだ。
塩素系、ピレスロイド系、リン系農薬(一部除く)は、水に溶けない性質(水分配係数LogPow)が大きいので熱湯にはほとんど抽出されてこない。
そのため茶葉そのものでは検出されても抽出液は検出せずという分析結果が多かった。
当然である。
ちなみに今回のフィプロニルはLogPow=4、インドキサカルブは4.6と水にほとんど溶けないので、回収内容の文末に、通常の使用方法による飲用では健康被害を引き起こすことはありませんと書いているのは確かだろう。
しかし、どうして今回の基準違反事例が起きてしまったのだろう。
小谷製粉は900トン輸入して300万個を製造したという。
900トンというと生産者は相当の数に上るのではないだろうか?
そのあたりの実際の生産現場での農薬管理は大丈夫だったのか?
輸出前検査はされていたと思うが、現地の検査では、トリアゾホスなど命令検査対象となった農薬などが優先され、使用実態を踏まえて、広く多成分分析を行っているわけではないだろう。
分析機関の出した農薬検査結果がそのまま、閲覧できるサイトも多いが、ほとんどがすべて「検出せず」の結果となっている会社が多く、気になる。
茶葉などの検査で、「すべて検出せず」というのは、残留している可能性のある農薬を検査対象としていないか、検出限界に問題があるのでは、と正直疑ってしまう。
あるサイトでは、福建省のウーロン茶で168農薬分析を行いアセタミプリド、シペルメトリン、ブプロフェジン等8農薬が適合範囲で残留しているが、他はすべて検出されませんでした、という検査結果を公表していた。
正直でちゃんと分析しているな、と信頼がおける。
日本の放射能検査も、せめてこれくらい正直にやって貰いたいものだ。
今回の事例でリスク回避の面から参考になったのは、グリーンピース(緑色和平)が2011年12月と2012年1月に購入した大手中国茶メーカーの緑茶、ウーロン茶、ジャスミン茶18商品を分析したレポートだ。
今年4月に公表されており、すべての検体から3から17種類もの農薬が検出されている。
詳しく見ると、中国で茶葉に使用が禁じられているメソミル(9)、エンドスルファン(2)、フェンバレレート(1)が検出されている。
グリーンピースは、こういった状況の改善を要求している。
この結果を見ていて興味深いのはウーロン茶を4件検査しているが、すべてからインドキサカルブが0.17、3.9、0.18、0.03ppm検出されていることだ。
EUでは、インドキサカルブの残留基準は0.05ppmなので、3件は基準超過となる。
フィプロニルはこの検査では検出されていないので無理だが、こういったデータを事前に見ておけば日本では残留基準がないインドキサカルブが、食品衛生法違反を招きかねない農薬であることは推測がつき、慎重な検査・対応ができたのではないだろうか。
何はともあれ、現地での農薬散布管理、情報収集と現地でのリスクを想定した残留農薬検査をきちんと実施しながら輸入を行っていれば、そのあたりのリスクは、少しは回避できたのではないだろうか。
大手企業の中には、それなりに金と人手をかけて、きちんと対応しているメーカーもある。
基準超過の際の安全性説明として、その商品を毎日何キロ食べ続けても健康影響はありません、といった意味のない表現がよく使われる。
そうではなく、急性参照用量ARfD (一過性の摂取による健康影響を与えない量) が重要なのだ。
まだ日本では2つの農薬(アセタミプリド、メタミドホス)にしかないが、ARfD による評価が進み、説明に合理性が加わって欲しい。
最後に、一律基準超過で今回の30社を超える商品を単純に回収して終わらせてしまうという、コンプライアンス重視のやり方(食品衛生法第11条3項)、で本当にいいのだろうか?
コメントする