偏光フィルターの仕組みを、簡単に説明しておくと・・
光には波の性質があり、光がガラスやプラスチックなどに特定の角度で反射すると、反射した光は一方向にのみ偏った光になるわけだ。
PLフィルターは、ガラスとガラスの間に「偏光膜」と言う特殊な膜を挟んだ構造で、特定の偏光の方向を持った光と、偏光特性を持たない光を通すようになっている。
ガラス面で反射された偏光に対しPLフィルターの偏光方向を90度ずらせばガラス面からの反射光のみをカットできるわけだ。
偏光特性を持っていない光やPLフィルターの偏光方向と同じ向きの光は、そのまま通過することになる。
そのためPLフィルターはレンズへ装着した際にフィルター先端部が360度自由な方向に回転する仕組みになっている。
使うときはファインダーでの見え方を確認しながら、偏光をカットする向きにフィルター先端部を微調整して動かすわけだ。
ファインダーを見ながら、最もコントラストがはっきりする位置になるよう、PLフィルターを回転させて合わせなくてはならないので、ちょっと手間がかかることになる。
さらに円偏光型PLフィルターの最新のモデルは、広角レンズでケラレないような厚さの超薄型のため、値段もそれなり。
フィルターとしては決して安くはない1万5千円前後の値段だ。
具体的な効果としては・・
ガラス越しの被写体は、ガラス面による映り込みが無い状態で撮ることができる。
ビルなどを撮影するときに、ビルの窓に反射される光をカットし、ビルそのもののメリハリを高めることができる。
被写体表面の反射を押さえ、照かりや色飛びを押さえる。
水面反射をカットし、水中の様子が奇麗に写る。
青空のコントラストが高くなる。
空の余分な偏光をカットすることで、青はより深い青になる。
木の葉っぱに反射した太陽光がカットされるため、本来の緑色になる。
余分な偏光がカットされるため、白はより白く写る。
注意しなくてはならないのは、装着するレンズの明るさだ。
PLフィルターを装着すると、光を選別して遮るレンズを1枚追加することになるため、レンズとしては暗くなるわけだ。
つまりシャッター速度が1から2段遅くなわけだ。
そのため、F値が暗いレンズに付けると手ブレすることにもなるから注意が必要だ。
今回PLフィルターを装着したシグマのレンズは F1.4 という明るいレンズ。
昼間の晴天下で絞りを開放にすると、8千分の一秒より早いシャッター速度が必要になってしまうほど、明るいレンズなのだ。
PLフィルターを装着しても、さらに少し絞らなければならない事が多い。
このレンズでは、PLフィルターを装着することで、センサーへ到達する光が暗くなるデメリットは、ほとんどないといっていいだろう。
もちろん、EF16-35mm F2.8L USM にもこれを機会に装着することにした。
こちらの午後の雲はPLフィルターを装着して撮影している。