日本新薬は5月27日、アルコール依存症患者に対する断酒補助薬レグテクト錠333mg(一般名:アカンプロサートカルシウム)を発売
酒を飲みたい!という欲求を抑える薬が、日本ではじめて発売された。
別の言い方をすると、アルコール依存症、俗称「アル中」の治療薬であります。
1回2錠を1日3回投与する。
薬価は1錠50円少し。
このレグテクト錠という薬を333mgを1日3回食後に2錠服用するわけだ。
投与期間は原則として24週間。
1987年からフランス、1994年からヨーロッパ、2004年から米国で承認され、現在、世界24ヵ国で販売されている。
そのため、専門の学会からは厚労省に対して「早く使わせろ」と要請が出ていたといういわくつきの薬だ。
日本新薬が海外企業から導入し、このほどようやく承認を得たのだが、重い副作用もないようだ。
今までは、飲酒後に不快な症状が現れる「抗酒薬」が使われていた。
だが、今回承認された薬剤は、全く異なる仕組みだ。
中枢神経系に作用し、アルコール依存により亢進したグルタミン酸作動性神経活動を抑制する。
そのため飲酒に対する欲求を抑えることができるわけだ。
脳の中枢に作用して酒を飲みたいという欲求そのものを和らげてくれるのだ。
売上高予測は約60億円。
100億円超が当たり前のがんや認知症と比べれば決して大きなマーケットではないが、国内では、この手の薬がなかったわけだ。
日本国内には潜在的なアルコール依存症患者は、ごまんといる。
そういう人たちにとっては、まさに「画期的な新薬」なのだが、問題は当事者がアル中だと思っていないケースが多いという点だろう。
アル中は、強烈な飲酒欲求が常に付きまとい、一度酒を飲むと気絶でもしない限り、自分でやめることはできなくなる病気だ。
仮に何日か酒をやめることができても、今度は幻覚、幻聴や、手足の震えに悩まされる。
奇行などで家族や友人をも巻き込むわけだが、本人がアル中だという自覚をなかなか認めないからタチが悪い。
とはいってもこれは極端な例で、初期のアル中状態は、「アル中は意志が弱い人だからで、自分は絶対にならない」と思っているわけだ。
これがまさに落とし穴で、りジリジリと酒量が増えてゆくわけだ。
アルコール依存症は、習慣的に酒を飲み続ければ、誰でもなる病気だ。
アルコールの耐性は人それぞれ違うが、一度に飲む酒量が増え、その人の耐性を超えると依存症になる。
日本では「商談に酒はつきもの」。
この慣習があるため、日本のビジネス社会では、「隠れ依存症」が増え続けている。
厚労省によると、医療機関に通って治療を受けているアルコール依存症患者は2011年時点で4万3千人。
だが潜在患者は200万人から400万人ともいわれている。
アルコール依存症は専門の医療機関に通院しなければ治療できない。
治療はカウンセリングなど精神療法が中心となる。
私は飲まないときは5日間ほど、一滴もアルコールは飲まないということが結構あるというライフスタイル。
一般的に酒が強いと自覚している人は、アルコール依存になりやすい。
さてあなたは、大きな決心をすることなく、気軽な気分で「5日間一滴もアルコールを飲まない」ということが、できるだろうか?