フォルクスワーゲングループ内で面白い現象が起こっている。
新型のゴルフGTIパフォーマンス・エディションにあるように、新しい GTI のシャシー・セッティングは、それまでポルシェのエンジニアリングを務めていた男によってなされたものだという。
その男のポルシェでの最後の仕事は、997のGT3RS。
これまでのポルシェの中でも最も素晴らしいシャシーを持つ1台として挙げられる997GT3RS。
そのセッティングを行った男が、ゴルフGTIのシャシーを造り上げたわけだ。
その結果、今までのGTIの中で、最もしなやかな乗り心地を持つだけではなく、ハンドリングと乗り心地を両立しているという。
一方同じフォルクスワーゲングループに属する最新の991のベストは、カレラでなく、カレラ4S。
それもシャシー関連オプション総動員の状態で最良となるようにセッティングされているという。
現在のポルシェ開発陣は、かつてアウディで腕を振るったヴォルフガング・ハッツが3年前から責任者を務めている。
彼は外交的なやり手として知られた人物ゆえ、現在のポルシェにはVW/アウディの技術陣がどんどん流入しているという。
アウディは、用意されたデバイスをすべて盛り込んだ盛り沢山のモデルであればあるほど走りが磨かれて完成するクルマだ。
今までの911は、デバイスが積み上がればGT志向。
削ぎ落とせばサーキット仕様となって、走りが研ぎ澄まされる方向の車だった。
だが、アウディで腕を振るったヴォルフガング・ハッツによって、991はアウディのような方向性のクルマになりつつある。
1980年代終わりに経済的な苦境に陥ったポルシェへ、アウディはRS2アバントというクルマの開発を依頼。
その結果RS2アバントは偉大な霊が乗り移ったかのようになり、マニアは「ポルシェのようなアウディと高く評価されたのだが・・
あれから20年後が経過。
ポルシェの新作991はアウディのようなポルシェになりつつあるという。
という経緯で、現在のカレラ4Sのシャーシフルオプション仕様は、今までのベスト911となり、復活したというわけだ。