2012年09月07日 のCoolに過ごそう

チャート画面

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どちらかというと、「素朴な疑問」に属するのかも知れませんが、2点についてご質問をいただきました。

一つは、銘柄選択関連。

もう一つは、チェックシートに関連するものです。

 

1.トレード中のチャート画面はどのようになっているのですか?

当然ながら何銘柄も表示されていると思うのですが、常にそれぞれの窓をドラッグして、候補になるような銘柄を一箇所にまとめたり、そういう画面操作をされてるのでしょうか。

 

2.チェックシートに「ヒゲ」とありますが、どこのことを指すのですか?

私は、ロングの時、陰線のHigh/Lowライン上の位置によって、○、△、×とマーキングしています。ショートの時はその逆です。

今更ながらのことをお伺いして大変恐縮なのですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

まずは、トレード中のチャート表示レイアウトと、画面の構成についてのご質問から。

これは使っているディスプレイの数によって違うでしょう。

 

トレードフロアでのトレーニングでは、17インチディスプレイを縦置きにしたものを3枚並べたものを使っています。

一番右のディスプレイは、執行ツールと、執行ウィンドウと連動するチャートが並んでいます。

真ん中のディスプレイは、「よい」と思われる候補銘柄。

ロングサイドとショートサイド銘柄は混在しているようですが、ディスプレイの中の場所で分けています。

左は私が指示した銘柄のチャートを並べているようです。

そして一度銘柄名を打ち込んだら位置は固定。

つまり真ん中と、左のチャートは銘柄がダブることがあるということです。

  

意見を聞いた2人のトレーダーは、イロイロやってみた結果、これに落ち着いたということでした。

大事なのは良い成績がコンスタントに出せているかどうか。

つまり銘柄選択がうまくいっているかどうか、つまり差し替える候補銘柄が探せているかどうかなのです。

慣れの問題もありますから、絶対に「これ」がベストというものはありません。

 

私は20インチディスプレイを縦置きで3枚使っています。

横一列が5銘柄×7段表示させることができるサイズです。

私の場合、一番左のディスプレイは、執行ツールと、執行ウィンドウと連動するチャートを並べています。

トレードフロアの2名のトレーダー達と逆の位置です。

これは慣れの問題なので、どちらでもいいでしょう。

 

違うのは真ん中と右のディスプレイでの表示。

中央は、ショートサイド銘柄。

右はロングサイド銘柄。

 

そしてよい銘柄順に並べ替えています。

一度打ち込んだ銘柄は、パターンによって、ウィンドウをドラッグし、並び替えます。

つまり最上段の横一行は、最もよいと思われる銘柄が並んでいる状態になるわけです。

その下の横一行は次に良いと思われる銘柄、というわけです。

 

コマンダーとしての現在のレイアウトは執行部分がなくなります。

そのかわりに、ネットエイド関連のウィンドウや、ボトムスキャンが並んでいます。

これが違うだけです。

 

チェックシートのヒゲは、単純にヒゲの長さです。

ロングサイドなら、長い上ひげは×。

次は△。

ローソク足に上ヒゲがなければ○。

つまり自分がエントリーしている方向に長いヒゲが出たら要注意なので×ということになるわけです。

 

 

 

午後の雲

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ここ数日、あまり綺麗な雲が出なかった。

だけど今日は夏の終わりにふさわしい感じのが出たのでパチリ。

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EOS 5D + EF16-35mm F2.8L USM

投資信託の実態

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投資信託はどの程度の運用成績なのでしょうか?

というわけでちょっと調べてみました。

まずは、モーニングスターのトータルリターンランキングでの5年利回り。

格付投資情報センターでは、各種の成績を見ることができます。

 

国内型アクティブ型の運用成績を見ると、当然のことですが、かなり悲惨な状態だといっていいでしょう。

野村の株価が安いわけがよくわかりますね。(笑)

こうした実態をもとに、独断と偏見による「投資信託」についてです。

   

  
日本の投資信託は、国の破綻回避の手段の一つとして誕生しました。

わかりやすく言えば、証券会社や銀行救済のための株式買付手段です。

表向きは健全な投資家の育成や株式市場の発展に「寄与」するための商品ということになっていますが、中身は「業者の業者による業者のための」金融商品なのです。

 

始末に困った銘柄や、特定の企業の株を上げるため、集中的にその企業の株式を組み入れたり、業界や大企業の圧力で増資を有利にするため組み入れたりすることが多かったのです。

さらには証券会社の株式売買手数料を上げるため、頻繁に組入銘柄を売買する、なんてこともやります。

「プロの運用」などというのはただの宣伝文句。

 

「ファイナンシャルのプロ達の実態」でも書きましたが、アメリカでも、まともなファンドマネージャー なんて数えるほどしかいないわけですから、仕方ありません。

「会社」のために組み入れ銘柄を決め「会社」のために高値とわかっている時に大量の投資信託を設定すれば、顧客がひどい目に遭うのは当然です。

ですが今や銀行や郵便局までが投信販売に目の色を変えるのは、多額の手数料収入が見込めるからなのです。

つまりは「証券会社だけに儲けさせてなるものか」というわけで、銀行や郵貯組との顧客争奪戦が始まったというわけです。

 

 
投資信託もファンドの一つなのですが、今やさまざまなファンドがあり、プロでもどんな商品なのかが、わか りにくい金融商品が多くなってきています。

その代表的なものが、今サブプライム問題で注目されているCDOという債務担保証券に代表される金融商品です。

「CDO」は、RMBSと呼ばれる住宅ローン担保証券を元に発行されています。

 

このRMBSの担保はサブプライムローンだけでなく、これより幾らか信用力の高い個人向けローン「オルトA」、さらにその上の「ジャンボ」「プライム」 なども含まれています。

CDOは2000年に入って急展開した金融商品のため歴史がない商品なのですが、全世界のCDO発行額は5年間で5倍 以上に増えたのです。

その理由は、低金利を嫌う投資家や金融機関が高い利回りを求めたからです。

 

そして、たまたまサブプライムが破綻を始めたということなのですが、当然オルトA、ジャンボなどの不良債権化も進行しています。

中でもオルトAは証券化商品に組み入れられている比率が高いため、さらに多くのこうした金融商品の価格が急落する危険があります。

約150兆円のサブプライムローンだと影響は限定的と言えるかも知れませんが、それでも今のマーケットを見ればその影響の大きさがわかろうというものです。

そしてこの先1150兆円規模の米国住宅ローン市場に影響が出れば、どういうことになるでしょうか?

 

 
戦後の日本は「証券民主化」という政策により、多くの人々が株式市場に参入しました。

急速な戦後復興で企業価値も大きく上がり、株価も上昇し続け、1985年のプラザ合意以後の誤った金融政策がバブル経済を生み「株と土地」は必ず上がるという「神話」まで作り出し、多くの人が自分を「投資家」と錯覚したわけです。

そして1990年以降のバブル崩壊で、「にわか投資家」たちはリスクの意味を学んだはずだったのです。

 

しかし10年という歳月でそうした苦い記憶は風化し、2003年のボトムから株価が上昇すると、いつの間にか「投資信託」という リスク商品を怖いと思わなくなってきたのです。

しかも預金金利が4%台から5%台が常識という世界から取り残された日本は、ゼロ金利が長く続きました。

そのため「高い金利」を謳う投資信託が、やけに魅力的に映ったというわけです。

 

日本では金融危機の際に、中小企業は放置ししても、銀行だけは税金で救い、挙げ句の果てに国民が本来受けとるべき金利を低く抑え、間接的に巻き上げるという政策を取りました。

これはアメリカからの遠隔操作で行われ、それを忠実に実行したのが、小泉純一郎・竹中平蔵氏コンビだったのです。

金利をゼロに近い水準にしておけば、国債をどんどん発行して国の借金を増やしても 、利息は何とか払えるという利点もあります。

 

一方でほとんど利息のつかない預貯金に嫌気がさした国民は「投資」対象となる代替商品を求めました。

こうした背景が投資信託がブームとなる下地になったというわけです。
以後投資信託は、外国のものがどんどん組み入れられ、アメリカの株式や債券も思惑以上に組み込まれました。

そして2007年10月1日に日本郵政公社は民営化され、日本郵政グループとして郵便貯金だけで234兆円、簡保を含めると総額359兆円を「投機市場」へ流 し込む用意ができあがったというわけです。

 

 
ですが郵貯を民営化してその資金を国債から投資信託へ変えると、国債の暴落を招くことになります。

国債価格が暴落すれば、金利は急上昇し、国債利払い費が急増し国の予算が組めなくなるわけなのですが、こうしたことが現実に始まったのです。

慌てた財務省は、3年ほど前に個人向け国債を売り出しました。

 

テレビの派手な宣伝で覚えていらっしゃる方も多いはずです。

そのおかげで、わずか数兆円しか個人が持っていなかった国債は、なんと30兆円も売れたというわけです。

これはあまり知られていないことですが、国債にもリスクがあります。

 

元本と利子の支払いを日本政府が行うため、一見安全性の高い金融商品のように見えますが、発行体である日本国の信用状態の悪影響により、元本や利子の支払いが滞ったり、支払い不能が生じるリスクがあります。

2007年9月30日に施行された、投資家保護のための金融商品取引法(金商法)と金融商品販売法(金販法)によって、最近は「ゆうちょ銀行 」でも、国債の先行きを表現したかのような説明を加えています。

金商法は、金融庁が金融機関に義務を負わせるもので、金販法は金融機関が、顧客に説明義務を負うものです。

 

金商法は「業法」のため営業停止などの行政処分の対象となり、金販法は民法と同じ「私法」なので、損害賠償などの責任を負うことになります。

こうした法律が定められたのは、それまで、証券会社だけしか行えなかった株式や投信の販売が、銀行や保険会社、郵便局 でもできるようになったためです。

証券会社は預金を持っていないので、顧客の資産は限定した範囲しか把握できないのですが、銀行や郵便局には預貯金口座があるため、顧客の資産状況がわかるという利点があります。

ですが証券会社顧客と違い、銀行や郵便局に預貯金している層は、リスクをよく知らないのです。

そうした顧客へ無差別に投信などのリスク商品を売り込めば、どうなるでしょうか?

 

 
こうして儲け優先で、銀行や郵便局の勧誘行為を特別に規制する法律を整備しないまま、投信の販売が解禁されたのです。

当然トラブルが頻発し、国民生活センターや金融庁に苦情が殺到したわけです。

その対策として、後手ですが金商法と金販法が施行され、カンフル剤としてのこの法律は、ある程度の効果を発揮しました。

 

施行後は投信の新規設定が急減、銀行や投信をどんどん売らなければ運用益が少なく存立すら難しい郵便局でさえ、新規販売を手控えることになったのです。

ですがこれは一時的な現象で「ノルマ」がある限りまた同じことになります。

ノルマを「目標」という呼び方で営業マンを「煽る」という手口は、銀行や証券の世界では常識です。

 

目につきやすい窓口では法令通りの販売を行い、末端の店舗や訪問販売では、脱法販売を行 うなどという方法は、営業マンにとってはノルマがある限り、当たり前のことであり、法令に触れてもやらざるを得ないわけで、 今まで日本の証券会社や銀行は、そうやって「成長」してきたわけです。

投信販売が急減している間にも、営業マンには「抜け道」を探すため、法律を勉強させ「教育」を施しているのです。

こうして新しい会計年度を前に、顧客への販売攻勢を始めるための準備は着々と整えたというわけです。

  

 
そして郵政のトップには「 あの三井住友銀行の元頭取西川氏」が抜擢されたのです。

氏は2006年4月の金融庁の処分という法令違反の前歴があります。

その手口は、長期資金の融資の際に、リスクの高い金利スワップ商品を抱き合わせで売る、という巧妙なやり方でした。

 

こういう「やり手」をトップに据えた「ゆうちょ銀行」で何が始まるかは、言わずもがなです。

アメリカは約150兆円のサブプライムローンの負債があるため、日本の郵貯・簡保の総額359兆円を虎視眈々と狙っています。

ですがその359兆円は、2004年7月末時点で、359兆円のうち151兆円はすでに国の借金の穴埋めとしての国債へ投資として使われているのです。

 

さてこの分捕り合戦で、最終的にどこがいくら勝ち取り、最後に国民の手元にはいくら残るのでしょうか?

  

 

ファイナンシャルのプロ達の実態

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昨日の日記「ボラティリティーとパニック」で書いた手法は、自分の資金は自分で運用するしかないため、15年の経験から編み出したという事情からだ。

ではその事情とはどういうもので、何故そう考えたのか。

というのが、今日の日記であります。(笑)

 

一般的に、退職や転職後に経済的な基盤を強くする方法としては、次のような3つの選択肢がある。


再就職する。
独立して自営する。
退職金や預貯金などを運用する


まずこのなかで一般的に自分ではなく、どこかに預けたり委託するほうが、ラクで安全だと考えられているのが3番目の「退職金や預金を運用する」という項目だろう。

 

だが日本の銀行などの金融機関へ預けると、現状では「通帳のシミ」と揶揄される程度の金利しか期待することができないことは、みなさんすでにご承知のはず。

こちらにあるように定期預金でも、1か月で0.02%台から、10年で0.1%の後半という低金利だ。

そのため、もっと積極的な運用をしたいと考える多くの人は、投資信託のような運用のプロへ預けようと考えるはずだ。

だが実際にアクションを起こす前に、実態がどうなっているかを調べてみよう。

 


大手機関投資家は、何年もかけて検証を重ね、大量の資金をつぎ込んで作り上げたシステムを持っている。

多くの方は、大手機関投資家などのいわゆる、一般的に「プロ」と呼ばれている集団が使っているシステムに対し、非常に安定した収益を出せるシステムだというイメージを持たれているかもしれない。

時間をかけて熟成した「すごい」システムで運用すれば、さぞや素晴らしい成績を残すことができると思いがちだ。

だが、果たして本当にそうだろうか?

 

セミナー受講された方の中には、証券会社に現役でお勤めの方がもいらっしゃるが、その中でもシステム担当の方もから聞いた話は、ちょっとここでは書けない内容だった。

それは、よい意味ではないことをお断りしておく。

ではこのようなシステムを持つ日本のプロたちは、どれくらいの運用成績を上げているのだろうか?

AIJ投資問題から何を学べるのか?で書いたが、丸投げ運用での悲惨な事故があったばかりだ。

ブラックボックス化している、日本のシステム運用の実情については、我々が直接伺い知ることはできないが、次のような記事から、推測することはできるだろう。

 

 
少し古い資料で恐縮だが、2003年07月23日(水)付のロイターの記事によると、2002年度の年金運用の累積損は6兆円に達したという。

02年度の市場運用-8.46%、累積損6兆円=年金資金運用基金

[東京 23日 ロイター] 厚生労働省所管の特殊法人である年金資金運用基金は、2002年度の基金の運用結果を23日発表した。基金の単年度損失は3兆0608億円となり、2002年度末の累積損は6兆0717億円へと拡大した。

市場運用では内外株式の下落が響き2兆5877億円の損失となった。総合収益率はマイナス8.46%。

 

公的年金である厚生年金や国民年金は147兆円の積立金を保有。このうち50.2兆円(2002年度末)を、年金資金運用基金が運用している。同基金は、累積損が6兆円超となったことについて、「時価による評価額であり、今後の運用動向や市場の価格変動により大きく変わりうる」(幹部)として、年金財政に直ちに影響があるものではない、としている。

関係者は今年4―6月期の運用状況への明言は避けたものの、内外株式の上昇を中心に 「評価額は上方にシフトしている」との明るい見通しを示した。

2001年度は、厚生労働省念願の公的年金の「自主運用元年」と設定され、厚労相の決めた運用方針で積立金を信託銀行や生保などへ運用委託。

 

初年度に40兆円を運用したが、1兆3084億円の赤字。

赤字額のうち6182億円は、財投運用を除く28兆円を市場運用し、保有する国内株式の株価が17・05%下落したため、1兆円を上回る損失を出した。

昨年の3月に廃止された事業団は、それまでの15年間での積立金の運用事業で1兆7025億円の累積損失を計上、2001年度の累積損失は、3兆109億円 に達した。

厚労省は「株価低迷が原因で、長期の資産構成割合を定めた基本ポートフォリオによる予想の範囲内」と説明したという。

今後経済が回復すれがば収益が期待できるため、過剰に悲観せず運用してゆくという。

 


これだけの損失を出しても、実際の運用を委託された信託銀行、投資顧問会社へは、巨額な運用手数料ががっぽりと入るというわけだ。

2000年度、2001年度に支払われた手数料は、合計697億円!

だがこの後、厚生年金と国民年金の積立金の市場運用では、08年度の損失が9兆6670億円。

運用資金117兆円の内、約10兆円もの損失は、仕方なかったで済む話ではないはずだ。

2003年4月1日から2011年3月31日までの8年間の平均の運用収益率は、2.43%(管理手数料等控除前!)だという。

 


知らぬは仏なり。(笑)

 

 

wallstreetweekwithlouisrukeyser.gif

 


では次に米国のミューチュアルファンド、つまり日本でいうところの投資信託のファンドマネージャーの成績一覧を見てみよう。

ここまで公開されているものがないため少し古い資料になるが2001年のダウ指数を買っていたら成績は -5.4%、ナスダックなら -20.8% というのが2001年のマーケット。

ファンドマネージャーの平均成績は -12.5%。

 

ただし彼らは全資金の5%しかショートできないといったようなハンディーを持っているから、ダウントレンドのマーケットで利益を出そうとすれば、かなりまめに売買を繰り返さなければならない。

反面、人の資金だから負けても自分の懐は痛まないのだから、心理的なプレッシャーは少ない。

さらに少なくとも何十億以上という豊富な投資金額なら、下がった銘柄を買い足してコストを下げるという、いわゆるナンピンはやり放題。

 

ナスダックより成績の悪いファンドマネージャーがこれだけいるということは、QQQを買って、塩漬けになっていた方がはるかにましだというケースがかなりあるということだ。

トップの Cappiello 氏の成績は 17.37%。

個人が、2万5千ドルの資金でデイトレードをして、このトップファンドマネージャーを上回る年間18% で回そうとしたら、年間4500ドルの利益を出せばいいことになる。

 

1ヶ月で375ドルだけプラスになればいいのだ。

これくらいだったら楽勝だよね?

 

だから、もしあなたが、昨年18%以上の成績を残せたのなら、大いに威張っていいと思う。

きちんとしたメソッドを身に着け、自分でチャートを見ながら、ルールを守ってイントラデイでトレードをすれば、個人とレーダーは、ファンドマネージャーなんて問題にはならないパフォーマンスを残すことができる時代なのだ。

今ではトレード方法やツールに関しては、とても早いスピードで変化し、そして進化している。

それはマーケット自体が変化していることも影響しているだろう。

だからこそ、このスピードにについてゆけないものは、恐竜のように滅びるだろう。

ではその「恐竜」を具体的な例でご紹介しよう。

 


「一兆円ファンド」と呼ばれた国内最大規模の株式投資信託「ノムラ日本株戦略ファンド」 の運用について皆さんは、ご存じだろうか?

日本金融新聞で報じられたように、全く悲惨な結果に終わっている。

基準価格は6千円を割り、設定から1年半で40%強も落ち込むという結果で2001年5月末から7月末まで基準価格は10%強下落し、設定来の成績はベンチマークとしての基準となる東証株価指数を約10%下回るという成績だ。

 


原因は何だろう?

 

それはシステムとしての運用方法が間違っているからだ。

戦略株ファンドは規模とともに独特の運用手法で話題となったが、基本的な方法は、投資対象の異なる三つのファンドで構成し「大中型割安(バリュー)株」「大中型成長(グロース)株」「小型株」のファンドを専任のベテラン運用者が担当するというものだった。

専門性を発揮し、相乗効果を図るという謳い文句だったがもっとも悲惨なのが「大中型割安(バリュー)株」。

数字は公表されていない!が、3三つのファンドそれぞれのベンチマークの比較ではグロースや小型株が3-4%下回っているのに対しバリューは5%を超えていたようだ。

この時の株式市場は割安株が底上げという市場展開だったが、日本戦略株ファンドは、完全に読み違えたのだ。
 

 

何故か?

 


それはトレードの基本的な運用構造にある。
 
戦略株ファンドは2001年はじめから値下がりしたIT株を押目買いの対象にしてきた。

つまりナンピン買いだ。

プロなら最もやってはいけない方法だ。

 

運用責任者の清水孝則・常務執行役員によると、「住友電気工業」は足元のバリューファンド低迷の主因の一つだったという。

2000年12月に2000円台だった株価が急落したため、2001年には買い増しに動き、二月末には総資産の1.9%にまで比率を高めた。

平均買い単価は1512円とみられているが、2001年7月19日には株価が1200円を割ってしまった。

「住友電気工業」は2000年に、WDM(光波長分割多重伝送)の成長期待で高騰したIT株だが、株価下落で収益面から割安感が浮上したと判断して買い増したという。

チャートを見ていないのか?(笑)

 


おまけにダウントレンドで買うという逆バリ手法で、株価が下がればナンピンをするというまったく素人以下の運用方法だ。

こうした間違いは何も野村のIT株関連運用者に限ったことではない。

多くの日本のファンド運用担当者が、同じ轍を踏んだ。

 

急速な値下がりに比べて、収益はまだ高水準だったため、株価収益率(PER)などの投資尺度で見ると割安感が強かったために、強気でその組み入れ比率を高めたのだ。

2001年の1月から2月にかけて運用チームは、採算管理を徹底するため3つのファンドの組入れ銘柄を社内で分別管理していたが、グロースファンドに組入れた日立製作所や富士通をバリューファンドに移し替えたのだ。
 
わかりやすく言えば、「売り」(グロース)、「買い」(バリュー)と言う反対の投資判断を同一ファンド内で実行したのだ!

 

移管時は市場価格で売買したとみなすため、それぞれのファンドの損益は確定するが、戦略株ファンド全体でみれば当初の買いコストで持ち続ける結果に見える。

三人の運用担当者はそれぞれ読みを働かせたのだが、それが合わさったことで全体としてIT株依存度を高めてしまった。

こうした原因から戦略株ファンドは損切りの連続を余儀なくされのだがそれに輪をかけたのが、ポートフォリオのの基本がわかっていないと思われるような組み立て方だった。

設定当初から一兆円もの資金をIT株を中心に150銘柄に集中させるというギャンブルのようなポートフォリオを組み立てた結果、短期間で売却を迫られることになってしまったというわけだ。

 

設定から2000年9月までの7ヶ月で平均12万円強で買ったソフトバンクを5万円以下(株式分割を勘案)で売る羽目に陥ったのだ。

まったく素人以下の運用だが、野村アセットはあわてて、調査と運用部門を統合させ、銘柄選定のプロセスを見直したが後の祭り。

運用チームと増員した社内アナリストの専用会議も開き、投資判断の共有化を目指し、投資銘柄も2001年6月末で242増やして、輸送株や一部小型株の発掘などを始めたが焼け石に水。

 

   
一貫して運用成績が悪化したという、世界でもまれに見る珍しい経緯?の戦略株ファンド。

ブランドを信じ、何も知らないままに大きなゲインを夢見て預けた投資家たちの莫大な資金は、年1.9%の信託報酬を支払い、塩漬けになってしまった。

いかがだろうか?

こうした実績?を見ると、システムに対して費用と時間をかければかけるほど、かけた費用や時間に比例し、パフォーマンスは下がると断言していいだろう。(笑)

 


皆さんはこうした事実をご存知だったろうか?

たぶん、ほとんどの方はご存じないだろう。

日本のマスコミは、こうしたことはほとんど報道しない、というか正確には、ファイナンシャルの知識がないために報道できないのだ。

嗚呼!

 

 

 

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