2012年08月31日 のCoolに過ごそう

午後の雲

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バイオ後進国日本

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国内最大の製薬メーカー武田薬品工業は、2008年に抗がん剤に強みを持つ米バイオベンチャー「ミレニアム・ファーマスーティカルズ」社を9000億円弱で買収、さらに2011年5月にはスイスの製薬大手ナイコメッド ( Nycomed ) を98億ユーロ ( 約1兆1400億円 ) で買収した。

2008年2月にも、ガン治療薬で強みを持つ米国のバイオベンチャー「アムジェンの日本法人」を買収しているが、武田は主力薬が2009年以降、相次いで特許切れを迎えることから、米国市場の強化を急いでいる。

日本国内での抗がん剤研究は、世界の最先端と比べるとかなりの低レベルで、欧米の製薬メーカーと闘うためには、優秀なバイオベンチャーを買収する以外に選択肢がないのが現状だ。

 


医薬品の研究開発には、研究開始から承認取得まで 15 年から17 年の年月が必要になる。

化合物の成功確率はわずか 11,300 分の 1(=0.009%)。

候補化合物を見つけ、前臨床をスタートさせてから上市までの成功確率は 0.13%。

1 品目上市のために費やす開発費は 260から360 億円。

必要な期間は 11~12 年と言われている。

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このように、バイオというのは、いってみれば資金量の勝負。

米国カリフォルニアにはバイオベンチャーが数多くあり、またカリフォルニア州も莫大な資金を提供している。

さらに大学自身もまた潤沢な資金を持っているため、優秀な頭脳が世界から集まることになる。

 

 

日本の医薬品市場規模は約 6.7 兆円で、その 9 割弱は医療用医薬品。

世界市場における位置づけは、日本の医薬品市場は世界市場の約 13%を占め、アメリカに次いで第 2 位。

 医薬品市場規模の伸び率は、GDP の伸び率には連動せず、薬価改定や医療制度改革に強く影響を受けることになる。

 

 

また、国民医療費が増大しているにもかかわらず、医薬品市場規模は伸び悩んでいる。

新薬だけでみると、約 7 割は外国オリジンの製品で、国内開発品は約 3 割しかないのが現状だ。

日本では、アメリカと比べ古い製品のシェアが高く、ライフサイクルの長い製品がより多く存在している。

 

 

1 社当たりの研究開発費は、日本はアメリカと比べ 5 分の 1 程度と低く、ここ数年、その差は拡大傾向にあるのだ。

医薬品売上高で日本最大の武田薬品工業は、 1988 年度は 世界第6 位だったが現在は世界第 15 位。

世界 20 位代が、三共、エーザイ、山之内製薬、塩野義製薬、第一製薬。

 

 

世界 の10 位に入るためには、武田薬品工業の 2 倍近くの売上が必要、

日本の上位 3 社の売上高を足してようやく10位にランクインするくらいの規模といえばわかりやすいだろうか。

 

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世界で初めて万能細胞(iPS細胞)の作製に成功したのは、京都大学の山中伸弥教授。

だが、日本が国家をあげて支援するプロジェクトとして文部科学、厚生労働、経済産業の3省による、2008年度に投入する資金は、たったの30億円。

これだけ可能性の大きな研究には、最低でも1000億円くらいの資金は必要になるのだが、道路には10年で59兆円のカネをつぎ込んでも、万能細胞には1年で30億円。

日本の医薬品市場は世界市場の1割に満たず、医療費抑制で頭打ちというのが現状だ。

だが、北米市場は世界の半分を占めるうえ、年10%もの高い伸びを続けている。

  

 

新しい医薬品が販売されるために治験が不可欠だが、医薬品の研究開発費の中で治験に関わる費用割合はかなり大きいのだ。

そのため、治験届出数は、外国での試験結果の承認申請データの受入れの拡大や薬価引下げ等の影響を受け、減少している。

こうした理由から、日本企業は治験を国内よりも、欧米で先行させるケースが増加している。

 

だがこのような「治験の空洞化」は、さらに次のようなマイナス面を拡大させることになってしまっているのだ。

まず患者にとって、国内での治験の遅れは、最先端医療(海外で流通している新薬等)へのアクセスが遅れることに繋がり、製薬産業では、国内企業の研究開発力が低下し、新事業創出、雇用創出面でマイナスとなるわけだ。当然医療機関や医師等にとっても、技術水準のレベルアップが遅れることになってしまう。

 「治験の空洞化」は、欧米と比べて治験にかかる時間が長く、治験の質も良くないうえ、治験費用が高いという三重苦も大きく影響している。

 

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さらに治験を含む我が国の臨床研究環境は、アメリカと比べ次のような問題を抱えている。

被験者(患者)のインセンティブ(誘因や刺激)が低い。

治験の意義が広く国民に浸透していない。

治験実施状況等の情報提供の不足。

そのうえ国民皆保険による経済面での問題点もネックとなっているのだ。

 

  

日本は欧米と比べて医療の環境や習慣に違いがあるうえ、臨床研究が進みにくく、製薬企業内の医師不足による内部評価力が低いため、治験の質に問題が多いことが、諸外国から指摘されている。

 バイオ医薬品分野を取り巻く現状 (経済産業省)

このように日本のバイオ研究は、国際競争から完全に取り残されてしまっているのだ。

国の認識レベルの低さが改善されない限り、現状から大きく改善されることは、まずないといっていいだろう。 

嗚呼!

 

昼の雲

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変化する仕事の形態

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今や安定した仕事を続けるためには、知識集約型のスキルが必須のものとなってきています。

そうじゃない類の仕事は、発展途上国へ投げた方がずっと安くできるからです。

それだけにとどまらず、日本でも単価の安い仕事は、日本人以外のアジア人がシェアを伸ばしています。

スーパーのレジは、パートタイムの主婦が握り、倉庫でも商品を持ってくる作業はロボットに任せる時代になってきているのです。

    

高度な技術が身についていなくてもできる仕事というのは、これからも、どんどん減ってゆくはずです。

さらに問題なのは、特に非製造業、特に建設不動産、農業などの生産性がいまだに低いままで放置されているという問題です。

不動産仲介屋の世界では、Eメールではなく、いまだにファクスでのやりとりが中心なのです。

そして日本の農業も多くの問題を抱えています。

 

日本の農業は生産性が低いと、指摘され続けてきました。

環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題の際に、この点が大きく取り上げられたため、皆さんもご存じのはず。

TPPへ参加して、保護を撤廃し、国際競争に晒されたりしたら、日本の農業は崩壊し、日本の食糧の大半を外国に頼らなければならなくなる、という議論があっったことは、皆さんもよくご存じのはずです。

 

ですが、生産性が低い産業を保護したらどうなるでしょうか?

保護されるために競争から取り残され、生産性が伸びないまま放置されてきたというのが、現実なのです。

切磋琢磨で成長しない産業は、早かれ遅かれ駆逐されてしまうのは、世の常なのです。

  

たとえば日本の牛肉とオレンジ。

80年代に米国から強い圧力がかかった際に、牛肉輸入とオレンジが自由化されれば、日本の牛肉産業は崩壊し、みかん農家は廃業に追い込まれると騒がれました。

しかし現状を見ると、牛肉は世界に誇るブランド和牛が人気で、おいしい様々なミカン類が店頭を彩っています。

 

80年以前は、こんなにたくさんのブランド和牛はありませんでした。

柑橘類も、国際競争が技術革新を迫った結果、米国にはない新しい品種がたくさん生まれたのです。

国際競争で、崩壊どころか大きく発展することになったわけです。

 

もちろん淘汰された農家も、たくさんあったでしょうが、産業の品質としては、大きく進化したのです。

環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すれば、同じことが起こるはずです。

規制改革も競争を促します。

 

こうしてみると、競争による切磋琢磨は、人間であれ産業であれ必要なことなのではないでしょうか。

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