今の自分が幸せだな、と実感できる機会というのはそうそうあるものではない。
だがオリンピックは、そうした気分をも味わうことができる、絶好の機会なのではないだろうか。
TVの画面を見ながら、ふとそう思うのは、贔屓の選手が好成績を残したからではない。
五輪のあの選手、あの名場面、いまもありありと思い出すことができる。だが、「その後」に起こったドラマを知る人は誰もいない。
と始まるコラムは読み応えのある面白い記事だ。
週刊現代の2012年1月21日号の転載だけあって、週刊現代ならではの記事だと思う。
オリンピックはテレビやニュースでの結果だけに注目が集まりがちだ。
特にメダルを獲得した選手は、若くして華々しい人生のピークを経験する。
だが3連覇できる選手が非常に少ないことでもわかるように、その栄光を後継続させることは難しい世界だ。
今回のロンドン五輪では、アメリカのフェルプス選手が競泳男子初の3連覇を達成した。
3連覇の達成のためには、8年間トップに君臨しなければならない。
だが8年の歳月は、年齢と共に下降する運動能力に打ち勝つ精神力をも備える必要があるのだ。
さらにオリンピックで4連覇を達成するには12年間が必要になる。
4連覇を達成した選手は史上2人だけ。
陸上円盤投げのアルフレッド・オーター(アメリカ)と陸上走り幅跳びのカール・ルイス(アメリカ)だ。
スピードを競う競技で、3連覇を達成した選手は、アメリカのフェルプス選手だけ。
彼も今回のオリンピックで引退するため、4連覇には届かない。
メダリスト達のメダル獲得後の人生は、精神的に厳しいものになることは、想像に難くない。
だが残りの人生は、それまでの人生の2倍以上だ。
メダリストすべてが、人々の注目を浴びたあとで待ち受ける、長い日々に適合できるわけではない。
さらには、競技人生で受けた肉体的なダメージや痛みとは、生涯戦い続けなければならないのだ。
このように、ほとんどのケースでは、精神的に右下がりの人生にならざるを得ない宿命を背負っている。
こうして考えてみると、メダルとは縁がない方が、精神的には幸せな人生を歩むことができるのだ。
さらに努力次第では、右上がりの人生さえも歩むことさえできるのだから堪らない。
こうした理由で、私の場合オリンピックの時期になると、モチベーションが急上昇することになるわけだ。
というわけで、4年に一度のこうした機会は、大いに利用することにしている。(笑)