最近の米疾病管理センター (CDC) によると、米国では子供 88 人に 1 人は自閉症またはそれに準ずる疾患があると報告されています。
2006 年比では 25 %、2002 年比では 78 % も増加しているのです。
CDC は 2 年ごとに米国の 12 地域で 8 歳の子供を対象に自閉症の調査を行っていますが、推定数は年々増加傾向にあるようです。
男女比では男子が女子の 5 倍。
男子は 45 人に 1 人(2.2%)、女子は 252 人に 1 人(0.4%)が自閉症というわけです。
日本の厚生労働省による調査では2.7%。推定患者数は120万人。
専門家のなかには、ここ 10 年における数字の増加には、自閉症が認知されるようになり保護者や教師が自閉症の症状に気がつくようになったことも反映されているのではないかと指摘しています。
だが、自閉症支援団体 Autism Speaks によれば、自閉症の認知が高まったことの影響は半分で、あとの半分は米国内で自閉症が広がっていることを表しているのだというのですが・・
同団体の Geri Dawson 氏は、こうした自閉症の広がりを「緊急を要する、公共衛生上の非常事態と認めなくてはならない」と述べています。
CNNのスペシャル番組「社会の中の自閉症」によると、世界中には3500万人もの自閉症の人たちがいます。
私の息子もその中の一人なのですが、先天的な脳障害のため、その原因は未だにわからず、教育意外に有効な治療方法がないというのが現実です。
癌やエイズなどの難病を抜き去り、最も数の多い「難病」なのです。
多分アメブロのほとんどの方にとっては、自閉症を抱える親が過ごす毎日がどんなものかというのは、多分想像もつかないでしょう。
この番組の中ではまた「相手の立場になるというのは非常に難しいということなのだということがわかる」という発言がとても印象的でした。
確率で言えば、仮にアメブロ の会員数が2千万人だとすると、宝くじは1000万分の一ですから、アメブロの会員の中から一億円を手にする人は2人。
ですが、将来子供が生まれた場合、2.7%だと確率的に「54万人」が自閉症の子供を持つことになるのです。
私自身も自分の息子が自閉症でなければ、いわゆる「障害」を持つ家族を持つ苦しみ、というのは全く人ごとで終わっていたはずです。
娘は正常だったので、自閉症だとわかったときの、「呆然」とした気分は、まさに「晴天の霹靂」でした。
これは番組ののインタビューで多くの両親が口にされていたことですが、自閉症の家族を持つ方なら、この部分はとても共感できる部分だったはずです。
番組では子供3人ともが自閉症!という家族も紹介されていました。
ですが、基本的にこうした番組で取り上げられるのは、症状が軽いために何とか社会生活に独力で参加できる可能性のあるケースばかりです。
番組を見る人に、夢と希望を与えるという基本的なコンセプトがあるため、これは当然のことで、視聴者に救いのない部分をこれでもかと、見せるわけにはゆきませんからね。
どうしてもそうなってしまうのは、仕方ないことです。
番組を見ることで「大変なのは自分たちだけではない」という意識が芽生え、それによって「救われる気分」に一時浸ることができるのが、こうした番組を見る大きなメリットなのかもしれません。
障害者センターでは、子供を連れてくる様々な家族と顔を会わせるため、お互いが顔なじみになります。
こうした障害のある子供を持つと「生涯面倒を見なくてはならない」という現実に、呑み込まれ翻弄されてしまっている人と、そこで居直り闘うスピリットを身につける人とに、はっきりと分かれることになります。
数分話をすれば、どちらに属しているのかはすぐにわかります。
番組では、インド人で自分の子供にだけではなく、他の自閉症の子供に対しても「根気よく教える」という執念を持っている母親の例が紹介されていました。
彼女の子供は「軽度」のため、こうした方向に進むことが可能になるわけですが、こうした番組ではさらに切実な「もっと重いケース」で希望が持てる例は紹介されないのが残念なところです。
私の息子をわかりやすく言えば・・
言葉でのコミュニュケーションがとれない。 (社会性が乏しい)
お金、仕事、社会などに対する概念と羞恥心がない。
反復的で奇異な動作。
限局された興味、活動。
当然悪知恵もない。
ユーモアや、単純なジョークはわかる。
純粋。
家族の中でで最も幸せ。(のように見える)
ということになるでしょうか。
そこで大事なのは周りの家族が、どれだけ幸せな気分で毎日を過ごせるかと言うことになるわけですが、まず避けなければならないのが、家族の分断。
夫が心のよりどころにならないため宗教に走る妻、夫が高収入ゆえ、ストレス発散のため、ブランドのバッグを買い漁る妻。
そして夫が最近癌になったため、さらにその傾向に拍車がかかるケースなどを現実に目の当たりにすることがあります。
こうした自閉症の子供を抱えていると、ちょっとしたことがきっかけで、いとも簡単に心が分断されてしまうのです。
問題が自閉症の本人よりも、周りに移行する例が多くなるのが、こうした「障害を抱える家族」の現実であり、それがもとで恐怖心による考え方の萎縮へ繋がってしまうのです。
何らかの事情で、妻か夫のどちらかが、自閉症の子供の周辺から離脱してしまうと、残された者がすべてを支えなければならなくなります。
こうしたリスクをどのように下げるのかは、家族の誰かが考えなければならないことなのですが、それどころではない状態に陥ってしまうと、ここは手つかずになり、さらに悪循環に陥るのです。
こうした様々なカタチでの大変さと比べれば、他の物事の大変さというのは「大したこと」ではなく、対処方法も相対的に「たやすい」ものだと感じるようになります。
つまり「救いの扉」はいつでも開かれているということなのですが、こうした考えができるようになれば、まさにオセロゲームで、黒が一気に白へ反転するかのような体験ができるというわけです。
CNNにはもう一歩踏み込んで、自閉症の本人だけではなく、大変な思いをしている「親」の心理状態を切り口にした番組を作って欲しいものです。