1週間のセミナーが終了してちょっと一段落。
というわけで、今日は改めて今感じていることを書いてみよう。
どの分野でも共通して必要とされる重要な能力を一つ挙げなさい。
と聞かれて「想像力だ」と即座に答えられる人は、果たしてどれほどいるだろうか?
日常生活では、あれうまいはずと予想しても、まずかったり、変な味だったりすることが日常茶飯事で起こるわけだ。
だが時々、食べてみると、とんでもなくおいしかった、というチャンスに遭遇することがある。
だからこそ、こうした過程を繰り返しながらも、いつかはうまいものばかりを食べることができるようになると信じ、頑張るわけだ。
カイシャという組織に属していれば、最低限の味は保証されている。
それはひどい味かもしれないけどね。(笑)
だが自分が好きなうまいものばかりを食べることができるわけではない。
ボスが、最もうまいところを食べるわけだからね。
だから、いわゆるカイシャという組織に属している限り、経営者サイドにもぐり込もうとするわけだ。
だが現実は、過去の成果を味がなくなるまでしゃぶりながら 、ときどきうまいものを食べさせてもらう、という毎日を過ごすことになる。
味なんて、ほとんどしなくなったガムでも、そのガムを噛み続けなければならないのだ。
うまいものを好きな時に、好きなだけ食べることって、そんなに難しいことなのだろうか?
組織に属さないと、食べることはできないのだろうか?
毎日の生活を進歩させるためには、想像力が不可欠だ。
そして、想像力は時として想像ができないような、素晴らしい結果をもたらすことがある。
どうなるかわからない未来を予測する、トレードという作業でも、この想像力は欠かせない要素だ。
組織で動くビジネスは、基本的にはいわゆるゼロサムゲームだ。
たくさんの兵隊を食わせるためには、ある程度の大きさのパイが必要になる。
だから、まだ誰もが参入していない、自分の組織に見合った大きさのあるマーケットを、どうやって見つけるかが勝負になる。
そうしたときに、日本人が好む方法として、ニーズを汲み上げるとか、相手側の ニーズに応じてなどという言い方をする考え方がある。
ではどうやって、汲みあげたり、応じればいいのだろうか?
よく考えてみればわかるが、ニーズを汲み上げる相手は、いつも一人というわけではない。
また、たとえ一人であったとしても、相手のニーズが一つとは限らない。
大勢で知恵を出し合ってニーズを探してみても、探せば探すほど、ニーズだらけになるため、どれを優先していいのかもわからなくなってしまう。
だからといって、こちらだけの考えで優先順位を決めるわけにはゆかない。
そうすると、相手側のニーズを尊重していないということになってしまうからだ。
だが本当に相手の立場に立つとなると、自分側のメリットを完全に捨てなければならなくなってしまう。
もともと人間は、自分を中立の立場や、白紙へ戻した状態で考えるということは得意ではない動物なのだ。
これは戦争の歴史を見れば一目瞭然。
だからボランティアのような慈善の意思がなければ、こうした中立の立場を持ち続けることはできない。
つまり、利益を追う限り、自分だったら何をしてもらいたいかを考え、そうした純粋な欲望に忠実に行動する 方が、相手のニーズを探すより容易でしかも確実なのだ。
これなら、自分の想像力の有無だけで解決することができるからだ。
こうした想像力というのは、組織を牛耳っている有名大学出身の秀才たちにとっては、最も不得意とする分野だ。
想像力が働き出すのは、疑問を抱き始めたときに始まる。
疑問をいだくと、壁に突き当たり、壁にぶつかると疑問が生まれる。
秀才ゆえに、これまでに壁に突き当たらない道を選んで歩いてきた人たちは、疑間を持つ状況に直面する経験がないわけだ。
あったとしてもその回数はごくわずか。
それも大した壁ではないことが多い。
だから、その疑問を解決するためには、想像力を使って自分の頭で考え、解決しなければならないことがわかるまでの苦痛を味わったことがない。
想像力も筋肉と同じで、訓練をしていないと弱くなってしまうのだ。
学校でいわゆる「秀才」に属する人たちに想像力が欠けていることが多いのは、こうした理由があるからだ。
だから何かにぶつかったとき、相手はどうなのかとか、隣はどう思うのか?という思考パターンで、人と同じ事をする選択をしてしまう。
これこそが最もよく見られる典型的なタイプだ。
このように壁にぶつかりにくい道ばかりを選んで歩いてきた人は、問題が起こった場合に素早く解決することができない。
「自分ならどう考えるだろうか」を常に考え、そして繰り返してきた人は、あらゆること を自分のスタイルで、素早く解決することができるようになる。
具体的な解決策がなければ、アクションに移すことはできない。
壁にぶつかったとき、「自分ならどう乗り越えるか?」という壁へぶつかることを躊躇なく選べる人は、その壁を突き破る道も素早く見つけることができるだろう。
トレードとは「想像力を鍛える」ための絶好の場であり、トレーダーたるもの、常にそれを意識する必要があるのではないだろうか。
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