著者は三十万例以上の胃腸を検査した膨大な臨床結果によって「健康な人の胃腸は美しく、不健康な人の胃腸は美しくない」ということを教えられた のだと述べられています。
胃腸内の状態は「人相」になぞらえて「胃相」「腸相」と呼ばれるらしいのですが、よい胃相・腸相をしている人は心身ともに健康で、逆に胃相・腸相が悪い人は、心身のどこかに何らかのトラブルを抱えてい ることが多いというのですが、納得できる話です。
逆の言い方をすれば、よい胃相.腸相を保つことが、健康を保つことにつながるということなのです が、この胃相・腸相にもっとも大きな影響を与えるのは、食歴と生活習慣。
ということで今日はこの本から、キモになる部分をまとめてご紹介。
詳しいことは「病気にならない生き方」という本を買って読まれることをお勧めします。
この本では、健康で長生きするための考え方として「ミラクル・エンザイム」を消耗しない生活を送る ことを推薦されています。
「ミラクル・エンザイム」はこの本の著者が命名されたものですが、人間の生命活動を担っている五千種以上の「ボディ・エンザイム(体内酵素)」の原型となるエンザイム を指す言葉。
「エンザイム(酵素)」というのは、生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒の総称で、植物でも動物でも、生命があるところには必ずエンザイムが存在しています。
物質の合成や分解、輸送、排出、解毒、エネルギー供給など、生命を維持するために必要な活動にはすべてエンザイムが関与しています。
エンザイムがなければ、生物は生命を維持することはできないため、人間の生命も当然のことながら、数多くのエンザイムによって支えられているというわけです。
エンザイムの種類が多いのは、一つのエンザイムは一つの働きしかしないという特性を持っているからです。
たとえば唾液の中に含まれる「アミラーゼ」という消化酵素は、炭水化物だけに反応し、その他の脂肪やタンパク質などの消化には、それぞれ別のエンザイムが働くのです。
生命維持に必要不可欠なエンザイムは、それぞれの生命体が、自分の細胞の中で生成されています。
人間の体内にあるエンザイムは五千種以上といわれていますが、私たちも日々の食物を材料に、必要なエンザイムをみずからの体内で作っているのです。
ところが、そうした多くの種類のエンザイムは必要に応じて体内で生成されるといわれているのですが、細胞の中でどのように生成されているのかということは、 実はまだ明らかになっていません。
「ミラクル・エンザイム」というのは、必要に応じて特定のエンザイムに作り替えられる以前の、どのようなエンザイムにもなれる可能性を 持った原型となるエンザイムのことを指しています。
このエンザイムにはある特性があります。
特定の場所で特定のエンザイムが大量に消費されると、体の他の部分で必要なエンザイムが不足します。
たとえば、大量のアルコールを飲み、肝臓でアルコール分解エンザイムが大量に使われると、胃腸で消化吸収に必要なエンザイムが足りなくなるのです。
つまり、エンザイムというのは、何千種類のものが、それぞれ決まった数だけ作られるのではなく、原型となるエンザイムが先に作られ、それが必要に応じて作り替えられ、必要な場所で使われている のです。
現在エンザイムは、健康をつかさどるカギとして世界的に注目を集め、研究が進みつつありますが、まだわかっていないことがたくさんあります。
アメリカの酵素研究の第一人者であるエドワード・ハウエル博士は、生物がその一生のあいだに作ることができるエンザイムの総量は決まっている、というじつに興味深い説を述べています。
その一定量のボデイエンザイムをハウエル博士は「潜在酵素」と呼んでいます。
そして、この潜在酵素を使いきったときが、その生命体の寿命の尽きるときだというのです。
このハウエル博士の説は、「ミラクル・エンザイム説」とも近いものなのですが、エンザイムの研究はまだ途上 で、現時点では仮説でしかないのですが、ミラクル.エンザイムを補う食事をし、ミラクル・エンザイムを浪費しない生活習慣を身につけることが胃相・腸相をよくすることは、 三十万例もの胃腸を診断した臨床に裏付けられた事実なのです。
「風が吹けば桶屋がもうかる」ということわざがありますが、一見関係ないように見える小さな原因が、複雑なつながりを経て深刻な病気を引き起こしていることは 、けっして少なくありません。
私たちの健康は、日常何気なく行っているさまざまな行為に支えられています。
食事、水補給、運動、休養、睡眠、精神状態、こうしたもののどれか一つにでも問題が生じれば、 他へも連鎖でその影響が波及するのです。
入院患者に出される食事「病院食」もその一つです。
いまの病院食というのは、まず「お粥」を食べさせようとします。
特に内臓を手術した後の患者などには「胃腸に負担をかけないように三分粥から始めましょう」というわけです。
いかにも体を思いやっているようなモノ言いですが、これ が実は大きな間違いなのです。
病院だから、食べ物については正しい選択がされていると、考えている方は多いのですが、とんでも8分駅まで10分。(笑)
胃の手術をした患者さんでさえ、「お粥」よりも最初から普通食を提供し たほうが、遥かによい回復を示すのです。
なぜお粥よりも普通食のほうがいいのかは、エンザイムの働きを 理解すればわかることなのですが、普通食がよいのは「よくかむ」ことが必要だからです。
よくかむことは唾液の分泌を促します。
唾液の中には消化エンザイムが含まれており、かむことによってエンザイムと食物がよく混ざり合い、食物の分解がスムーズに進むので消化吸収がよくなるのです。
一方でお粥の場合だと、最初からドロドロしているため、ろくにかまずに飲み込んでしまいます。
そのため、やわらかいはずのお粥は、エンザイムが充分に混ざっていないため消化が悪く、よくかんだ普通食のほうが消化がよいという皮肉な結果になるのです。
病院食によく見られるもう一つの間違いは「牛乳」です。
牛乳に含まれるおもな栄養素は、タンパク質、脂質、糖質、カルシウム、ビタミンです。なかでも牛乳は日本人に不足しがちなカルシウムを多く含むという理由で、もてはやされています。
ですが、牛乳ほど消化の悪い食物はないといっても過言ではないのです。それほど牛乳は消化が悪いのです。
牛乳はさらさらした液体状のものなので、のどが渇いたときに水代わりに飲む人もいますが、大きな間違い。
牛乳に含まれるタンパク質の約八割を占める「カゼイン」は、胃に入るとすぐに固まってしまい、消化がとても悪いものなのです。
さらに、市販の牛乳はその成分がホモゲナイズという均等化の処理がされていますが「ホモゲナイズ」というのは、搾乳した牛乳の脂肪分を均等化させるために撹拝することなのです。
なぜホモゲナイズするのがいけないのかというと、撹絆するときに牛乳に空気が混じり、乳脂肪分が過酸化脂質になってしまうから。
過酸化脂質というのは文字どおり、「酸化がとても進んだ脂」という意味です。
わかりやすくいえば「錆びた脂」です。
これは活性酸素同様、体に非常に悪い影響をおよぼします。
その錆びた脂を含んだ牛乳を、今度は100度以上の高温で殺菌します。
エンザイムは熱に弱く、48度から115度の間で死滅します。
つまり、市販の牛乳というのは、大切なエンザイムを含まないだけでなく、脂肪分は酸化し、タンパク質も高温のため変質しているという、ある意味で最悪の食物なのです。
その証拠に、市販の牛乳を母牛のお乳の代わりに子牛に飲ませると、その子牛は一週間ほどで死んでしまう のです。
エンザイムのない食物で、命を養うことはできないのです。
さらに臨床データでは、牛乳や乳製品の摂取は、アレルギー体質をつくる可能性が高いことが明らかになっています。
これは妊娠中の母親が牛乳を飲むと、子供にアトピーが出やすくなるという最近のアレルギー研究の結果とも一致しています。
日本ではここ30年ぐらいのあいだに、アトピーや花粉症の患者が驚くべきスピードで急増しました。
その数はいまや5人に一人ともいわれるほどです。
なぜこれほどアレルギーを起こす人が急増したのかについては、さまざまな説があるのですが、この本の著者によると、その第一の原因は、1960年代初めに始められた学校給食の牛乳にあると考え られているのです。
過酸化脂質を多く含む牛乳は、腸内環境を悪化させ悪玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを崩します。
その結果、腸内には活性酸素、硫化水素、アンモニアなどの毒素が発生します。
こうした毒素がどのようなプロセスを経て、どのような病気を招くのかはまだ研究途上ですが、牛乳はさまざまなアレルギーだけではなく、子供が白血病や糖尿病などシリアスな病気を発症する原因となっているという研究論文がいくつも出ています。
いろいろな健康被害をもたらす可能性をもっている牛乳ですが、最大の誤解は、牛乳が骨粗懸症の予防に役立つといわれていることです。
年をとるとカルシウムが減るので、骨粗嶺症にならないように牛乳をたくさん飲みなさいといわれます。
でも、これは大きな間違いです。
牛乳の飲みすぎこそ骨粗懸症を招くのです。
牛乳のカルシウムは、小魚など他の食物に含まれるものより吸収がよいといわれますが、それは少し違います。
人間の血中カルシウム濃度は、通常100CC中に9から10ミリグラムと一定しています。
ところが、牛乳を飲むと、血中カルシウム濃度は急激に上昇するのです。
そのため一見すると、カルシウムがより多く吸収されたように思いがちですが、この「血中濃度の上昇」こそが、悲劇をもたらすのです。
じつは急激にカルシウムの血中濃度が上がると、体は血中のカルシウム濃度をなんとか通常値に戻そうと恒常性コントロールが働き、血中腎臓排泄余剰カルシウムを腎臓から尿に排泄してしまうのです。
牛乳を毎日たくさん飲んでいる世界四大酪農国であるアメリカ、スウエーデン、デンマーク、フィンランドの各国では、股関節骨折と骨粗嶺症が多い と言う事実からも、カルシウムをとるために飲んだ牛乳のカルシウムは、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまうという皮肉な結果を招く ことは明白な事実なのです。
これに対し、日本人が昔からカルシウム源としてきた小魚や海藻類に含まれるカルシウムは、血中カルシウム濃度を高めるほど急激に吸収されることはありません。
ですから牛乳を飲む習慣のない時代の日本には、骨粗嶺症はありませんでした。
現在も、牛乳を飲む習慣のない人や牛乳の嫌いな人に骨粗潔症が多いという話は聞いたことがありません。
小エビや小魚、海藻類は腸内で消化された後、体に必要なカルシウムとミネラル分を吸収するので、体の仕組みに即したよい食物なのです。
「カスピ海ヨーグルト」や「アロエヨーグルト」など、各種のヨーグルトが「健康によいという効果を 謳い、ブームになったことがあります。
しかし、市販の牛乳から作ったヨーグルトを毎日食べると腸によいというのは「ウソ」なのです。
ヨーグルトを食べつづけている人に話を聞くと「胃腸の調子がよくなった」「便秘が治った」「ウエストがスッキリした」というようなことをいいます。
そして、こうした効果があるのは、すべてヨーグルトに含まれている「乳酸菌」のおかげだと信じているのです。
ところが、この「乳酸菌のおかげ」というのが、そもそも怪しいのです。
人間の腸にはもともと乳酸菌がいます。
こうしたもともといる菌を「常在菌」と言うのですが、人間の体は、外から入ってくる菌やウイルスに対するセキュリティシステムができあがってい ます。
ですから、たとえそれが体によい乳酸菌であったとしても、常在菌でないものは、このセキュリ ティーシステムに引っかかり殺菌されてしまうのです。
ヨーグルトが胃に入ると最初に働くのが「胃酸」で、ヨーグルトの乳酸菌は、胃に入った時点でほとんどが胃酸によって殺され てしまいます。
そのため、最近では特別な工夫を施して「腸まで届く乳酸菌」を売りにしたヨーグルトも登場しています。
しかし、腸まで届いたとしても、はたして常在菌と手を取り合って働くことが本当に可能なのでしょうか。
たしかにシャーレの中では生きたまま腸に届くことが確認されているようですが、実際の胃腸の中は実験室とは違います。
著者が「ヨーグルト神話」に疑問を感じるのは、臨床現場では、牛乳から作られた市販のヨーグルトを常食している人の腸相がけっしてよいものではない という理由からなのです。
では、なぜヨーグルトに「効果」を感じる人が多いのでしょうか。
その理由の一つに「乳糖」を分解するエンザイムの不足が考えられます。
乳糖というのは乳製品に含まれる糖分のことですが、これを分解するエンザイム「ラクターゼ」は、年齢を経るごとに減少していきますが、これはある意味で当たり前のことです。
なぜなら「乳」というのは、赤ん坊が飲むものであって、大人が飲むべきものではないからで、本来ラクターゼは大人には必要ないエンザイムなのです。
乳糖はヨーグルトの中にもたくさん含まれています。そのため、ヨーグルトを食べると、エンザイム不足から乳糖をきちんと消化しきれず、その結果として消化不良を起こします。
つまり、ヨーグルトを食べると、軽い下痢を起こす人が多いということなのです。
この軽い下痢によってそれまで腸内に停滞していた便が排出された現象を「乳酸菌のおかげで便秘が治った」と勘違いしてしまっているというわけです。
30万例の臨床結果からも、ヨーグルトを常食していると、腸相は悪くなってゆくことが確認されています。
もしあなたがヨーグルトを常食しているなら、便やガスのにおいが強くなっているはずです。
これは腸内環境が悪くなってきている証拠だと思ってください。
臭いのは、毒素が腸内で発生しているからです。
このように、一般的にも健康効果がうたわれ、企業などがすぐれた効果を訴えているもののなかにも、実際には体にとってよくないものはたくさんあるのです。
ヨーグルトは自作の乳酸菌豆乳ヨーグルトがベスト。
以前こちらで作り方を書きましたが、牛乳ではなく、豆乳と「蓬龍宝」を使うのです。
免疫力向上食品で「蓬龍宝」の入手方法を書いていますので参考にしてください。
自作の乳酸菌豆乳ヨーグルトを食べて2日もすると、便がほとんど臭わなくなります。
ほとんど臭わない便が、毎日適度な堅さで、気持ちよく出るようになるのです。
お試しあれ。