昔アメリカで声優をやったことがある。
シアトルの南に位置する”フェデラル・ウェイ”という地域に、世界最大規模の木材会社ウェアハウザー社がある。
Weyerhaeuserは、こちらにWEBもあるが、難しいスペルだ。
この会社の100周年記念のビデオ製作で、ビデオに登場するこの会社のエライさんたちがしゃべる英語の、日本語吹替えの仕事が舞い込んだのだ。
その3週間ほど前にオーディションがあって、その結果の返事待ちだったのだが、忘れた頃に電話があり、「君に決まったから来てくれ」だって・・(笑)
セミナー屋さんからも、時々「よく通るいい声だ」と何度か言われたことがあるからね。
親に感謝だ。(笑)
確か午後3時前頃に、一路ダウンダウンへ。
録音スタジオの名前は、Rocket Pictures
だからこのように月の周りを、回っているロケットがレトロ(笑)
ちょっとロフト風の雰囲気で、ちょっと古い絵や、雑誌が無造作に置かれている。
中には、小さな録音スタジオがたくさんある。
スタジオの大きさからいうと、音楽というより、映画やビデオの声の録音が中心のようだ。
で、小さなブースのあるスタジオで録音することになり・・
パソコンはマッキントッシュで、もちろんデジタルレコーディング。
ビデオの画像とあわせるので、「せりふ」の長さが決まっているらしい。
だから、アシスタントの帽子をかぶっている女性が、ストップウォッチを持って、時間を計りながら進めるのだが、彼女はアメリカ・アジアンのようで、日本語は少しだけわかるようだけれど、作業を進めるうちに、ほとんど知らないのも同然だということが、だんだんわかってきた。
大丈夫なのかなあ・・(笑)
でブースに入り、2重のドアを閉めると、静寂の世界。
ヘッドホンをかけて、今日は喋るだけ。カラオケじゃないんだからね。(笑)
12ページくらいの原稿から、20フレーズほどを録音。
2、3人の喋りを録音するのだが、各テイクは大体3パターンで、しゃべるスピードが「遅め・早め・もっと早め」の3種類。
ただ、長めの文章で、言葉の組み合わせによっては、とても喋りにくいフレーズがあり、それを速くしゃべると舌がもつれそうになる。(笑)
大体一回練習したら、即本番。
ヘッドホンからエンジニアの指示を聞いて、ブースの中と外とでやり取りをする。
もちろんヘッドホンからは、自分の声が返ってくるが、はっきりと息遣いが聞こえるし、マイクを「吹く」とノイズが入ってやり直し。
取り直しは3回くらいだったかな。
お疲れ様で、外へ出たら、1時間半ほど経っていた。
面白い経験だったけれど、映画やTVの2時間ものなんかだったら大変だろうね。
まあ、どんなことでも、仕事となると大変なんだな・・としみじみ。
というわけで、いまだに「口三味線」は得意。(笑)