2011年04月20日 Hondaは、画期的な計画を公表した。
埼玉県と共同で取り組んでいる次世代パーソナルモビリティー実証実験の一環として、埼玉県庁敷地内に「ソーラー水素ステーション」を設置するというもの。
FCXクラリティ
「FCXクラリティ」は、燃料電池車専用として設計され、ホンダ独創の燃料電池スタック「V Flow FCスタック」技術を核にした究極のクリーン性能が特徴だ。
米国では7月より、日本では今秋にリース販売を開始する計画。日米合わせた販売計画台数は、年間数十台、3年間で200台程度を予定している。
ホンダは、「FCXクラリティ」のラインオフ式典において、米国での最初の5組の個人顧客を発表。
購入したのは映画プロデューサーのロン・イェクサさんや女優で作家のジェイミー・リー・カーティスさんと映画監督のクリストファー・ゲスト夫妻など。
建設が進むのは、約10kWのソーラーパネル、ソーラー電力で8時間に0.5kgの水素を製造し350気圧まで昇圧する装置。
約800リットルの水素を貯めておくタンクと、その水素を燃料電池自動車に充填する装置で価格は秘密だというが「大型商用ステーションに比べたらべらぼうに安い」とのこと。
保守管理・運営費用もあまりかからず、ランニングコストは電気代・水代だけ。
現時点で、最初から最後まで完全にCO2ゼロで、このシステムは、すべてのプロセスにおいてゼロエミッションという素晴らしさ。
HONDAはこのソーラー水素ステーションをどう売っていくつもりなのか?事業としての勝算はいかに?
バッテリーに電気を積んで走る電気自動車と、水素と燃料電池(水素発電機)を積んで走る燃料電池自動車はどう違うのか?
電気自動車が無充電で走り続けるのは210kmが限界。
多くの場合、出かけて帰ってくると電気が残っていないことが想定される。
充電にも時間がかかるので、そこから家庭用の電力を取るより先に、何時間も充電しなければならない。
一方で、燃料電池自動車は無充填で620kmを走ることができる。
電気自動車の3倍余力があるため、家に帰った後は家庭用の電源として使うことも可能。
しかも、3~5分で満タンになる。
満タンにすれば620km、充填なしで走り続けることができるのだ。
HONDAの燃料電池自動車に搭載される燃料電池(水素発電機)は、実際には100kWの発電能力を持っているという。
10kW以上を外部出力して発電設備として利用すると、電気事業法の上での扱いが事業用電気工作物(10kW未満なら一般用電気工作物)となる。
そうすると有資格者による電気主任技術者の配置が義務づけられるなど、現状では、さまざまな規制を受けることになるのだが。
FCXクラリティのパワートレインは、ホンダ独自の「V Flow(バーチカル・ガス・フロー) FCスタック」、小型リチウムイオン・バッテリーパック、水素貯蔵タンク1基、前輪駆動方式の交流同期電動機(モーター)で構成されている。
水素と大気中の酸素が燃料電池スタックで混合され、この反応で生じた化学エネルギーが電力に変換される(副産物は水だけだ)。このエネルギーがバッテリーに蓄えられ、車の電気モーターに供給される。このほか、回生ブレーキと減速により生成される電力も、必要に応じて燃料電池スタックを補う。
水素タンクを満タンにした場合の航続距離はおよそ430キロメートルで、燃費性能はリッターあたり約29キロメートル相当になると、ホンダでは述べている。
最大の弱点がコストで現時点では同クラスの乗用車の20倍近い。
(月額のリース料金は80万円。5千万円超のロールスロイスとほぼ同額)。
こいつを最低10分の1にしないと普及は難しい。
ホンダの技術者に聞くと「いつになるかは解りません」。