トレードの話にたとえると「素人だから1銘柄から始める」という方がよほど危険というものと同じで、レンストランなどの、いわゆる食べ物屋を始める際の考え方について。
レストランビジネスでも、はじめから全体の30%をロス(赤字)と「想定」し、逆にそのロスを利益部分の70%に対するのノウハウとして生かすことで、全体としての利益率を向上させるというもの。
レストランを始めたばかりで、いきなり10店舗を展開するというのは、普通はかなりの資金がなければできないことですが、考え方から言えば、資金量が多い方が成功率が高いというのは当然のこと。
トレードでの理論やメンタルコントロールは、このように他のビジネスでも、さまざまな場面で応用が利くのではないかというわけです。
「最強の外食チェーン」の異名を持つ日本レストランシステムは、スパゲティチェーン「洋麺屋 五右衛門」など約30種類の業態を擁し、経常利益率21%という外食業界で抜きんでた収益力を誇っている。
大林 豁史 氏 (日本レストランシステム会長) の理論
食べもの屋といえば、小金を貯めて独立開業しようかと思う人が最初に考える選択肢かも知れない。
人間はとにかく食べなければ生きていけないから、とりあえずのニーズはあるということになる。
だが、小金を貯めて食べもの屋を始めた人が全員成功するわけではない。
日本レストランシステムという無機的な名前の外食産業会長である大林氏は、「食べもの屋」で成功。
大林氏は最初から「戦略的・全体的にリカバリーできる戦術的・局所的失敗」を最初から想定してリスク・マネジメントを行ってきたという。
当たり前のことだが、大林氏のやり方が「食べもの屋」開業を目指すすべての人の参考になるわけではない。
小金を貯めたサラリーマンやOLが食べもの屋を始めるとしたらどんな店がいいんでしょうか、と聞くと大林氏は、「1店舗だけで始めるのはリスクが高いので止めたほうがいいと思う」と答えた。
大林氏の基本的な戦略は、「10店舗で食べもの屋を展開するとそのうちどうしても3店舗くらいは赤字になるので、すぐにコンセプトを変える。
それを繰り返していけば、全体的には利益が上がる」というものだ。
実際、日本レストランシステムは23%という驚異の利益率を誇っている。
だが、10店舗で食べもの屋を展開できる資金やノウハウを持っている人は少ない。
最近熟年男性に「蕎麦打ち」が流行っているみたいですが定年後に蕎麦屋を開業しようとしている人はに何かアドバイスがありますか、と聞くと・・
「蕎麦がおいしいという条件付きだが、夫婦2人で従業員を使わずにやれば何とかなるかも知れない」という明快な即答が返ってきた。
だが、たとえアルバイトでも、夫婦以外に人件費がかかるようでは利益は出ないということだ。
確かに「失敗」は重要な教訓となることが多い。
失敗からはさまざまなことを学ぶことができるし、失敗を経験していない人は案外もろいというのも事実だろう。
だが失敗が許される「条件」がある。
時間や資金という資源を充分に持っている人と、そういった資源が乏しい人ではまったく条件が違う。
大林氏から学ぶべきことは、単純な「失敗のススメ」ではない。
現在の自分の「失敗の許容量」を正確に判断できる客観性ではないだろうか。
許容量ねえ。
一店舗だけで始めるのは、リスクが高いからといって、複数の店舗を同時に展開させるというのは、経験と資金がなければできないことなので、こうした視点から見ると、レストランビジネスというのは、意外に危険だということが分かる。
一店舗だけでも、味・清潔さ・サービスといった要素が高い次元でバランスよくまとまっていれば、成功する確率は高くなるはず。
食べ物屋は何と言っても味。
提供する側の「味へのこだわり」をどう伝えるか?
おいしさはまず、外せない第一の要素ではないだろうか。
次に大事なのは清潔感。
これは意外と難しい点だ。
店をオープンしてから時間が経過するにつれ、だんだんマンネリ化してくるため、気がつかないうちに、清潔感というものは低下してゆくもの。
この清潔感には、「臭い」も含まれる。
店に入ったときのその店の「内部の匂い」というのは、意外と店の人は無頓着になりがち。
これは家庭でも同じ。
そして最も簡単に、その店の清潔度をチェックしようと思ったら、トイレを見ることだ。
利用する人に「うっかり汚すとまずい」と思わせるほど、清潔な状態かどうか。
こういうレベルに保たれているトイレは、意外ときれいな状態が長く続くもの。
一度汚くなってしまうと、利用者は汚すことに無頓着になり、清潔感はどんどん低下してしまう。
トイレを常に清潔に保つというのは、大事なサービスの一つだ。
「汚すことを許容しない」レベルへ保たれているトイレというのは、その店の経営者の「こだわり」がなければ、維持できないことだからね。
というわけで、店へ入ったら、まずトイレへ行ってみよう。(笑)