仕事というのは、ストレスがかかるもの。
売り上げや給料が下がるとストレスとなり、さらに人間関係という最もストレスの強い要素が追い打ちを掛ける。
こうして心理状態がアップダウンを繰り返すと、ストレスはさらに増大することになる。
このストレスに一番効く方法は、まず「心配」をなくすことだ。
「心配」は現実には存在しないもの。
想像の産物なのだ。
自分で勝手に考えを拡張し、状況が悪くなった時のことばかりを考え、どういうダメージを受けるのかなどといった、ネガティブな妄想を抱くことを一般に「心配」と呼ぶ。
健康第一で仕事なんぞは第二、第三という姿勢なら、こうした心配は生まれないだろうし、恐怖を抱く恐れもない。
不必要な恐れを排除して、ストレスのない、笑顔の多い毎日を過ごすことが、本来最も重要なことなのではないだろうか。
考え方を変えることは、値上がりする銘柄を探すよりもうんと簡単だ。
自分が毎日を過ごす環境へ投資をするというのは、毎日の生活が積み重なり、それが未来を築くという考え方からいえば、理にかなった重要な考え方ではないだろうか。
毎日の生活を向上させるための投資。
ここの優先順位を上げるという考えは、なかなかスマートではないだろうか。
銀行口座の残高を増やすことが最も大事だと考える人が多い。
だから日本人の一人あたりの貯蓄額は世界でもトップクラス。
貯金こそが安心につながる最短距離だと考える人が多い。
そりゃ貯金はないよりあった方がいいだろう。
しかしそれができなければ、ダメなのか?
貯金は銀行への投資だが、見返りは利息だけ。
投資というビジネスで言えば、一番おいしいところは、銀行へ吸い上げられるという仕組みなのだ。
貯金を続ければ30年後に3000万円が貯まるなどという皮算用や計算も確かに大事だ。
誰に聞いても同じ答えが帰ってくるだろう。
しかし、生活を少しづつレベルアップすることは、こういう計算が得意な人ほど、忘れてしまっていることが多い。
30年後に3000万円を貯めることができたとしても、本当にリッチになれるとは限らないのだ。
生活の楽しみや、家族の和を省みず、爪に火を点すようにしてようやく蓄えができたとしても、それまでの生活はリッチとは程遠いものでしかない。
宝くじに当った人が、必ずしも全員、その後の生活が幸せになるわけではないのは何故か?
突然今までマネージメントをしたことのない金額を手に入れても、そのお金を生かした使い方ができなければ、そのお金はいずれどこかへ行ってしまうのだ。
お金は、お金を生かした使われ方をするところへ集まる、という習性を持っている。
さらに、宝くじにあたり、突然大金が入ってくると、どうせ棚ボタなんだからと、まわりはその宝くじのお金をアテにするため、トラブルのもとになることが多くなるだろう。
だが、自分の力で少しづつ生活を向上させ、そうして時間をかけて熟成しリッチになった人には、そうした生活にふさわしい人達が周りにいるはずだし、あなたのお金が、宝くじで儲けたお金と同じように扱われる心配はない。
周りの人間の嫉妬ではなく、尊敬をも手に入れることができるはずだ。
宝くじでは、手に入らないものがあるのだ。
本当の意味でリッチな生活をしている人というのは、子供が学生のうちは、学生にふさわしくないような高価な車を買い与えたりはしない。
何故なら自分にふさわしいものは何か、またどうすれば自分らしく成長できるかという方法を身につけるために、どうすればいいのか、というシナリオを、親が自分の子供に対して描けるからだ。
お金を与えるのではなく、お金とどう付き合えばいいのかというヒントをできるだけ与え、後は本人次第という姿勢で接していれば、子供がそういうことを理解するようになった時、あなたのことを心から感謝してくれるはずだ。
これだって、お金だけでは買えないものなのだ。
自分にふさわしい毎日の生活とはどういうもので、どの部分を、どうやって達成すればいいのか。
働いて得たお金を、毎日の生活をリッチに過ごすために使う。
こういう生きたお金の使い方をする人のもとには、働き甲斐を求めてお金が集まって来る傾向があることは、覚えておいても損はないはず。
お金をうまく働かせる。
これはとても大事な考え方ではないだろうか。
普遍的な真理は、どの物事にも共通している。
一生を通じて、幸せに過ごし、仕事を成功させる秘訣や考え方は、案外こういったところにあるのかもしれない。