人の心に響く声で話す。
ここは意外な盲点となっています。
何か事を進める場合、必ず誰かと顔を合わせ、言葉でコミュニケーションを交わすことになります。
相手の心の奥深くまで届くよう、声を磨く。
普段からの密かな練習で、少しずつ身につけてゆく。
と考えただけでもワクワクします。
まず正しい呼吸法をマスターする。
この呼吸法は基本的に、プロ歌手のトレーニングのためのもので、美しい声で聴き手を魅了させるためのものです。
ですが話すときにも同じような効果があり、セミナーで話すときだけではなく、普段の会話でも応用が効きます。
まず話すときの呼吸では、口から吸うことです。
そして「ヘソ」から5センチほど下げた位置へ空気を吸い込むように意識をすることです。
空気がストレートに下腹部まで届く!というイメージですね。
そしてそのあとで、下腹から空気を絞り出します。
次に大事なことは空気を溜め込まない、ということです。
空気を溜め込もうとすると、喉を締め付けることになります。
ですから吸った空気は溜め込まないことです。
私たちの体には主に響く場所が4つあります。
胸・口の内側・顔の前にある副鼻口・脳です。
このなかも最もよく響く場所というのはどこだと思いますか?
それは脳です。
脳というのは「湿って柔らかい」というイメージなのでとても響くとは思えないかもしれませんが、実はスイカのように叩くとよく響くのです。(笑)
もし体に空気が一杯詰まったままだとしたら、どうなるでしょうか?
空気が詰まったままの状態だと、のどは締め付けられ、胸の響きを鈍らせ、顔の響きも、口の中や脳の響きも鈍らせてしまいます。
つまり声をよく響かせるためには、筋肉を使って呼吸し、のどを締め付けないように気をつけることが大事だということになります。
そのためには、まず下半身に重心を持ってくることです。
呼吸を控えめにして、すべての動作を可能な限り上半身から遠ざけるのです。
そして歌ったり話したりするための筋肉を、体の下の方へ移動させ、そして機能させるのです。
体全体は楽器だと考えてください。
ですが多くの人は、首から上だけで話したり歌っています。
歌うときも話すときも呼吸をするときも、体全部を使う事が大事です。
話しているときも、足・ウエスト・腰など重いものを持ち上げるときに使う筋肉を使います。
特に日本人の若い女性に多いのが、首から上だけで話すというタイプです。
サラ金のコマーシャルに出ている多くの女性の声を思い出してください。
あれが典型的な首から上だけで話している声です。
喉だけを使って話す人の声は薄っぺらく遠くまで通らないため、人の心に響きません。
ですが筋肉の強いところを使って話すことができれば、安定して信頼できる感覚を聞く人に与えることができるためより説得力が出てくるのです。
では、具体的な練習方法です。
椅子に浅く座って、下腹に手を当て、前傾姿勢で空気を搾り出します。
この動作が基本となります。
まず最初は空気を絞り出してから空気を吸って声を出す準備をします。
次に空気を吐くときに声を出し、空気を吸うときに声を止める。
これが基本です。
次に大事なことは、口とあごの筋肉を緩めて話すということです。
そのためには無駄な力を入れないことです。
喉やあごを締め付けていると、声は硬直し、倍音を響かせることはできません。
つまり腹話術師のように、口をできるだけ動かさないようにするということなのです。
鏡の前で練習してみてください。
椅子に浅く座って、体をダラっとさせてみてください。
背骨の下のほうの位置で角度が変わるはずです。
その場所を意識し、そこへ響かせるように意識しながら「ズー」という発音をして見てください。
呼吸するときも、響かせるときもこの下半身のポイントを中心にして動作をさせることが大事になります。
大きな声を出すときには、重いものを持ち上げるときの姿勢を意識することです。
または、古いハーレーダビッドソンのバイクに跨ったという姿勢をイメージしてください。
立っている場合は、ひざを少し曲げ気味で柔らかい状態を意識することになります。
こうすることで声を下から支え、良く通り大きな声として遠くまでよく届かせることができます。
次は声を響かせる方法です。
前の歯6本を響かせるつもりで、舌を歯につけるようにして震わせる、つまり響かせるのです。
こうすることで、声にツヤと輝きが出ます。
最後にまとめ。
息を吐くとき のキーワードは「搾る・上げる・吹く」
吸うとき のキーワードは 「開く・落とす・ダラっとする」
これを忘れないようにしてください。
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