ナタリー・ポートマン演じるニューヨークのプロダンサーの物語。
挫折した元ダンサーの母親のもとで過保護に育てられた生真面目な娘が、狂気寸前の狭間で成し遂げられるかどうか?
観客を1時間40分全く飽きさせず、映画に嵌まり込ませてしまう製作陣の技量には脱帽。
ナタリー演じるニナは「白鳥の湖」で主役に抜擢されるが、それまでの生き様と真逆の魔性・退廃の象徴となる黒鳥の踊りがこなせず、自らを追い詰めてしまう。
さらに彼女の才能に期待する芸術監督や、ダンサー仲間だが正反対の性格を持つライバルからのプレッシャーの重圧に苦しむことになるというストーリー。
ただ見ている側は、どこまでが幻想でどこまでが現実かが、だんだんとわからなくなってくるのだ。
だが、限界と思われる寸前でちゃんと謎解きされるため、見終わった後で不満を抱かない作りになっている。
このあたりの引っ張り方がうまいので、全く時間を気にする暇なく、映画に引き摺り込まれるというわけだ。
ナタリー・ポートマンは役作りのため1年半にわたってバレエレッスンを受けたという。
監督が要求した制作費25億円は半分に削られたため、ナタリーはレッスン料を自腹で持ち、しかも途中からトレーラーも引き払って撮影に臨んだというが、天晴れな根性だ。
いくらレッスンを受けたとしても、2年や3年ではプロのバレリーナのレベルには近づけないため、全身が写るシーンではボディにナタリー・ポートマンの顔面をCGで合成しているというが、その甲斐あって、素晴らしいバレエの映像も楽しめる作品となっている。
ウィノ・ライダーやミラ・クニスの女優陣が脇を固め、さらには名ナタリーポートマンのオナニーシーンなど、見所も満載。
バレーの世界では、プロのバレリーナの中でトップに立たなければ、主役は踊れない。
そのため想像を絶する心理的な厳しさで、自分と闘わなければならないわけだ。
見終わって、自分の仕事がそこまで厳しいものではないことに感謝したい気分になった。
これがこの映画を見ての最大の収穫だったといえるだろう。
しかしこういう映画は見るのも、エネルギーが必要だと痛感した次第。(笑)
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