エイドリアン

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アメリカの友人で最も高齢だったのはエイドリアン。

たぶん今年96歳になるはず。

adrian01.jpg

というか齢を聞いたことはあるのだが忘れてしまった。

写真は彼の誕生パーティーでのショット。

 
奥さんに先立たれて長いこともあって、犬と住んでいるのだが、たぶん今も元気だろう。

とてもお洒落な人で、バーで彼の隣に座ったり至近距離で話をしていると、とても清潔なことがわかる、いい匂いが伝わってくる。

シェービングローションしかつけていないというが、怪しいものである。

独り者なのでディナーにはたびたび女性を食事へ誘うのだが、いつもモテモテだ。

ときどき、金目当てで近づいて来る女性もいたようだが、特に意に介してはいないようだった。


 

気を許した相手には「お迎えが来ない」とぼやくときもあったが、時間という目に見えない細かい粒子で磨かれた彼は、まだまだやり残したことがあるのだろう。

彼から学ぶことは多い。

まずは正真正銘のジェントルマンなのだ。

これはちょっとやそっとでは真似ができないというか、身に着き方が違うという言い方をしたほうが適切だろう。

 

何十年もかけて身につけた、よい習慣というものがこれほどまでに人を洗練させるのかという、まさに生き字引のような友人を持てるというのは、長い人生の中でもそうたびたびあるものではないだろう。

ということを知っているレベルの女性に、モテるのである。

 

なわけで、そこいらへんにいる男どもは、誰も彼にかなわない。

 

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シアトルに住んでいたときに一度だけだが、あるバーでしこたま酔っていい気持ちになったことがあった。

車を運転して帰れなくなったので、そのときに一度家まで送ってもらったのだが、かなり酔っていたのでよく覚えていなかったのだけれど、少し古めのアメ車のステーションワゴンだった。

 

彼は後ろのカーゴルームへ犬を乗せていたのだが、車内は犬臭くなかったので、気持ち悪くならなかったことを、何故か覚えている。

 

話をしていても、いつもユーモアを忘れないので、まともに話を聞いていると、ワケが分からんことになることがあるのが、唯一気をつけなければならない点だった。

いつもこざっぱりして、お金には困っていないことはわかるが、でもそれほど成金と言うわけでもなく、とにかく一緒にいる相手に、自然で余計なことを意識させないのだ。

 

私の記憶では、5年以上の間彼の口が臭かったことは、一度たりとてなかった。

すごいことだ。

  

というわけで、エイドリアンから見習うことはたくさんあった。

でもそういう友人がそばにいるというのが、どれほど幸せなことかということは、彼のいない日本へ戻ってから、身にしみてわかることになったのだけどね。

 

というわけでこれを書いているのだが・・

エイドリアン、元気かい?

 

 

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