ドライバーが見るクルマの顔はすれ違うときだけしか見る機会がないのだが、後ろ姿は信号待ちの時に、イヤというほど目にすることになる。
総じて国産車は、締まりのない垂れ下がった、どこかで見たようなものばかり。
このように差のない製品を作っている企業は、コスト競争に巻き込まれ、ひたすら価格を低く抑えるために資金と技術を集中しなければならなくなるわけだ。
だがヨーロッパのクルマは、どれもヒップはキュートで個性的。
このように常に目にしているものは、継続して擦り込まれ、それが記号となり、ブランドイメージを形成することになる。
2011年の国内自動車メーカーの販売台数は、軽自動車を除き前年比では過去2番目の低水準に落ち込んでしまった。
東日本大震災やタイの洪水の影響などで、生産がストップした影響は強いとはいえ、メルセデス・ベンツは東日本大震災で被災した東北3県での販売を伸ばしている。
消費マインドが冷え込むと、高い値段であっても、見合った魅力さえ備わっていれば景気に関係なく売れるという現象が、しばしば起こるのだ。
外国メーカーの輸入車は前年比で増加し、特にドイツ車は各メーカー共に軒並み大きな増加率を達成している。
日本メーカーの、スバルやホンダというのは、日本のポルシェ、日本のアウディーのようなブランドを形成する条件を備えたメーカーではないだろうか。
彼らがトヨタや日産と同じような車を作っても、しょせん勝ち目はないのだ。
高い技術力を持ったメーカーは、不況のときが、ブランドを構築するきっかけとなる絶好のチャンスなのではないだろうか。
そのためには英断のできる、カリスマ的トップが必要になる。
だが、日本の自動車メーカーのトップは典型的なサラリーマン思考の社長が多いため、踏み出すことができないのかもしれない。
だが、思い切った決断のできる勇気と見識を秘めている者にとっては、今というのは絶好のチャンスなのだ。
人生は我々に期待どおりのものをくれるが、それは意外なところで、意外な方法で、意外な時に行われる
- A・ファーブル・リュス