東証と大証の経営統合が発表されましたが「日本取引所」という名称で2013年1月に発足するようです。
国際取引所連合のデータによると、統合後の新会社の株式時価総額は3億6000億ドル(約277兆円)。
ロンドン証券取引所を抜き、NYSEユーロネクストとナスダックOMXに次ぐ世界第3位の規模となるようです。
ただ、我々個人トレーダーにとってトレードがしやすくなるかどうかは別問題ではないか?
というわけで、今日は第二位のナスダックと比べてどうか?というテーマです。
下はナスダックの11月18日金曜日の開始から1時間の最も出来高の多い時間帯の3分チャートです。
この日のナスダック市場は約17億2千万株の取引がありました。
下は金曜日の東京マーケットで、日経平均の金曜日の開始から1時間の最も出来高の多い時間帯の3分チャート。
東証の取引高は14億5075万株。
このように、取引高の割合から見ると、ナスダックの方が遙かに変動する幅が大きいことがわかります。
つまりデイトレーダーにとっては、同じ投下資金で利益を出しやすい動きをしているということになります。
日経平均のチャートは、ハッキリとしたトレンドがないため、デイトレーディングで利益を出すのは非常に難しいことがわかります。
大証と経営統合したからといって、ナスダックのような明確なトレンドが出る、デイトレーダーにとって、魅力あるマーケットへ変貌できるのでしょうか?
以下は2004年春にWEBへ書いた内容をもとに、現在も依然残る日本株マーケットと米国株マーケットの特徴を比べたポイントです。
日本株
資金の回転効率が悪い
チャートはどちらかというと汚い
マーケットが板寄方式でマーケットメイクされるためギャップが大きくなる
そのため開始早々の一番おいしい上昇を狙えない
動きが遅いので執行面の判断がラク?
そのかわり執行ソフトが前時代的な代物で、これが問題
板情報に惑わされやすい
銘柄(株価)によって売買できる単位が違うため紛らわしい
夜の自由時間が増える
拘束時間が長い
トラブル時のサポートは実質的にあてにはできない
口座開設が心理的に簡単
米国株
資金の回転効率がよい
チャートは比較的美しい
マーケットがマーケットメイク方式のため、ギャップは大きくなり過ぎない
そのため開始早々の一番おいしい上昇を上昇を狙える。
動きが早いので執行面の判断で難しさがある
そのかわり執行ソフトが素晴らしい性能(セミオートマ)
レベル2情報の動きが早いため、惑わされることがない
売買できる単位が一つなのでわかりやすい
昼の自由時間が増える
拘束時間が短い
トラブル時のサポートがかなり有効なケースが多い
口座開設は手間がかかる・為替リスクが存在する
それぞれの項目についての、優先順位は人によって違うため、一概にどちらのマーケットがいいということは断定できませんが、資金効率の面から考えると、デイトレードの特性である短期で何回でも売買できるメリットを最大限に享受できるのは、米国マーケットだと思います。
それぞれの項目について、簡単に解説を加えておきます。
資金の回転効率
米国株の場合はポジションを解消すると、バイイングパワー(購買力)はその日始まった時点へ戻ります。
日本株で何度もデイトレードをしようとした場合、ポジションを解消してもバイイングパワーは回復しませんから、多くの資金が必要になります。
ですから、米株なら、とりあえず下がりそうなら脱出して、またブレイクアウトした時点でエントリーすればいいわけです。
バイイングパワーのことを考える必要はないのですから。
一方日本株では、頻繁に売買をするとバイイングパワーがなくなってしまうため、心理的に脱出を我慢してしまいやすく、結果としてリスクにさらされるというケースに陥りやすいのです。
チャートの美しさ
米国株の場合はティック数(値段の変化の回数)およびと出来高ともに、日本株よりはるかに多いため、チャートがきめ細かく、セオリーどおりに動きやすいという傾向があります。
日本株は、値段の違いによって、売買できる最小の株数が違っているため、取引高がどうしても少なくなるという銘柄が混在してしまいます。
こうした点は1分チャートを見れば一目瞭然です。
また、日本株は単位株の違いに加え、値段が変わると、いわゆる値段の変化する階段が荒くなりますから、トレードがしにくくなるケースが多いようです。
マーケットメイク方式の違い
日本株は板寄方式のため、値段が付かずにどんどん上昇してしまい、値段が付いた時点ではギャップが大きくなってしまうという状況が発生することがあります。
米国株は、売買の金額が合えば次々と執行されますから、ギャップがマーケットメイクの影響を受けにくく、こうした点で影響を受けてギャップ幅が大きくなり過ぎるということがありません。
つまり米国株ならオープニングの、急上昇を掴むチャンスは多いのですが、日本株では、こうした動き自体が起こりにくいために、急上昇を掴むチャンスは圧倒的に少なくなります。
また日本マーケットのようにストップ高・ストップ安といった規制がありませんから、大きなゲインを狙うチャンスが多くなるとい点も、米国株と日本株の大きな違いの一つです。
動く速度の違い
日本株は株価の上下動が時間の進行に対し相対的に遅いため、執行面の判断がラクになるという点が、利点になることがあります。
一方で米国株は、動きが早いため執行面の判断に躊躇すると、エントリーのチャンスを逃してしまいがちになります。
ただ米国株で判断する訓練をして、判断力を身につけることができれば、日本株での執行はとても楽に感じられるはずです。
執行ソフトの違い
米国マーケット用の執行ソフトは、速い速度に見合った性能を持っています。
株価の動きが早いため、執行ソフトもその速度で機能するだけの性能を備えているためです。
また米国株ではリアルティックのような専用ソフトでは、執行を含めたシミュレーショントレードができるような機能があります。
日本株ではこうしたレベルの機能が付いているソフトは存在しません。
また執行の際も、米国マーケット用の執行ソフトでは、値段や株数をキーボードから入力する必要は全くありません。
さらにストップを含めた自動売買の機能の豊富さと、実際のマーケットでの実効性は、日本株の経験しかないトレーダーにとっては、まさに夢のように思えるほどの違いがあります。
日本株は板情報に惑わされやすい
日本の証券会社が提供しているトレード用のツールは、板情報に惑わされやすいものが多いようです。
板の枚数や値段が変化すると、点滅や反転表示で目を引く構造になっているうえ、株価の動きが遅いので、どうしても板情報を見てしまうトレーダーが後を絶たないようです。
米国株のレベル2は、 ASK Bid の候補の値段が、オープニング時には、じっと注意して見ていられないほど早く動きます。
ですから、株価について余計な推測をする時間的な余地がないというメリットが生まれます。
米国株は売買できる株数の単位と値段が同じ基準
ですから、経験の少ない人でもとてもわかりやすいというメリットがあります。
日本株は、値段によって売買できる最低単位が何種類もあるために、慣れが必要になります。
また日本株では株価が変化すると、値段の動くいわゆる階段の幅が大きくなるために、チャートが汚くなりやすく、執行の値段も理論値と実際にトレードできる値段が違うことがあるため、こういった面での難しさも生じることがあります。
購買力の違い
米国株では、買いも空売りもマージン取引という、いわゆる信用取引でトレードをするのが一般的です。
日本株トレーダーには、売買時に、現物株か信用取引かといった区別をして考える方が多いようですが、米国株ではそうした考え方をする必要はありません。
米国株では、ショートできないアンショータブルへ指定されている銘柄は多くても10銘柄ほどですから、ほとんどの銘柄はショート(空売り)することができると考えていいでしょう。
ですから、マーケットのトレンドにあわせて、自由に売買するという考え方がスムースにできるのが米国マーケットの利点でしょう。
自由時間の違い
トレードという仕事をしている時間帯が、日本株と米国株では当然違います。
ですから、日本株では会社に勤めながら、デイトレードを練習することはできないといっていいでしょう。
米国株なら、4月5日からは、日本時間の夜の10時半からマーケットが始まりますから、開始後の1時間から1時間半でトレードを終わらせれば、その日のうちに一仕事終えることができます。
さらに動く速度が早いため、同じ時間を見ている間に学習できる密度が高くなります。
これは日本で米国株へ取り組む際の大きな利点でしょう。
拘束時間の違い
マーケットメイク方式の違いのところで説明したように、日本株では、オープニング時に急激に株価が動くというケースが、構造上起こりにくいため、最初のトレードで、利益を出すという方法に制限ができてしまうのが現実です。
こうした理由で、30分や1時間でトレードを終えるということは、日本株に比べて米国株では比較的容易に実現することができるでしょう。
トラブル時のサポートの違い
日本株の場合、約定通知がすぐに帰って来ないというケースでは、証券会社に電話をしても、まずは話中で繋がらないというケースがほとんどです。
また運良く繋がったとしても、証券会社ではどうもできないことが多いのが現状です。
米国株では約定が帰ってこないというようなトラブルが起こることはほぼ皆無といっていいでしょうし、サーバーにかけているコストが全く違うレベルですから、システム安定性は、日本のマーケットより格段に高いと考えていいでしょう。
米株では私の場合、契約しているブローカーの担当者とは、MSメッセンジャーで常に繋がっています。
ですから、すぐにチャットで解決することができますし、国際電話をかけてもらうこともできます。
実際には電話をしなければならないという事態は、ほとんどありませんが。
どちらにしても、まともなブローカーを選択すれば、こうした点のサポートはきちんとしていますから、安心してトレードを続けることができます。
日本株は口座開設が心理的に簡単
日本株の場合、高齢者は信用取引ができないというような年齢制限があったりと、意外な規制が存在します。
米国株では、こうした規制はありません。
また、米国株は最初の口座開設では、すべて英語の書類にサインしなければならないので、これが最もハードルの高い部分でしょう。
また、外交へ送金をされた経験がなければ、送金事態が面倒だと思われるでしょうし、外国への送金に伴う為替のリスクが存在します。
ただ安全性と言う意味では、どちらのマーケットでも、資金がどこかへ消えたりというようなことはありません。
経験がないために、漠然とした不安をお持ちの方は、しっかりした日本語サポートのある米国株の米国ブローカーを選べば、問題ありません。
以上の点は、構造的な問題を含めた違いのため、東証と大証が経営統合されても、依然残る部分ということになります。
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