アルバムのプレイヤーだが、フォープレイのメンバーでもあるボブ・ジェームスとネイザン・イースト。
この二人に韓国のトップ・ギタリスト、ジャック・リー、さらにアジアを代表するドラマー、ルイス・プラガサムが加わった4人がメイン。
いわゆる「アジア版フォープレイ」
全編異国情緒溢れるサウンドはとてもロマンティック。
そしてアルバム全体に繊細なタッチで散りばめられたアレンジはさすがボブ・ジェームス。
曲は3・5・9曲目がジャックで、ボブは1・4の2曲だけ。
2曲目オブリヴィオンではジャック・リーのアコースティックギターによるリリカルなフレーズを堪能することができる。
ジャックに触発されたかのように、ジャックに続いて始まるボブの生ピアノが織りなす旋律は、哀しいほどの美しさだ。
ネーザン・イーストのアコースティック・ベースのサウンドは、アクースティックと書きたくなるほどの心地よさ。
ウッドベースのソロは7曲目。
8曲目のルイーザは、あのカルロス・ジョビンの作。
ミディアムアップテンポで、少しかなりアレンジが加えられ、コードやりふが少しモードっぽいので、とても今風。
4度のポリコードなどが頻繁に登場するうえ、ボブの辛口のアドリブフレーズが聴きもの。
バッキングでオーボエの音色でメロディーをオブリガートする仕掛けはさすがボブ・ジェームス。
続いてジャックのソロも堪能できるが、こういうテンポとコードだとジャックのよさが出ないのが意外。
リー・リトナーやラリー・カールトンはコードやリズムがどんな組み合わせでも、「なるほど」というプレイをやるのだなということがよくわかる。
と書くとジャックをけなしているように受け取られるかもしれないが、そういう意味ではない。
曲の後半になるにつれて、だんだんラテンっぽくなるアレンジの「なにげなさ」が凄い。
こういうところがボブのプロフェッショナルアレンジャーたるゆえんなのではないだろうか?
素晴らしいメロティーメーカー兼というのが凄いところだ。
そういえば昔からボブのファンで、フルートで Feel Like Makin' Love のフルコピーでアドリブも暗譜で演奏できるほど練習していたことがあった。
この曲は、1990年にリリースされた、ヒューバートロウズのSan Francisco Concert で演奏されたライブ版。
ハービー・メイスンのドラムがナイス。 ゲイリー・キングがベース。
ボブのフェンダーローズのソロでの音の線が細くて気の毒。
鍵盤のストリングスではなくて、本物のサンフランシスコ・シンフォニー・オーケストラを使っているのが何ともゴージャス。
さすが、CTI。さすがクリード・テーラー。
今のプロ用電子鍵盤は、リズムセクションと混じっても、音がよく通るうえ、本物より音がいいからねえ。
ボテロの5曲目で、ボブのフェンダーローズのソロを聴くことができるから、聞き比べて欲しい。
PAもこの当時はこの程度だったしなあ。
ヒューバート・ロウズのピッチが高いのが気になる。
彼は常にピッチは正確なのに・・まあこういう事もあるんだということだね。
オーケストラを率いてのライブは、21年前のものだから音は悪いが、素晴らしいアレンジだ。
エンディングのアレンジを聴くと、ボブがヒューバート・ロウズのよさを知り尽くしていることが、よくわかる。
というわけで、ボブの最初のアルバムからのファンでもある私にとって、このアルバム「ボテロ」は最近のヘビーローテーションの一枚となっている。
夏の暑い午後、涼しい部屋で、良い音のオーディオを大きめのボリュームで、まったりと聴くには、ぴったりのアルバムではないだろうか。
聴くは易く、行うは難し。(笑)