脳天気化の心理

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「不安なときこそ知っておくべき心理状態」について。

防災・危機管理心理学の山村武彦氏によると、一般的に危ないときほど行動を起こせなくなるという。

私的には原発は1年では収束しない可能性が90%以上あると考えている。

毎日撒き散らされ続けている放射能にもかかわらず、なぜか危険なエリアから逃げる人が少ないのです。

そういう人は「何とかなるだろう」、とそれ以上深く考えることをやめてしまうからなのでしょうか。 

 

このままではダメだ、だが自分は何もしていない・・となると、そこに矛盾が生まれます。

その矛盾を解決するため、自分に都合のよい言い訳を見つけるという心理状態になるわけです。

  

放射能を吸い込んだってすぐに病気になるわけではない。

全員が死ぬわけでもない。

という風に、自分の心配を軽くするための都合の良い言葉を探すことになるわけです。

 

そしてその言葉に「すがる」ことで矛盾を解決し、心の安らぎを得ようとするのです。

これを心理学では「認知不協和」と呼んでいます。

とりあえず目先の不安を考えないようにするための方便を自らつくりだし、心のバランスをとるというわけです。

  

ですが非常時には、このような「非常呪縛」を解くことができた人だけが、助かっているのです。

「非常呪縛」とは、災害や事件など非日常の状況が発生し「無思考状態」に陥ったときに「優先すべき行動が混乱しているため判断ができなくなってしまう」現象のこと。

ではなぜ「優先すべき行動が、できなくなってしまう」のでしょうか?

それには、多数派同調バイアスと、正常性バイアスが作用しているからです。

 

多数派同調バイアスというのは、経験したことのない場面に遭遇すると、自分の周囲の多数の人の行動に左右されてしまう「思い込み」「先入観」のようなものを指します。

どうして良いか分からない時、 まわりの人と同じ行動を取ることで、きっと乗り越えることができるだろう、と思い込んでしまうのです。

つまり、自分が迷ったときにまわり人の動きを見て、大多数の人たちと同じ行動をとることで、安全だと思い込んでしまうのです。

これが「多数派同調バイア ス」(集団同調性バイアス)と呼ばれるものです。

というわけで、ちょうどこのことに関連したメールをいただきました。

  

ご無沙汰いたしております。**です。

6月13日のCOOLを見て、「やはりな…」と思いメールしました。

私の住む福井県の地元マスコミは、この事故のことを殆ど取り上げませんでした。

私の職場の隣にある県庁の連中もこの事実を知ってか知らずか、翌日も普通に出勤していましたしね。

コトは日本のみならず隣国まで影響を及ぼしかねないというのに、まるで他人事のようでした。

まぁ、原発と新幹線を交換条件にして考えているような県のトップですし、この4月にこのトップを選んだのも県民だから、事故が起きても一蓮托生というか文句は言えないのですけれどね。

  

しかし、原発が地元にもたらす利益は凄いものです。

福井県のある町は人口6,500人前後なのに上下水道、ケーブルテレビ及びブロードバンドインターネット接続環境世帯普及率100%ですから。誰も原発に文句は言いませんわね。

我が社(?)のトップもマスクなんか付けずに、月に何回も東京へ出張していますし、まるで「目に見えない敵は敵にあらず」と言わんばかりです。

職員も殆ど同じで、福島原発以上に怖いものが50km程しか離れていないところにあるのに、そのことは職員同士の話題にも上りません。

こんなのが「市民の安全と安心を守る」なんて言っても、誰も信用なんかしないと思うのですが…(苦笑)

冷めた目で職場を見まわしている私ですが、実は必死なのです。(笑)

再来月に東京出張があるのをどうやってキャンセルしようかと考えたり、どうしても行かなくてはならないときのために、せっせと米のとぎ汁乳酸菌の製造実験をしたり、ゼオライトの買いだめに走ったり…。職場での私の替わりは沢山いますが、家族を守るのは自分以外いません。

私の職場に限らず、こういった自覚を持った方というのはとても少ないと感じます。(同郷から神戸へお邪魔しているT1氏、K氏、T2氏を除く)

一体、皆さん自分の人生をどのように考えているのだろうと不思議でなりません。

時折「自分がおかしいのか?」と錯覚するくらいに…

 

ついでに言えば、いよいよ新たな一歩を踏み出す決心がついたというか、このままここにいると様々な意味で悪くなる状況に巻き込まれる一方だと思うのです。

「茹でカエル」になる前に、行動を起こさなくてはいけないと切に考えるこの頃です。

幸いなことに、確固たる根拠を持った情報を流していただける先生に勇気づけられているのも事実です。

そして、現在の職場への期待度が減るのに反比例して世界中どこでもPC1台あれば可能な、「トレード」という職業に託す情熱がますます増えていくのを感じます。

今後も(福井では殆ど得られない)原発関連の情報を期待しています。

時節柄くれぐれもご自愛くださいませ。

 

なるほどねえ・・まさに今日のテーマにドンピシャの状況が今現在、至るところで起こっているのですね。

こうした事はトレードの世界でもよく起こります。

たとえばスイングトレードである銘柄を買って持っているときに急落することがあります。

そうした際に、そこで売って損失を確定すればいいのか、それとも、このまま保有していたほうがよいのかの決断ができなくなるのです。

これは単なる調整で、すぐに戻るはずだ・・と考えて逃げ遅れ、含み損を抱えてしまうわけです。

そして「これはきっと騙しで、すぐに戻るはずだ」と、自分に都合の良いニュースを探し、掲示板を探し回るようになります。

掲示板などで自分と同じ立場の人を探すという、いわゆる同調を求める心理ですね。

「含み損を抱えてしまったけれど、これだけ多くの人たちが、自分と同じなのだから大丈夫」という根拠のない自信によって、自分を勇気付けるのです。

つまり正常性バイアスに縛られることで安心するというわけです。

  

「こんなことが起こるはずがない。これは現実ではない」と考え、きっとこれは仮想の出来事に違いない、と考えたいから。

そうなると「異常事態と認識する」いうスイッチが入らない状態になってしまうわけです。

正常性バイアスに縛られてしまった人は、あとで「まさか、こんなことが起こるなんて想像もしていなかった」というのです。

つまり、「想定外」のことが目の前で起こっていても、それを認識できなくなってしまうのです。

これがまさに今、東電や保安員、政治家たちに起こっているわけなのですが・・

多数派同調バイアスと正常性バイアスの相乗効果で、自分を「非常呪縛」で、がんじがらめにしてしまうのですね。

  

そのため身動きができなくなったり、判断がつかなくなって、フリーズしてしまい、以後はその状態で都合が良いような行動をとり続けることになるというわけです。

これがいわゆる「安全の思い込み」という、第三者から見ると、いかにも脳天気な行動を取る仕組みなのです。

当然のことながら対策を必死で考えようとなどとは、考えなくなるわけで、必要なアクションなど取れるわけはないのです。

  

これを打破するには、都合のよい思い込みを超える、強い意識を持ち続けること。

インパクトのあるモチベーションを持続させることが大事。

私がこうした日記を何故書くのかといえば、自分自身のために危機意識を目覚めさせ、心の堤防を高くしたいから。

要は自分を守ってくれるのは、自分自身の考え方次第だ、というオチになるわけですけどね。^^

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