福島第一原子力発電所1号機は、完全露出した核燃料が、容器底部に落下したことを、東京電力はようやく12日になって認めました。
今まで、東電、原子力安全・保安院は、「炉心の70%は溶けている」と言い、後に「溶けているのは50%程度」と訂正。
再臨界を証明するクロル38という放射性物質が検出されたと発表したがその後すぐに「クロル38の半減期が短く自動検出機によって得られた数字を補正をすることなく発表して大げさな数字になった」と訂正。
そして「水棺」で冷却すると決め、しばらくは「1号機は順調に冷却されている」と発表。
だが現実に水は、圧力容器、格納容器に溜まらず、外に流れ出しいわゆる「空焚き状態」が続いていたと訂正。
つまり1号機については、すべてのデータ、発表が間違いだったわけで、東電、原子力安全・保安院には、ド素人と同じ解析分析能力しかないことがわかってしまったわけです。
というわけで、福島第一原子力発電所1号機がメルトダウンしてしまったことが、公式に政府見解として出されたのです。
小出助教の分析はこちら。
【福島原発】5/12/木★メルトダウン(meltdown) しています・1号機 1/2
【福島原発】5/12/木★メルトダウン(meltdown) しています・1号機 2/2
というわけで福島第一原発、原子炉冷却停止の工程表は1カ月で見直しとなってしまったわけです。
つまり当分放射能は「ダダ漏れ放題」が続くことになります。
いいかえれば、日本のほうがチェルノブイリより深刻な事態なのだということを認識しておくことが大事です。
いまだにチェルノブイリのように封鎖できず、放射能は土地や地下水や海へ流れ出ているのですから。
気をつけなければならないのは、日本の政府、学者たちが金科玉条のようにして信じているICRP(国際放射線防護委員会)というのは、もともと核開発を推進したマンハッタン計画が生みの親なわけですから、基本的には「核」肯定派の考え方なのです。
このICRP(国際放射線防護委員会)の基準値を採用しているのが、IAEAですから、この二つの組織ともに原発推進、核開発推進派なのです。
子供に大人と同様、年間20ミリシーベルトまでの被曝を許容すると決めた経緯には、こういう事情があるのではないでしょうか?
つまり日本の福島で子供を使った壮大な人体実験ができる、またとない機会だと、彼らが考えたとしても、何ら不思議はないのです。
そのため、ICRP(国際放射線防護委員会)の基準値には合理性がない、とヨーロッパの独自基準を作ろう、というところから生まれたのが欧州放射能危機委員会(ECRR)という機関です。
つまり、御用学者と同じ仲間のICRP(国際放射線防護委員会)ではなく、より厳しい基準を設け、合理的な根拠を持つ欧州放射能危機委員会(ECRR)の基準を採用するべきなのです。
そうであれば、子供に大人と同様、年間20ミリシーベルトまでの被曝を許容する、などという狂人のような発想は生まれてこなかったはずです。
原発より核爆弾より、恐ろしいのは、こうした決定をする政治家、官僚、学者、電力会社なのではないでしょうか?
このままでは、近い将来、数十万、数百万人の日本人が格好の人体実験対象となり、多くの人が死ぬ事になるでしょう。
では今後、我々はどうすべきなのか?
毎日の生活においては、空中の放射線量より、放射能が食物を汚染し次々と連鎖され、福島以外の地域の人々の日常生活にも影響を与えるという点に注意しなければなりません。
菅政権は原発から半径20キロ圏内の家畜殺処分を指示しました。
それまでは、どうだったのかというと・・
2011年5月10日 0時59分 毎日jp
全国24都道府県が受け入れの意向を示していることが9日、農林水産省の調べで分かった。
福島県は、繁殖用の牛はなるべく別の場所に移動させる方針だが、移動先の希望は近隣に集中するとみられ、調整は難航も予想される。
肉牛は家畜市場への出荷を促進、乳牛は基本的に食肉処理する方向だ。
5月10日の時点までは、福島県の避難区域内の牛は他の都道府県が受け入れていたのです。
そのため、福島ブランド牛は時間の経過で被曝線量が増えることで買い叩かれることをを恐れ、早めに屠殺処分にしてしまっていたはずです。
避難区域内の牛肉は、加工肉、模造肉の牛脂などの形態で処理されると、消費者の私たちには見分けられないのです。
つまり放射能汚染牛は、すでに市場に出回り、我々の口に入ってしまっていたわけです。
オーマイガッ!
そして、ちょうどそのタイミングで、「殺人ユッケ」騒動が起こりました。
この牛肉は、個体識別番号によって福島県内の畜産家の男性が飼育していたことが判明したわけですが、さいたま市食肉中央卸売市場で1頭約45万円、1キロ当たり約1000円で競り落とされたのです。
もし焼肉チェーン店の食中毒事件がなければ、避難区域内の牛は、ニュースに取り上げられることなく、さらに全国に広く散らばり、我々はそれと知らずに食べていたかも知れないのです。
政府は「殺人ユッケ」事件が勃発するまでは、避難区域の牛を別の都道府県に移動させることを容認しようとしていたわけです。
国は補償対象となる牛の頭数が減るまで猶予し、食肉用として市場に出してください、という暗黙のサインを出していたのです。
当然のことながら、政府が殺処分命令を出す前に、畜産農家はすぐに手を打って現金化したはずです。
避難区域の牛の扱いについてそこまで思い至らなかった、などということはありえません。
枝野官房長官が被災地を訪問したとき、20km圏内には入らなかったわけで、当然家畜が放射能に汚染されていることは十分承知していたはず。
宮崎県では、人間が食べても害がないと言われている口蹄疫牛は全頭早々と殺処分を決めたのに、福島県では放射能に大量被曝した牛は食べても「直ちに問題はない」と考えたのでしょうか?
政府は人命より、補償金額を減らすことしかアタマになかったのでしょうか?
このように放射能汚染された畜肉をはじめ魚・野菜などは、どうしても市場に出てきてしまうのです。
政府の杜撰な行政が及ぼす影響があらわれるのは5年から10年が経ってからのため、誰も責任を取らないでしょう。
政府から重要な情報が正確に出されず、これからも期待できない以上、私たちは自衛のため想像力を働かせ、自分たちの暮らしで、どういう点に気をつければよいのかを、考える必要があるのです。