備忘録日記。こちらは、文字が続きすぎて読みにくいので、再編集というかレイアウトを再構築。
シアトルの小野沢さんからのメールで教えてもらいました。感謝!
皆さん、「半減期」という言葉をお聞きになったことがありますか?
私の手許にある国語辞典には、「半減」という言葉の解説は載っていましたが、「半減期」は載っていませんでした。
この言葉が学術用語だからでしょう。
ちなみに「半減」とは半分に減ることです。
「期」は期間(時間)ですから、「半減期」とは半分に減るまでに要する時間です。
いったい何が半分に減るのでしょうか?
学術用語でよく使われる「半減期」は、物理学的半減期と生物学的半減期です。
単に半減期といえば、物理学的半減期を指すことが多いように思います。
物理学的半減期は、ある放射性核種の数が半分に減るのに要する時間のことであり、生物学的半減期は、いったん生体内に取り込まれた物質が、排泄作用等により、体内から失われ、半分に減るまでに要する時間です。
ここでは物理学的半減期に焦点を合わせて、お話しすることにします。
今からざっと40年程前、アメリカと旧ソ連が、競い合って大気圏内で原爆実験(核実験)を繰り返していた頃のお話です。
大気圏内で核実験を行ったのは、上の2国だけではありません。
中国、フランス、イギリス、インドなども行いました。
新聞紙上には、連日のように「雨の中にストロンチウム-90、セシウム-137、ヨウ素-131が検出された」という記事がおどっていました。
10年程前(1986年4月26日)には、チェルノブイリの原子炉事故がありました。
数多くの放射性核種が環境中に放出されましたが、代表的な放射性核種はヨウ素-131、ストロンチウム-90、セシウム-137などでしょう。
ここではストロンチウム-90(半減期28.8年)を例にとり、お話を続けます。
ストロンチウム-90は変身してイットリウム-90に変わります。
イットリウム-90は、更に変身してジルコニウム-90になり安定します。
変身するときに放射線を出します。
変身しないときには放射線を出しません。
世の中には、放射性核種は絶えず放射線を出し続ける性質を持っていると考えている人がいます。
ひとつひとつの放射性の原子は1回だけ変身し、その時放射線を出すのです。
常に出し続けているように見えるのは、数多くの放射性の原子が集まっているからです。
今ストロンチウム-90という原子1個をとり出せたとします。
目の前のストロンチウム-90原子1個が、いつ変身するか、それは誰にもわかりません。
どのストロンチウム-90の原子をとってきても同じことで、いつ変身するかわからないのです。
ただ、数十万、数百万、数千万、いやそれ以上の数のストロンチウム-90原子が集まった集団について観察すると、その丁度半分がイットリウム-90に変身するのに28.8年かかります。
更に残ったストロンチウム-90の半分がイットリウム-90に変身するのに28.8年かかりそのまた半分が・・・・・・という具合にくり返されるのです。
とすると、ストロンチウム-90原子の中には、すぐ変身するものと、なかなか変身しないものがあるということになります。
事実、その通りなのです。
従って、ストロンチウム-90の物理学的半減期が28.8年であるというのは、何十万、何百万、何千万、それ以上のストロンチウム-90の集団について観察されることです。
またその半減の仕方には特徴があり、時間が2倍、3倍・・・・とふえるに伴い、変身する数も2倍3倍・・・・になるような直線的(比例的)な減り方ではなく、図1に示したような減り方を示します。
この減り方はどの放射性核種でも同じです。
半減期が比較的に短い放射性核種(例えばヨウ素-131、半減期8日)と、長い放射性核種(例えばセシウム-137、半減期30年)が同数(例えば10万個ずつ)あったとします。
スタートしてから8日たった時点で比較すると、ヨウ素-131の方は5万個がキセノンに変身しています。
変身する時に放射線を出しますので、8日間に5万個分の放射線が放出されたことになります。