ドアを閉めるとき、ステアリングを切ろうとしたときなど 三菱 i が木だとすると、ミニは金属の塊。
塊に守られているかのような安心感が心地よい。
三菱 i の場合、天気がいいとダッシュボードがガラスに反射し、フロンとガラスが寝過ぎているためのガラス角度の相乗効果?!で、前が白っぽく見え、あたかも前方が常にもやがかかったようだったのだが、ミニは車の中でも際だってAピラーの角度が立っているため、ダッシュが写り込むことは全くなく、常にクリアで見やすい視界が開けているのが気持ちいい。
ガッチリ感溢れる運戦席に座り、重い手応えのステアリングを握り、アクセルを踏んだとたん、世界は豹変する。
この弾けた加速感は、三菱 i では体験することのない感覚だ。
強烈な加速が、砂漠に水を撒いたかのように、五感に染み入る。
Gによって身が引き締まる緊張感を味わうと、思わず口元が緩む。
ミニは 1180kg を 170ps/6000rpm、22.4kgm/4000rpm で加速させるが、アイは 950kg を 52ps/7000rpm、 5.8kgm/4000rpm。
快適だった三菱 i の足まわりに慣れたカラダには、クーパーSならではのミニの中でも最もハード味付けの「スポーツサスペンションPLUS」による少し尖った乗り心地が、心地よく感じるから不思議だ。
足回りからの安っぽい音がすべてをブチ壊していた 三菱 i に比べると、車体の剛性感の違いだろうか、足回りからのイヤな音や振動は皆無で、こんなに乗り心地が良かったのか?と見直してしまった。
これはたぶんコニのFSDも貢献しているはず。
なぜなら「5年4万キロ」で書いたように、手を入れたためにネコ足化した足回りは「あれから4千キロ」で書いたとき以上に、距離を伸ばしているため、絶妙なバランスの乗り心地と安定性を手に入れているからだ。
掌へ伝わる生々しい路面からの情報が五感を刺激し、それがドライビングの楽しさへと繋がる。
減速時にショックを伝える 6AT さえ、マニュアルっぽさを醸し出すスパイスとして感じるから堪らない。
だが、マニュアルモードにして減速時にシフトアップするというワザを使うと、このショックさえもなくすることができるという仕様はさすがBMW?!
色気のない「アイ」のエンジンのサウンドに慣れた耳に飛び込んでくる、回せば聞こえるスーパーチャージャーの「ウィ~ン!」という音は、気分を大いに盛り上げてくれる。
三菱 i が持つのんびりとした動きに慣れてしまったカラダには、コーナーでイン側へ切り込むキビキビしたMINIらしさの何とフレッシュなことか。
ミニの魅力がどこにあるのかを、改めて教えてくれる。
調子に乗ってガスペダルを蹴っ飛ばしても、トラクションコントロール、前後ブレーキ圧配分を荷重状態に応じて常時調節する「EBD」、コーナリングブレーキコントロール「CBC」など高度な電子制御システムが備わるうえ、アンチスピンデバイス「DSC(ダイナミックスタビリティコントロール)」が標準で搭載されているため、170ps は、路面を執拗に捉え続ける。
ミニのスポーツシートは、バケットシートのようにガッチリ上体をホールドするのではなく、ソフトに背中から乗員を抱きかかえてくれるタイプ。
だが、三菱 i の滑りやすく落ち着かない座り心地とは一線を画すもので、しっかりとカラダを支えてくれるシートのよさに、ここまで感激できるのは「アイ」に慣れていたからこそ。
代車にカラダが馴染むと、普段乗っている車の魅力や問題点を鮮明に教えてくれる。
代車を三菱 i に設定した、BMW神戸はさすがというべきか?!
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