車検時にオイル漏れが見受けられるので点検が必要というアドバイスがあったため、現在ミニは三宮のBMWへ入院中。
というわけで、代車として貸してもらったのがこの車。
調べてみると軽自動車の中では、多くの自動車評論家たちが自分で軽を買うならこれと指名している車だ。
デザインスケッチからそのまま飛び出てきたような15インチの大径ホイールを使ったフォルムは、並の軽自動車とは明らかに違っている。
タイヤを四隅に配置、最重量物のエンジンをリア床下に搭載したため、コミュータータイプの軽自動車としては広い室内空間。
価格は105万円から161万7000円まで。
ディスチャージヘッドライト、電動格納式リモコンドアミラー、15インチアルミホイール などが装備されているため、どうやら「LX」グレードのようだ。
ミニ 全長×全幅×全高=3655×1690×1455mm
アイ 全長×全幅×全高=3395×1475×1600mm
ミニに比べると幅がかなり狭く、背が高い。
なので自宅マンションの機械式駐車場ではハイルーフ扱いとなり、契約条件と違うためカードを発行してもらわなくてはならず、かなり不便。
ミニ ホイールベース=2465mm
アイ ホイールベース=2550mm
ミニの方が短い!
だけどアイの方がUターンの際にはハンドルがよく切れることが判明。
ミニ 車重=1180kg
アイ 車重=950kg
ミニも結構軽いことがわかる。
だけどボディー剛性感は圧倒的にミニが高い!
ミニ 駆動方式=FF
アイ 駆動方式=MR(リアミドシップ)
ミニ 1.6リッター直4SOHC 16バルブ・スーパーチャージャー・インタークーラー付き
アイ 0.66リッター直3DOHC12バルブ
ミニ 170ps/6000rpm、22.4kgm/4000rpm
アイ 52ps/7000rpm、5.8kgm/4000rpm ターボ(64ps/6000rpm、9.6kgm/3000rpm)
後ろから見ると、軽自動車らしくないタイアが奢られているためだろうか、しっかりとした踏ん張り感が出ている。
自動車評論家の小沢コージ氏はアイを「NAVI」2007年2号でこのようにコメントされている。
軽自動車の可能性を見せつけてくれたこと。
ハッキリ言って値段高めの高付加価値軽自動車は絶対に失敗すると思っていた私だが、みごとその思い込みを裏切ってくれた。
最大の理由は、圧倒的に個性的で理想主義的なスタイリングとこれまた圧倒的に個性的でしっかりした走り味。
まさにハゲかかったオヤジの額のように、広いガラス面積を持つひと筆書きフォルムは他の軽とは一線を画しており、たしかにダイムラー・クライスラーの「スマート」ブランドとして売られてもおかしくない。
乗っても安っぽさを微塵も感じさせない剛性感といい、圧倒的にナチュラルなステアリングフィールといい、人によってはこれに200万円ぐらい払っても惜しくないだろう。
ダッシュボードの素材はヌメッと輝くライトグレーの色調の表皮のため少し爬虫類っぽい感じ。
センターに設けられたオーディオ類のスイッチ、セレクターの表示などを含め、素材自体が安手のため、なんだかラジカセのよう。(笑)
ドライバー側だけはシートのハイトアジャスターがついているので、一番上げた状態にすればかなり視点が高くなり、周りはよく見える。
シートは簡素だが、目の詰まった感じのクッションはしっかりと堅めの反発力あり。
ただ、座面長が短くホールド感というかフィット感はイマイチ。
これと比べるとミニのシートのフィット感というかホールド感が実に素晴らしいレベルだということがよくわかる。
ただ、1時間ほど乗り続けても特に不満は抱かなかったから、モノはそんなに悪くない。
後席も16段階リクライニングする!
前輪の下を覗き込むと貧相なダンパーが見えて心配になるが、この車は2WDモデルのようで、いわゆるリアミッドシップの後輪駆動車。
軽自動車っぽい軽薄な乗り味とは無縁なのが良い。
意外とゆったりとショックを受け止め、ピッチングもよく抑えられており、コーナーでの身のこなしも割と軽やかで素直。
こうした自然なフィールに加え、、高速での直進性もよく、ブレーキの効きも安っぽさがないのは意外だった。
ステアフィールは、上質とまでは言わないが、フロントに重量物がなく、リアのエンジン重量も知れているから軽快で、バランスのよいハンドリングは悪くない。
15インチタイヤは出しゃばった突き上げがないのもナイス。
ただし足回りからの安っぽい音がすべてをブチ壊すのには参った。
これは走り出した瞬間から気になり、目地とか段差を乗り越えると、意外に大きな振動を感じるため、ここだけでこの車は買いたくない、という気になってしまう。
私にとっては二日経っても、慣れない類のもので、路面からの音というか、道路のデコボコが車体に反響するうえ、音が妙にコモり、さらにそれが室内の反響で増幅されるのだからタチが悪い。
運転をしていると、それがステアリングフィールにも伝わるため、非常に気になるのだ。
もしこの車を買うのなら、100万ほどのコストがかかっても、遮音対策で何とかこの部分を改善することになるだろうね。
高速道路に乗って、エンジンの回転数が3500回転ほどの100km/hあたりなると、エンジン音が後ろに逃げるためだろう、意外と静かだ。
決して良い音とは言えない3気筒サウンドは、あまり聞こえなくなる。
高速道路では、とにかく床までアクセルを踏み込み、周囲の流れを読みながら、ガスペダルをかなり深く踏み込む運転を強いられる。
エンジンを見ると、どうやらターボモデルはないようなのだが、4段ATはガスペダルを奥まで一気に蹴っ飛ばすと、キックダウンして急加速する。
だが馬力が馬力だけに、まあ流れを何とかリードできるというレベル。
メーターはアナログの回転計の真ん中にデジタル速度表示があって、オレンジ液晶パネルの視認性は悪くないが、余計なものがついていないので全く色気なし。
値段を考えると良くできている車だが、じゃあ一緒に暮らす相手としてはどうなのか?
というと、何よりもミニのような運転する楽しさがないのだ。
少々問題点があっても、それを上回る魅力があるタイプでないとね。
足回り、エンジン、操作に対するダイレクト感など、五感に訴える部分が味気ないというか色気がないため、単なる移動の道具から抜けきれないのが残念。
あとこれは意外な盲点なのだが、フロンとガラスが寝過ぎているための問題点があるのだ。
天気がいいとダッシュボードがガラスに反射し、ガラスの角度の相乗効果?!のため、前が白っぽく、あたかも前方が常にもやがかかったように見えるのだ。
これはランボルギーニもそうなんだけどね。
この点と足回りからの安っぽい共鳴音という大きな2つの問題点があるうえ、駆け抜ける喜びが得られないため、残念ながら一緒に暮らすための候補とはなり得ない車だ。
あと、ミニと比べると、ステアリングが甘く、狙った位置をトレースできないため、常にステアリングを修正しなければならないので、同乗者が車酔いしやすいと思う。
現にトレードが終わってトレーダーたちと「おとめ塚温泉」へ行ったとき、誰かが「ミニに比べると酔いやすい」って言ってたからね。